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「キャロル」を観て。

原題:Carol
邦題:キャロル

監督:トッド・ヘインズ(2015年)

原作:パトリシア・ハイスミス著「The price of Salt」

あらすじ: 1952年のニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。優雅で気品に満ちた美しさを誇るも、謎めいたムードもある彼女に魅了されたテレーズ。彼女にクリスマスカードを送ったのを契機に、二人は会っては話をする仲になる。娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルと恋人からの求婚に思い悩むテレーズ。そんな中、彼女たちは旅行に出掛ける。

感想:ワタシの中で大事な一本にまた出逢えた。

存在意義を持ち続けたいけど、手放したくないものもある。そういう場合はどうするべきなのか。簡単に切り捨てることなんてできないし、かと言って死んだように生きるのも嫌だ。人間は強欲だから辛いんだよな。

人間って不確か。存在価値や存在意義、感情や思考全てにおいて。不確かなものしか持ち合わせてない。だから人は自分の足りない部分を満たしたいが為に、自分の持っていないものを持ってる人に惹かれるんだと思う。それは決して悪いことじゃない。自分をわかってるということだから。


ワタシ自身も、ある程度自分がどんな人間かわかってきて諦めつつもあるが、認めたくない部分もある。どうすれば打破できるのか?この先、誰かと惹かれ合う出来事は起きるのだろうか。それともワタシが今惹かれてる相手はワタシの持ってないものを持ってるのだろうか。それを見極めるのはまだまだ先なのか。



ルーニー・マーラー。デヴィッド・フィンチャー監督「ドラゴンタトゥーの女」のリスベット役で好きになった。見た目は正反対かもしれないが、中身は純粋そのもの。さらに好きになるわ…。


ケイト・ブランシェット…。美しすぎる。緻密な抑えた演技が素晴らしすぎて…。

映像や美術も本当に素晴らしすぎて。この時代に行ってみたいと思わせるくらい素晴らしい街並みや部屋の造り。



同性愛を認められなかった時代。多くの人が自分の存在意義を持てずに生きていた。なんだかんだで人に対する恋や愛が人生の大半を占めてしまうから。だからこそ悩むのだろうけど、だからこそのびのびと愛する人に愛してるって言いたい。



著者のパトリシア・ハイスミス。彼女の死後、同性愛者ということがわかる。ヒッチ・コック監督「見知らぬ乗客」は同性愛を隠れたテーマとして描いたサスペンス。キャロルは隠さず全面に出した作品で彼女自身の体験だという。

小説を書くことで昇華して存在意義をなんとか持ち続けていたのかな。魂の叫びが聞こえる。


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