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『らんまん』第67回 田邊の誘い

 万太郎と寿恵子は、田邊の家へ向かいます。

婦人同伴の時代

 男女七歳にして席を同じゅうせず――そんな儒教規範があった日本では、男女が同じ席で宴をするようなことは原則的にはないとされました(あくまで原則ね)。それが西洋諸国では紳士淑女とワンセット。明治以降の課題として、男性は隣に座らせる女性を見つける必要がありました。が、武家育ちだと儒教規範もあるし、どうしても嫌がる。高藤夫妻がその一例ですね。あれは妻の意見を夫が真っ当に聞くことすらしていなかったようですが。
 そんなわけで、西洋かぶれの田邊も夫婦で招きました。が、田邊がわざわざ招いたのは万太郎だけらしい。
 万太郎は寿恵子にそう答えた瞬間、あのやわらかく無邪気な顔にスッと緊張感が走ります。寿恵子も夫の緊張感が伝わります。神木さんと渡辺さんはすごい。脚本や演出も彼という花を綺麗に咲かせようとがんばっているのでしょう。
 劇伴や照明が素晴らしくて、ここの導入部は古典ミステリみたいな味わいがあります。明治時代は、西洋からミステリやゴシックも入ったわけ。その定番として、怪しげな屋敷の奥にいる怪人はあるわけでして。田邊邸はそういう古典的なおどろおどろしさが出ています。

 万太郎が週タイトルのホウライシダを見つけてはしゃいでいます。屋敷と、それを司るような植物も、ミステリにはよくある趣向。のっけから何か不穏です。

田邊家にようこそ

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