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読書の夏

夏だから、夏の物語とか、タイトルに「夏」が使われている本が読みたくなって、2冊目に江國香織さんの『なかなか暮れない夏の夕暮れ』を読んだ。

ちなみに1冊目は瀬尾まいこさんの『夏の体温』

この作品を知ったのは文庫になったタイミングで、本屋で見かけた瞬間「なんて美しいタイトルなんだろう……!」と感動したのを今でも覚えている。だけどその時すぐに読もう!という気持ちにはならなくて(定かではないけれど、おそらく他に読む、もしくは読みたい本があったのだろう)、いつかまた次の機会に、できれば夏に、とタイミングを見計らっていたらなんと三度も夏が過ぎてしまっていた。
このあいだ図書館で借りる本を探していた時に(いつも上限MAXの5冊まで借りてしまう←これも積読が減らない理由)、ふとこの本と目が合って、その時ビビビッと、今だ!と思った。

本の世界と現実が行き来する読書小説で、ゆえに登場人物も多い(現実だけでも10人は出てくる)のだけど、不思議とごちゃつかずにすっきり読み進めることができた。
一瞬、ほんとうに少しだけれど、『君たちはどう生きるか』の本が出てきて、タイムリーだな!と我ながら思ったり(なお映画はまだ観ていない)。

本の世界に没頭すると、唐突に本から顔を上げた時に現実との境目がぼやけるような、白昼夢をみていたような気持ちになる。その感覚が随所に溢れていて、読んでいてとても心地よかった。

次は千早茜さんの『しろがねの葉』を読む予定。ジャンル的には時代小説だから、さらに白昼夢のような感覚を味わうことになるんだろうな。楽しみ。

しかし時代小説を読むのは久しぶり……はるか前、中学か高校の時に『蝉しぐれ』を読んだっきり、かもしれない。それも最初の方しか覚えていない。蛇に噛まれた娘を救けるシーン。(有名すぎる)

わ、思い出したら『蝉しぐれ』も再読したくなってきた。奇しくもタイトルが夏っぽいし(安直)。
これを機に時代小説ももう少し読んでみようかな。米澤穂信さんの『黒牢城』も、気になって手にとって戻して……を繰り返して、結局まだ読めていない。

自分の好きなように読む本を手に取っているような気がしていた。本を開いて「今じゃない」とまた閉じてしまうこともあって、気分屋だなぁなんて思うこともあった。でも、実はそれもちゃんとタイミングみたいなものがあるのかもしれない。『なかなか暮れない夏の夕暮れ』がそうだったように。
タイミングみたいなものがあるにせよ、物語との出会いは大切にしたいし、逃したくない。


夏の夕暮れがなかなか暮れないように、夏の読書もまだまだ続きそう。

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