『らんまん』第38回 東京と、そこにいる人と、向かい合う

 万太郎はやっと念願の東京大学植物学研究室に出入りできるようになったものの、受け入れられず落ち込んでしまいます。そんな万太郎の弱音を聞いた竹雄は?

人並みの悩みを若が理解した!

 ずっと万太郎のお世話をしてきた竹雄。その役目は解かれ、相棒となったわけですが。幼い頃に戻ったようにしんみりと、さみしいと打ち明けてくるわけです。同じ志を持つ相手と語り合えないって。
 竹雄はこう叫びます。
「綾様〜! 若が人並みなことを言うちょりますき!」
 これは心の底からそう思ったのかも。幼い頃から草木に話しかけてうっとりしている。寂しくないの? 大丈夫? そう心配になってもケロリとしている。喜怒哀楽がちょっと他の人とちがうんじゃない? そういう異質さを持つのが万太郎です。それが「人並み」になって、悩んでいる。だからこそ突き放すように、タキや綾のように、諭してきます。そして感情についてのお説教。佐川で人を裏切って天秤にかけて、峰屋を捨てて出てきたでしょ! そのときもそういう顔をそればよかったのに。そう言いたくもなると。そういう感情の重さならば、他の連中に引けを取らんと励ます。そして相手がどうだろうと好きにすればいいという。
 空気を読めないからこそ、若なのである。そう万太郎を全肯定しました。うれしそうににっこり笑う万太郎。りんが世間一般、いわば人並みの感情をもとに励ましてくれた。そして竹雄は万太郎の個性を読み解き、それをもとに勇気づけて来ました。ニューロダイバーシティに配慮したアドボカシーとか今時の言い方はあるけど、定義はさておき、それができる人、必要とする人はずっといるわけでして。それがこの二人だ。

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