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第八十九話 創作を

創作をしてると、胸につっかえがかかる感じがするのは、つっかえごと取るのに必要なのだろうね、取れないかもしれないけど。限られた時間で、終わりのない旅をすることの辛苦なのだろうね。

完璧もない、完成もない、正解もない、オリジナルもない、跡形もない、死んだら無、でも明日とか何年後とか知らないけど、向こうの自分に遺したい。とりとめなくとめどなくビュンビュンビュンビュン過ぎていくだけの残酷な時間に、でも時間を使ってして、歯向かいたい。嫌なんだもんとっても。無かったことになる、失って減っていくばっかりなのに、そこに溶け損ねた雪が、花びらが、枯れ葉が、何らかの残りカスが隅に積もっていくのが、気持ち悪くて嫌なんだもん。


そうして突き詰めれば虚しくなるだけなのに、なんで創るのかわからない。わかりたくない。怖い。わたしは昨日生きていたことも忘れてしまうような奴だけど、まだ1桁の歳のときとか小学生や中学生時代も、今までずっとこの輪郭から出ることなく、このわたしの身体のまま、心のまま生きていたことをなんでか覚えてる、重い記憶喪失にでもならない限り忘れられるはずがないんよ認めろよ。地続きに次ぐ地続きで、たったここまで来てしまった事に、今更改めて気付いた。1秒ごとに懐かしくなるみたい、未来は当然見えないが、前と後ろが向こうにある感覚、また忘れそうだし怖いから、ずっと離れないように薬指に指輪をはめてあげて、自分と結婚したいもんすね。


💍





言葉にしない方が残るのかなぁ、でも遺らないよなそれ。言葉は消えたことないけど、死んで海に無事還れたら、そこは言葉のない世界としたら、言葉は人1人ずつの中に生きているのかも、言葉はとうに何回も死んでるのかもしれない。

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