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塩の品質と病気の関係

戦前と戦後で、品質が最も変わった食べ物は「」と言えるでしょう。

塩の品質が変わった事で、戦前から戦後、病気の種類も変わりました。

戦前の塩

戦前の塩はニガリが多すぎて腎臓を傷め、老化を促進したので、
日本人の死亡原因の第1位は腎臓病でした。

その反面、ニガリに含まれるミネラルの働きで、小児麻痺やガンは少なかったそうです。

敗戦までの日本人は、早熟早老で女性は15~18才で結婚し、
男でも身の丈五尺(1.55m)人生50年でした。

60歳にもなれば 腰は大きく曲がり、70歳で「人生70古来稀なり」でした。

塩は 叺(かます)に入れて販売していた

当時、一般の家庭で使われる塩のほとんどは、叺(かます)という
藁(わら)で編んだ袋に入った形で小売店に納品され、これを店頭の木箱に移し、そこから必要な量をはかって販売されていました。
現在のように精密なデジタル機器の無い時代であり、はかった量が正確で
なく購入者の希望する量に足りないことや、叺に由来する藁くずが混入することなどもありました。
なお、叺や店頭の箱で保存している間に塩に含まれる水分が抜けていき
純度も変わってしまっていました。

出展:塩事業センター 
https://www.shiojigyo.com/product/upload/brandhistory_shokuen.pdf
叺(かます)
出展:塩事業センター 
https://www.shiojigyo.com/product/upload/brandhistory_shokuen.pdf

戦前の塩の製法:入浜式塩田

入浜式塩田
出展:塩事業センター https://www.shiojigyo.com/product/upload/brandhistory_shokuen.pdf

遠浅の海岸に大きな堤防を造り、満潮・干潮時の水位の高さの中位に築いた塩田に海水を導き、太陽熱と風で水分を蒸発させ、砂に塩分を付着させます。
この砂を沼井に集め海水をかけて、濃い塩水(かん水)を採るものです。
17 世紀半ばに瀬戸内海沿岸で開発されました。

「食塩」ブランドヒストリー
https://www.shiojigyo.com/product/upload/brandhistory_shokuen.pdf

戦後の塩

戦後の日本の発展は、昭和28~46年までの「流下式枝條架併用塩田(入浜式をそのまま転用)」が普及して、労働力が、6~10分の1 になりました。

ニガリを減らした「並塩」は、世界の製塩史上最高の「食用最適塩」
でした。

この塩を食べるようになってから、日本の戦後復興に弾みがつきました。
脳力(能力)が向上し、身長六尺(1.8m) 人生80年となりました。

今では腰の曲がったご老人は、ほとんど見かけなくなりました。
この原動力は、ニガリの少ない塩です。

戦後から塩田廃止までの塩の製法:流下式塩田

日本専売公社は、昭和20年(1945)代後半から、当時主流であった「入浜式塩田」から、より効率的な「流下式塩田」への転換を進めました。
昭和32年(1957)頃までには、転換がほぼ完了し、入浜式塩田よりも生産性が向上しました。

その後、日本の塩田は、昭和46年(1971)に、廃止されました。

流下式塩田
出展:塩事業センターhttps://www.shiojigyo.com/product/upload/brandhistory_shokuen.pdf

地盤に傾斜を付け、その上に粘土またはビニールを敷き、さらに小砂利を敷いた流下盤と、柱に竹の小枝を階段状につるした枝条架からなり、ポンプで海水を汲み揚げ、流下盤・枝条架の順に流して太陽熱と風で水分を蒸発させて濃い塩水(かん水)をつくります。曇天でも風の力で海水が蒸発するので、入浜式塩田よりも天候の影響を受けにくく、また入浜式塩田のように砂を運ぶこともないので、労働力が大幅に軽減されました。

「食塩」ブランドヒストリー
https://www.shiojigyo.com/product/upload/brandhistory_shokuen.pdf

死亡原因の変化

昭和28年(1953)以降に、日本人もニガリを減らした流下式並塩を食べ出し、背丈も寿命も知力も経済も伸び始めました。

戦前の日本人の主な死亡原因であった腎臓病は、戦後は相対的に減りましたが、免疫力と体力が低下し、成人病、ガン、食中毒、精神障害などが増えました。

昭和46年(1971)以降の、ニガリの無い、純塩化ナトリウムになってから、下記の様に死亡原因が変化します。

■1950年代ー1960年代の死亡原因
1位:脳疾患
2位:ガン
3位:心疾患

■1970年代 死亡原因
1位:脳疾患
2位:ガン
3位:心疾患

■1980年代前半 死亡原因
1位:ガン
2位:脳疾患
3位:心疾患

■1980年代後半 死亡原因
1位:ガン
2位:心疾患
3位:脳疾患

1980年代の前半と後半で、脳疾患と心疾患の順位が逆転しました。

※死亡原因の変化については、厚生労働省の「第7表 死因順位(第5位まで)別にみた死亡数・死亡率(人口10万対)の年次推移」を参考にさせて頂きました。

食の変化との関係

脳疾患と心疾患の入れ替わりの原因は、下図が示すように、1960年代以降の食の変化も、要因として関係していると考えられるでしょう。

第一に、図から見て取れるのは、「食肉」と「砂糖」「小麦」「牛乳」「乳製品」の多食があります。

第二に、1960年代から、一人が食べるお米の量が減った事です。
年に120kg のお米を食べていたのに、60kgへと半減しました。

昭和46年に、塩田が廃止され、お塩の製造方法が変わり、工場で造られる
「食塩」に変わった事も、併せて関係していると考えられます。

ニガリは諸刃の剣

戦前のお塩には、ニガリが多く、腎臓を傷める為、日本人は早老で腎臓病が多かった。

戦後に塩田が廃止されてから、工場で造られるニガリの無い塩では、免疫力と体力が低下し、成人病、ガン、食中毒、精神障害などが増えてきました。

こうした事から、お塩に含まれるニガリは、多く含まれていても、無さすぎても弊害があり、バランスが大切だと考えられます。

ニガリが人体にとって、100%有益ならば、海水をそのまま飲む健康法や、海水を料理に使うという歴史が、今でも続いていてるのではないでしょうか?

ニガリについては、こちらの記事で書いています。

お読みいただき、ありがとうございました!

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