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五十五一六
2020年5月24日 13:10
麦茶を飲もうと冷蔵庫を開けたら小松菜が入っていた。取り出してテーブルに置く。椅子に座って腕組みしたまま小松菜を見つめる。小松菜は、ぐるっとビニールに包まれたスーパーなんかで売っている普通のヤツだ。わたしに買った覚えはない。そしてわたしはひとり暮らしだ。小松菜が自分で冷蔵庫に入るわけはあるまい。だれが?わたしが夢遊病で? そうだ、値札。値札を見ればなにかわかるはず。小松菜を手に取り、前
2019年7月15日 22:15
襖の向こうの猫の鳴き声で目が覚めた。枕元に手を伸ばし、鳴る前に目覚まし時計を止める。下宿の大家さんの飼い猫は、毎朝目覚ましが鳴る直前に鳴く。まるで僕が起きる時間が分かっているようだ。今日は週末で大学は休みだがデートの予定だった。布団から這い出しスエットのまま襖を開ける。鳴き声で起こしてくれた黒猫が、きちんとお座りしてこちらを見上げていた。長い尻尾がゆっくりと左右に揺れている。黒猫の後をついて