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『ちむどんどん』第13回 無職の家長

1971年、沖縄返還前年。比嘉家はつつましく暮らしていました。

金が湧くはずもなく、貧困は未解決

借金をどうやって返したのかわからない! そんなニュースがありましたが。

◆【ネタバレ】朝ドラ 借金問題の回収期待する声「金どこで湧いた?」「相当なイベントが?」(デイリースポーツ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8d5500da5b3aae55fd16f66b7a664db3f529af62

朝ドラ視聴者はいつからそんなギャンブル思考になったのか。貧困はそんな金が湧くとか。『おねがい社長』広告のようにタップすれば解決とか。そういうわけではありません。
貧困は未解決。ゆえに歌子はピアノがある家庭はどんなものかと優子に尋ねると。ピアノは昭和の金持ち家庭を示す定番でして。古いアニメなんかだとお嬢様の趣味がピアノでしょ? それはそういう事情を反映しています。騒音もあって殺人事件まであったほどだから(1974年ピアノ騒音殺人事件)、家庭環境も必要。一軒家にピアノ。それは金持ち家庭ってことさ。

優子の努力でなんとか食べていました。朝は畑仕事。昼は売店。身を粉にして働き、生活水準を維持しているようで、していない。歌子のピアノではない問題も、良子にはありまして。

昭和のシンデレラは美談じゃない

良子は給料をもらっても、頭の隅には家にいくら入れるかあるんでしょうね。ほころびたブラウスと給料を眺める顔の対比が残酷というか。同僚が給料で買い物に行こうと誘ってくるところがこれまた酷い。
もっとえげつないのが、ドラ息子の金吾。親は学校に金を寄付してしまうらしく、先生もペコペコしている。そしてなんでも好きなもの、化粧品でも買ってやると良子にアプローチ。
良子はなんとか断れるけど、こういう経済事情でやむなく結婚する人もいたんだろうな。そういう夫婦が熟年になってギクシャクしていてもおかしくない。そんなことを思い出しつつ胸がざわついている人、いるかもしれない。
しかしこの良子、こんなボロを着ていても美しい。川口春奈さんはほんとうに美しいんだなあ。

働け、にーにー!

そんなカツカツギリギリの一家なのに、にーにーは飲んだくれて帰ってくる。そして寝せておいてやれと優子は甘い。暢子はそれは流石に甘いと不満そうではある。だってにーにーは風呂を沸かすことまで妹の暢子にやらせますからね。
そんなにーにーがちょっと働いた程度で、あの暢子すら許すあたりが甘い。
儒教の悪しき側面が出ているというか、男というだけで甘やかされるんだな。優子の世代なんかそれが染み付いているから、甘いと言われてもピンとこないのかも。にーにーも無自覚で、俺は男だとケロッと何かと言っちゃうんだよな。
でもさ、そういう甘やかしが抜けていないままの人いるかもしれませんよ。『スカーレット』の常治。『おちょやん』のテルヲ。それ以来の、家庭内にいるクズ男像を期待します。

でも、みんなにーにーに厳しいけど、『カムカム』のジョーには甘かったよな。あいつは歌子の『翼をください』を台無しにするような悪目立ちはしなかったけど。

暢子、迷う

朝ドラの定番といえば、主人公が進む道をズバッと決めることも定番だったけど。そうでもないような。『スカーレット』の喜美子と同じく、貧困や家庭事情があって進みにくいのかも。でも迷い始めている様子。
でもさ、もう砂川さんちの智くんとは何かを感じますよね。というのも幼馴染とかそういうことだけでなく、食品の卸を志願しているところがさ!

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