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強肩強打が魅力、日系人初の侍メンバー「ラーズ・ヌートバー」データ分析

野球の世界一決定戦「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC」(以下WBC)が、日本時間8日に開幕する。鈴木誠也が左腹斜筋損傷で離脱し、さらに重要性が増したラーズ・ヌートバーの存在。各メディアがこぞって報道をしたことで、ミドルネームが祖父からとった「タツジ」であること、ご両親の馴れ初めが語学留学だったことなど、割とどうでもいい予備知識を身につけることができた。

魅力的な人物像の掘り下げも捨てがたいが、ファンが気になるのはやはりプレーだろう。ここでは、定番の「Baseball Savant」からデータを引用し、メジャーリーガーとしての実力に迫ってみる。

■タツジに秘められた、高いポテンシャル

ラーズ・テイラー=タツジ・ヌートバー(セントルイス・カージナルス)
'22打撃成績
└ 108試合/打率.228/本塁打14/打点40/出塁率.340/OPS.788
└ wRC+125/fWAR2.7/rWAR2.2/wOBA.342/BABIP.248/BB%14.7

今季でメジャー3年目。成績だけを見ると一見平凡な外野手のようだが、データを掘り下げると、ポテンシャルの高さが浮き彫りになる。

平均打球速度91.7マイルは、MLB全体でも上位10%に入る。選球眼に優れ、四球率14.7%はMLB上位2%。オールスター以降に限れば、246打席で41個の四球を選び、OPS.846をマークしている。プルヒッター(43.8%)のため、BABIP.248は守備シフトの影響も受けているのだろう。

一方で、いくつか課題も見られる。フォーシームが打率.280なのに対し、シンカー系が.200、チェンジアップ、スライダー、カーブでは軒並み空振り率が高く、打率も1割台と粗削りな面を覗かせる。1次ラウンドで、アジアの投手相手に苦戦する可能性も考慮しておきたい。

■強肩を誇る外野守備

侍ジャパンに恩恵をもたらすのは、打撃だけではない。アグレッシブな外野守備も光り、OAA(Outs Above Average)が+1、打球反応やルート効率などの指標もMLBレギュラークラス。ライトでの出場がメインになるが、センターやレフトも卒なくこなせる。平均92.6mphの強肩は、MLB全体上位6%で、アーロン・ジャッジとほぼ同等の数値。鈴木誠也と比較しても、外野守備の指標はヌートバーに軍配が挙がる。

日系人初のメンバーとして侍ジャパンに合流した、ラーズ・ヌートバー。恵まれた体躯から繰り出される強烈な打球、ダイナミックな守備は必ずチームの戦力になる。1次ラウンドから、常時スタメンで起用したい選手だ。

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