『カムカムエヴリバディ』第31回　コスプレ日本兵コントを朝から流す

　算太が帰宅します。安子も喜びます。美都里は算太を抱きしめるのでした。

コスプレ日本兵を朝から見せられる苦痛

　算太は靖国神社でコスプレをするアレなおっさんそのものにしか見えず、絶句しました。あんなまるまるとして顔色もツヤツヤで、一体こいつは何なのか。軍服そのままで帰ってくるというのも不自然で、昭和20年夏の復員ならともかく、着替えて帰ってくると思いますよ。しかも軍服が全然痛んでない。アジア・太平洋戦争時代の軍服なんて、すぐボロボロになることで悪名高かったものですが。
　『マッサン』でもシベリア抑留帰還者が、ソ連にいた当時の服装そのままでガッカリしました。着替えて、舞鶴港で帰ってくるんだよ！　あれだとシベリアから海を泳いで渡って北海道まで帰ってきたみたいだろうが！　NHKの知識はどないなっとんねん！　

　しかも無神経なんですよね。泥団子を見て「おはぎ……おはぎ……」。おはぎどころか何を食べていたか、その答えは『野火』でも見ようね。日本軍兵士の餓死者がどれほど多かったか。そのことをふまえると、ぷよぷよした日本兵がくだらないコメディ演出しながら「おはぎ……おはぎ……」ってもう本当に見ているだけで怒りが湧いてもう朝っぱらから……。

　やりたいことはわかった。
　濱田岳さんが日本兵を熱演！……とでもお昼あたりにコタツ記事を光らせるんですね？　彼のキャリア、固定ファン、朝ドラ視聴者層のツイートをつぎはぎすればそのくらいできる。で、「戦争を真面目に描いた朝ドラやで！」とドヤ顔でもするんでしょう。
　『おちょやん』との落差がキツイ。あのドラマでは復員兵がほんまに悲痛な顔をしていて。こうして平和に生きていて、死ぬ恐怖を味わうこともなくなったけど。それでも心にひびが入っている。そういう苦悩をにじませた演技で素晴らしかった。そのあとに濱田岳さんがこれか。
　『わろてんか』出演者も明暗が別れましたね。成田凌さんは大勝利。濱田岳さんは大敗北。何をしているのやら。

役者をダメにするドラマ

　金持ちなのに、戦後なのに、相変わらず小道具が少ない雉真家。西部劇のチラシとか、背伸びしてぼちぼち出てきたウイスキーとか。そんなものがあってもいいはずですが。『マッサン』の小道具を流用したらええんちゃうか？
　それにしても、勇はなんとかならんのですか。椅子の座り方からして高校生くらいにしか見えない。しかもまだあの伸びっぱなし坊主だわ。
　雪衣にセクハラし放題の算太の不快感がハンパない。こいつ、家族の死を聞いても「一気にいうな〜」とヘラヘラして涙ひとつこぼしませんからね。全員冷酷に思えるこのドラマ。朝から不快感がすごい。

　美都里と算太のハグは不気味でした。当時の日本人はそうそうハグせんから。今もやろ。なんか勘違いしてない？　美都里はどういう人物像にしたいのかブレブレ。いや、全員そうか。もうホラーのようでした。

　あと段田安則さんと上白石萌音さん。『中村仲蔵　出世階段』のドラマで実に素晴らしかった。上白石萌音さんは野にさくスミレのように可憐で。これは確かに人気が出ると思いました。
　そして朝ドラでは、なんでこんな花のような女優さんを台無しにするのかと怒りがこみあげましたね。何をしているんですか、NHKは。

櫻井翔さんを批判する人が褒めそうな日本兵とは？

　よくもこんなふざけたものを受信料で作って流せたものですね。人間の尊厳とか、そういうものに一切興味関心も持たずに生きてきたから、こういうことができるんですか？