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『ちむどんどん』第110回 冷徹な男の心が、熱い人情で溶ける

 ちむどんどんの危機。そんなときは人件費を削るのがセオリーだけど、矢作の給与は……。

スカウトを受ける矢作と封筒と

 矢作はフォンターナの仲間にスカウトを受けています。腕前がそこまであるということでしょう。ただし、50万円が必要。
 そのあと、暢子が現金入り封筒を置いたまま出かけてしまい、それを矢作がみつける展開に。

 このあと、封筒がなくなったと大騒ぎになり、智は矢作が盗んだといいはります、それを暢子は疑いたくないと庇い、それを矢作が聞いておりまして。

 封筒は矢作がレジにしまっておいただけでした。

人情にほだされる

 このあと、矢作はスカウトも受けていたけれど、暢子の信頼に感激し、ちむどんどんに残る決意を固めるという展開です。遅れた分ももらうからしっかりつけとけ、と憎まれ口は叩くのですが。

 どうして矢作がそうなるかというと、前回フォンターナで焦げた肉を出されて、恨みをかっていると示した伏線もあるのでしょう。そうされるだけのことを自分はした。それでも暢子は信じてくれる。その思いが、矢作の心を変えました。

 こういう心情の変化をきっちり出してくる井之脇海さんは、若手でも相当の演技派だと証明された回です、矢作に扮する井之脇海さんだけでも見る価値は十分あるというドラマ。
 
 智の前田公輝さんもいい。土下座というのは強制されるものではなく、心の底から湧き上がる申し訳ないという気持ちでするものだと伝わってきます。

 昭和を美化するつもりはないけれども、裏表のない、暑苦しい人情はあったと思えます。そういう恩義なんかを簡単に切り捨てて冷笑してきたのが、今なんじゃないかと思ってしまったり。
 深いドラマだ。

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