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『ゴールデンカムイ』#287 門倉の馬

 門倉とキラウシは馬で五稜郭を突っ切ります。防風林まではなんとかなると駆けて行く門倉。この男、父譲りの無鉄砲さがあるのでは?

「種」は残した

 門倉はギャグっぽい描き方ではありますが、やっぱり会津藩士ルーツが一番可能性としては高いのではないかと。会津藩装備が劣っていたことはそうです。それでも得意の槍術をこなす槍兵の威力が警戒されていました。どんな状況でも突っ込んでいく武勇が脅威的だったのでしょうね。
 陸奥かつ土方の進軍ルートを踏まえて仙台藩ルーツも可能性としてはあるけれども、幕末の仙台藩にはそういうイメージはありませんので。
 門倉たちは汽車で来た第七師団兵を見て焦ります。ここでなんとか永倉と合流。鶴見が攻撃を躊躇する「種」は残したそうです。

五稜郭攻囲戦へ

 鶴見は鯉登から差し出された大沼団子を食べています。大沼駅公園駅名物だってさ。これは当時は最先端のお土産で、鉄道網開発とともに売り出されたものです。
 庶民は甘い菓子すら食べられない時代から変わったのが江戸時代でして。となると、寺社仏閣のような人が集まる場所に名物菓子が生まれる。北海道では明治以降、観光地に土産菓子が生まれる。といっても、白い恋人だのとうきびチョコレートだの、そんな洋菓子はまだまだ先のことです。でも、大沼団子にはみたらしもある。これが明治の道産子にしては十分モダンとも言えなくもありません。
 大豆栽培定着には時間がかかりまして。ゆえにアシリパもオソマこと味噌に興味津々。醤油を使うみたらし団子が、鉄等の駅にあるということは、まさしく最先端でした。
 ですから、鯉登としてはすごくいいものを持ってきた感はあることでしょう。

 鶴見はその団子を口にしつつ、権利書の話を部下としています。そんなのハッタリだ! そう言い切られますが、どうなんでしょう? 明治以降は金欠だったのに都市開発はできた……なぜ? 土地の権利書はあり得ることかも。土方の望み通り喧嘩をしてやると鶴見は言い切ります。これが“種”かな? 
 答えを言いますと、イギリスの思惑でしょうねえ。イギリスとしては植民地を使うよりも、対ロシアの防波堤になる橋頭堡としての国が欲しかった。パークスなんてさんざんに内閣の大物を怒鳴り散らすもんだから、誰も反論できない。伊藤博文は「パークスが先生なら我々は生徒」と言っておりました。吉田松陰よりもパークスの方が“先生”だったんじゃないの?……とは突っ込みたくなりますよね。
 そのイギリスの思惑のせいで、樺太を手放したわけでして。ウイルクやキロランケの苦しみの根底には、日英関係があるわけでして。
 そんなわけで五稜郭攻囲線になります。
 とはいえ、鶴見が知らないわけがない。今までは中央がなんとかごまかせたかもしれないけれど、市街地戦をしてバレないわけがないのだ。死と破滅への一方通行です。そこまでして、妻子の仇討ちがしたいのか?
 鶴見が月島が信じたいシナリオを、本気で実行するとは到底思えません。勝ち目が流石にない。まだしもできるとするならば、自分とその妻子を邪険に扱った国に対し、死肉と血で抗議することくらいの気がするのですが。
 これが「種」の結果なら、鶴見は死にますね。

金塊があった

 土方の指示のもと、土方組一行は門倉の入れ墨が示した場所を掘っています。そこには馬用の井戸がありました。五稜郭で馬の世話をしていた生き残りは、もう土方くらいしかいない。そういえばファンブックでも、キロランケと馬トークをしていたっけ。
 隠し場所としては理想的だ。杉元、アシリパ、そして白石という三人組はその底でついに見つけます。

 でもこの金塊は呪われていて、見つけたら死をもたらすものであるはずだ……。

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『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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