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『らんまん』第42回 峰屋の危機

 万太郎は植物学雑誌創刊、そして図鑑刊行を実現したい。
 その一方で、寿恵子はジェントルマンで薩摩隼人の高藤に舞踏会に誘われる。
 これだけでなく、なんと土佐佐川峰屋も危機だとか。

酒造業者の危機

 問屋の藤丸と竹雄が峰屋の危機を説明します。明治政府は酒税でどうにかしようとします。セコいな! 万太郎はそのへんは理解しているのか、しないのか。竹雄も税金ごときで潰れないとかなんとか言いますが。

 峰屋は増税に向き合っています。
 日本の酒造の歴史を調べていると、必ずここにぶち当たるんですよね。薩摩の焼酎までいじめたんだもん。そりゃ鹿児島の人ですら「御一新の意義とは何か?」となりますよ。もう勝手だよね。東京の薩摩閥政治家が芋焼酎をあおっているお膝元でそれじゃさ……ま、薩長贔屓しろってことじゃないけど。
 この場面は短いながらも、説明セリフに頼らず、映像表現を通して説明してきます。

・横暴な洋服姿の役人
・深刻な顔をした峰屋の面々
・悪意を持って作っていない酒が、密造扱いという不条理
・緊迫感を静かに伝えるピアノのメロディ
・説明するナレーションとテロップ。酒の税金は販売時から、作った時点のものとされる「造石税」への転換

 教材になりそう。酒を押収する役人の動きがまさしく不条理に見えます。このあたりは『マッサン』の欠点を改善してきたと思えます。あの作品はよくできているけれども、竹鶴政孝とニッカが持っていた酒造へのこだわりがかなり簡略化され、かつ人情劇に落とし込まれていて消化不良だったんですね。このへんの改善は脚本家が同じ『ちむどんどん』でもなされていたのです。そこを評価されないかと私はとても悲しいけれども、NHK東京はくじけないようで何より。

増税の不条理

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