『ちむどんどん』第10回 一家の結束
暢子が一人、東京へ行くことになりました。
別れの沖縄そば
暢子が上京する前に沖縄そばを食べる。
沖縄のものであること。
亡き父の味を受け継いだのが暢子であること。
そして別れの味。
こういう要素が揃ったからこそ、特別な味になる。あのときのあの味……そうなるとわかる秀逸な場面でした。食べたくなるけど、私が沖縄料理店に行って食べても再現されない。当たり前だけど。思い出がこもっていないとそこは再現できません。
人情が道理を越える
車掌のお姉さんがいる当時のバスに乗り、見送るわけですが。賢秀が俺が行くと言い出し、やっぱりいかせちゃいけないときょうだいで言い出し、追いかけます。そして暢子もバスをとめ、ついに東京行きは取りやめに。抱き合う親子の姿がものすごく感動的なのですが、ちょっと気になりませんか?
渡航証明書もとったし。待っている守銭奴もいるだろうし(公式サイトを見るとあの人かな?)。みんなそれぞれ準備をしていた。そういうのを全部ダメにしちゃうわけ。迷惑といえば、迷惑ですよね。
でも、ああいう親子を見せられたら「仕方ないなぁ」ってなりませんか?
そういうよい意味での人情重視が、昔の良さだったんじゃないかな。なんでも分刻みで決まるような世の中にはない、そういうゆるさがあったなと。
よいところも、悪いところも、ゆるいところも再現するドラマです。
それと、和彦がこれから折に触れでてくるとわかっていいですよね。伏線の貼り方が丁寧で。雑な大暴投と辻褄合わせをして「すごい伏線回収!」というのはおかしいのです。
朝ドラヒロインの笑顔で全てが許される世界
7年経ちました。
あれだけ困窮していた比嘉家がどうにかなったのか。そこは気になるとして、暢子がシークヮーサーを食べて笑顔になり、元気にいっぱいにしているだけで何もかもがヨシ、許せる世界だと思ってしまった。
別に変わったことしなくていい。地元の景色の中、ヒロインが生き生きとしていて、笑顔でいるだけでいい。これぞ朝ドラ。そう思えてしまった。
でーじーちむどんどんする! このセリフにも納得しかない。嫌味がない。やっと調子を取り戻したようで清々しい朝が待っています。
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