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『らんまん』第57回 女将さんはもうよして、おまつと呼んで

 万太郎と寿恵子という当人同士は納得しました。

八犬伝方式って……

 白梅堂で、万太郎はまつに頭を下げています。まつは釣書に納得しているし、人柄もわかっている。寿恵子の気持ちもわかっているでしょう。けれども懸念事項があります。
 金です。
 万太郎は小学校教師と手習の師範ができると言います。とはいえ、研究時間削られたら本末転倒。図鑑作りをアピールします。それは寿恵子は納得しても他はそうじゃないから。ここで万太郎は、寿恵子と相談したことを言い出します。
「名付けて八犬伝方式!」
 わかりやすくいうと、分冊、「読本(よみほん)」方式ですね。分冊でできるところから出していくという形式です。土佐ならもうできる! 価格も抑えられる! 『八犬伝』のように気軽に買ってもらえる。そ語るわけですが。 
 でもなあ……万太郎、それ、印刷所の岩さんに話してみたかい? 
 これは浮世絵シリーズなんかもそうでして。 企画があって、絵師に持ち込んで、版元は売れたら刷ると。今なら週刊漫画雑誌のアンケートシステムに似ているのです。ニーズがあるとダラダラ続く。『八犬伝』は面白いんだけれども、明らかに構成がおかしいとは突っ込みたくて。馬琴先生、ちょっと犬江親兵衛に思い入れありすぎねえか? 長くねえか? そう言いたくはなるんだな。読者のニーズかもしれんけど。
 反面、ワンクール打ち切りもありえるんです。シリーズ名通り全部揃わない作品もある。あの歌川国芳だって、ニーズにあわずに打ち切りになってくやしがった。国芳の弟子の月岡芳年なんか、売れ行き不調でメンタルを壊してますからね。
 大丈夫なのかい? 

まつと文太にも、愛がある

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