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波浪警報と僕

これはモノに当たるのかは分からないけど。波浪警報とは気象の特別警報の一つで、気象庁のウェブサイトには「波浪警報は、高波による遭難や沿岸施設の被害など、重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。」と書いてある。

僕の生まれた街は日本の南部に位置し、夏になると台風があたることが多い地域だ。小学生の頃もひと夏に1,2回は台風による休校や早退があったように思う。

その度に小学生の僕らは不安よりも非日常のワクワクで満たされてしまう。俳句コンクールでそんな内容の俳句を出したら入賞したことがあったのだが、何とかいたかは覚えていない。とにかく、大人になった今は薄れてしまったワクワク感に興奮していたのは間違いない。

僕たちのワクワクとは裏腹に、テレビで流れてくるのは全体的にしけた灰色の海の映像ばかりのニュースだ。荒れた波の音、吹き付ける風と雨の音。そして時折聞こえるよく分からない言葉があった。それがハロー警報だった。

…○○地方気象台では○○、△△、××に大雨、暴風、ハロー警報を出していて…

ハロー警報?どういうことだろう?Helloって英語の挨拶?でもケーホーって危ないものに出すんじゃないの?はてなだらけだった僕の頭の中のハロー警報が波浪警報に変換されるのは小学4年生か5年生の頃だったと思う。


ハロー警報だけでなく、変換ミスによる脳内での混乱はたくさんあった。主にニュースで言われる言葉だ。

台風関連で言うなら「台風一過」もそうである。

僕は「台風一家」だと思っていたのだ。しかしどうやらお父さん台風やお母さん台風に、赤ちゃん台風がいるということではないらしいのである。

調べてみると「台風が通り過ぎたあと、空が晴れ渡りよい天気になること。転じて、騒動が収まり、晴れ晴れとすること。」と書いてあった。全然違うじゃないか。


そしてニュースで出てくる「誤って転落」もそうだ。

これも僕の頭の中ではしばらく、「謝って転落」のままインプットされていた。勢いよく土下座したり、ごめんなさああああいと叫んだりしながら転落するわけではないのである。僕の頭の中では自責の念にとらわれすぎて謝りながら崖を飛び下りる人の映像が流れていたのだが、そんなニュースではなかったのである。

僕はこの長年の勘違いの話を直接人にしたことはあまりない。だけど誰しも口に出して言わないだけで、変な勘違いをしていることがあるんじゃないかと勘繰っている。


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