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『ちむどんどん』第5回 親から子へ

生まれて初めてのレストランに連れて行かれ、暢子はちむどんどんしています。

一週目の動機付けをアナログで

このドラマはアナログのよさがある。ポストで手紙のやりとりをする。鉛筆でノートにメモする。こういうことはスマートフォンがある時代ではなくなってしまったことです。
 そうして暢子がいかにしてシェフになりたいのか、その動機付けを描きます。メニューを聞き取ってメモして、好奇心旺盛に生き生きと食べて味わう。そこには暢子の賢さと勉強熱心なところがあります。やたらと食べ物のことを聞いて好き好きアピールするだけでなく、自分から学びに行っています。
 白いコックコートに憧れること。シークワーサーを取ろうとしていると少年たちに「女のくせに」とからかわれること。こういう描写のひとつひとつがうまい。木の実をとるように夢を目指してジャンプする暢子は、このさきそれでは嫁に行けない、女のくせにと言われることでしょう。これから向かう彼女の道をきっちり描く。朝ドラ初週、これぞ王道と呼びたくなる手堅さがあります。

出稼ぎ前に父が

そんな比嘉一家の貧しさが、このレストランの場面でもありまして。家族の誰かが夢を目指そうとすると、別誰かがずるいという。そんな貧困の悲しさが見えました。体操服すらほつれているとか。なんとも切ない。そして父は出稼ぎをするというのですね。
 家を建てたとか。さとうきび畑を買ったとか。背伸びした出費があったようで。なかなかギリギリの生活のようだ。
 そう思っていたら、お父さんが倒れ、子どもたちが急いで帰って来いと学校で言われるという場面になる。ここも当時らしいアナログさ。今ならスマートフォンがあるし、それより前でも電話でしょう。自転車でおじさんが呼びにくるあたりが当時だ。
 そして車に乗るのでもなく、走って家まで戻る子どもたちの姿。

こんな貧しいのにお父さんが倒れたらどうするんだ! 沖縄の大自然を背景に、あまりにつらい場面が続きます。

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