『らんまん』第22回 人は全てを持つことはできないけれど
自由民権運動の演説会で、早川逸馬に導かれ演壇に立った万太郎。しかし、そこへ官憲が踏み込んできて、万太郎は逮捕されてしまいます。竹雄は夜通し駆け、峰屋へ戻ります。
親子の忠義
ここで、ふじと竹雄親子の忠義が光ります。
夜通し駆ける竹雄。ふじも前日、タキに先んじて心配していたのです。竹雄を迎えたふじは、我が子を心配するよりも、若旦那のことを聞く。竹雄も我が身よりも、大奥様へ伝えたいことがあると、苦しい息で訴えます。
タキの前で、万太郎逮捕を報告する。謝る竹雄。我が子を叱るふじ。忠義そのもののふるまいといえます。
これも江戸時代を通して、庶民まで忠義が根付いたことの証。江戸時代は主人殺しは町人だろうと厳罰に処されます。そして庶民たちは『三国志演義』や『忠臣蔵』に喝采を送っていた。『八犬伝』の宝珠は仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌が刻まれている。それを庶民まで理解していたんですね。
そういう近世を通した教養と道徳があればこその、明治です。
そしてここで、報告を聞いたタキの振る舞いよ。オロオロするのではなく、動じず、凛とした声で私自ら行くという。そう言われた瞬間、空気がすっと引き締まります。総大将出陣の感がある。
官憲の横暴取り締まり
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