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映画「劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:」感想

テレビアニメを劇場版に再編集した第2弾

LOST IN TIMEの三井律郎が音楽担当。アニメから切り離しても、劇中で使われるバンド音楽がかっこよく、ロッキン系好きとしては楽しみにしてきた。

あらすじ紹介

引っ込み思案で友だちのいない高校生の後藤ひとり (ぼっち)は、動画配信ではギターヒーローとしてバズってる。そんなぼっちがバンドを組みたい一心で一念発起、あの手この手を駆使するも、生来の隠キャが大爆発してバンドメンバーどころか音楽の話をする友人をつくるすらできない。しかし、ひょんなきっかけで「結束バンド」を結成し初ライブを敢行する・・・までが第1弾の内容。

今回はその続きで、結束バンドの文化祭ライブが最大の見せ場。すでにテレビ放送が完結しているので、ライブシーンがクライマックスになるのは折り込み済み。その場面から逆算してクライマックスまでを総集編としてどう魅せるかが本作の注目。

感想

結論からいうと

  • テレビ放送を見ていない観客を置いてけぼりにしない構成

  • すでに内容を知っている観客をも引き込む内容

  • 本当のクライマックスはエンディングテーマ

音楽と映画体験の親和性は高いので初見でも楽しめる(とおもう)

一部のコアなファン向けの作品ではなく、映画館で観る価値づくりは丁寧にされている。

上映時間は約1時間15分ほどで劇場版にしては長くはない。バンドものとなると複数の登場人物が入り混じるので、キャラの特徴や人間関係、場面設定が複雑になりがち。だけど、それが自然に入り込むようにできている。

「『ぼっち・ざ・ろっく! 』は知ってるけど、今さら映画館に行くのはハードルがたかい、ネット配信されたら見よう」と思っている層にむけて丁寧に見せている。ファンばかりが集まる(と思われている)ホームに投げ込まれてもアウェイ感を感じさせない。

むしろ、冒頭から熱量高くスピード感あるオープニングがぼっち・ザ・ワールドへようこそ!と言わんばかりに迎えてくれる。

とはいえ残念なところもある

ネクラで極度の人見知りで被害妄想癖のある、ぼっち。「夢は高校中退」と言って憚らないぼっちをバンドメンバーがうまくなだめたり引き立ててくれる。

正直にいうと、この隠キャ描写がクドいとおもう。ぼっちのひがみ根性が目にあまり、挙動不審ぶりがストーリーのテンポ感の足を引っ張っているように映る。身近にいたらメンドクサイぼっちが詰め込まれている。これは前回の劇場総集編でも同じだった。

テレビ放送では1話に1回その手のくだりがあるのは許容できたけど、劇場総集編でまとめられるとクドさの方が上回る。

フラストレーションにも似た気持ちは、ぼっちと正反対キャラのボーカル喜多郁代(キタちゃん)のまぶしすぎる陽キャをより際立たせる。

キタちゃんのサブストーリーも見逃せない

文化祭ライブの成功に向かうメインストーリー以外に、キタちゃんのギター上達への道や天性のコミュ力お化けならではの悩みに向きあうサブストーリーがある。これがいいスパイスとなって効いている。

ネタバレしていてもかならず盛り上がるクライマックス

本劇場総集編の要である肝心の文化祭ライブシーンは、ちゃんとしたバンドのライブ演奏。時間にするとわずか数分だと思うけど、序盤で蓄えていたエネルギーを爆発させるには十分の演出。RPGでいうところの序盤ではレベル上げをして後半にボス戦に挑む感じ。

何度見返しても、「星座になれたら」のキタちゃんアドリブのバッキング演奏 → ぼっちのボトルネック奏法のギターソロは引き込まれる。

そして本当のクライマックスはエンディングテーマ

良いモノが見れた満足感と、終わって残念に思う喪失感のなか、聴こえてきたエンディングテーマは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの大人気曲「Re:Re:」

オリジナルはシングル化されなかったアルバム収録曲だけど、初演からライブの大定番曲。本放送ではタイトルにアジカンの楽曲を使うほど随所にアジカンをオマージュしてきたぼっち・ざ・ろっくにふさわしい一曲。

このエンディングテーマのすごいところは、アジカンがふだんライブで演っているライブバージョンを結束バンド用、さらにふだんはキタちゃんがボーカルなのにボーカルぼっちバージョンにアレンジされている点。

イントロからアジカンのRe:Re:だと分かるのに、まぎれもなく結束バンドの楽曲になっていた。これを映画館で聴いたときは鳥肌が立った。

あとから知ったけど、音圧が強くてやたら音の粒が立つ立体感のある演奏と思っていたら、音響効果の高い映画館 (109シネマズ SAION)だったらしい。おそらく他の劇中歌も劇場版用にリマスタリングもされていたと思う。

まとめ

総じて、アニメでありながら最高のバンドサウンドが聴けたのは大満足だった。

どうしてぼっち・ざ・ろっくが好きなのかを考えると、バンドメンバーにまつわる青春群像の話に自分にはなかった高校生時代に想いを馳せて、フィクションに当時の思いを昇華(成仏)させているからかもしれない。

おまけでもらった

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