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後編·四季ハズレ

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物語の舞台は主に中国蘇州である。前巻シキ外れと緊密な関係をしている。(前巻を読まなくても差し支えもない)  今度四季ハズレは考えに考えを重ねて、前巻と合わせて登場するキャラクター…
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#複雑描写ありあり

第四章(後)

「あら、どうやら本題を忘れちゃったかな」しばらくして、陳欣明が星の見えない夜空を見上げて、溜息をした。

「最後まで聞きたいの」

「最後まで語ってください」穎毅然が前の憂鬱を一掃して、例の話の終わりを強く求めてきた。

「残っていることはもう言った甲斐がないけど、言おう。そう、二人が出会った。最初神農架の入口で。その時仮の料理人も傷だらけだった。服が血に濡れてしまった。疲れ切っていたのに、まだぎ

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第四章(前)

「その二人の先生は社会の名料理人だそうだ。名料理人の門下はもともと三人の弟子がいるけど、もう一人は?殺されちゃったそうだ。食あたりに関係があるその仮の料理人に!それは当事者の言葉だった。
 三人誰でも世に出る前に名料理人が不治の病で亡くなった。仲の良い三人が名料理人の形見を片付けた時、案外に不思議なレシピを手に入れた。誰でも『知っらない、』『見たことがない』ものだったそうだ。それには誰も聞こえるの

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第三章

「常連さん?」

「えっと、平日なら、わざと彼を待つために一時間も延ばしても、まあ、やっぱ間に合えない場合が多かったけど。ところで、その人は声がちょっと四川訛りっぽい。特に酔っ払っていた時には、」

「そうなのか、って、聞いたことがあるの」

「聞いたんだよ。故郷のことを言い及んだ覚えがある。間違えなかったら、綿陽市の安県だっけ、」

「えーもしかして、あの地震だったの、」

 皺が出るほど、額の

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第二章

 学生たちが広場のようなところを経って、新しくできた大通りにやってきた。

 この辺りの灯りはさっきのより一層眩しくて、ここを通ったすべての人の目を奪うほど光っている。学生たちの心は繁華な商店街に建ち並んだ店のガラスに投射されたチカチカしたスポットの光に激しく打たれている。
 ある商品に説き及ぶと実用性とそのもの価格を常に合わせて得だかという考え方は早々世に溢れていて、自分にふさわしいものを選ぶべ

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