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ドラマ「季節のない街」

がんもどき編

ああ、本当に脚本が良すぎました。
なにこれ、殆ど台詞をつかわずに
あるいは誰かが何かの嘘をつき
そして黙っている人々


実はこの新しくこの仮設住宅に入った半助が物語の軸となる人物なのですよね。
でも毎回主人公が変わる群集劇みたいなモノとして見ていました。
黒澤明映画「どですかでん」では存在しませんでしたからね?確か

猫の気持ちまで書いていたので、小説家かと思ったらどうやら最後には友人達から裏切り者呼ばわりされそうな気がする。
本人はどういう意味の仕事かあまり知らないですけれど…






もう、がんもどき編の粗筋を書いちゃいますけど


子供の頃からかつ子は母親から叔父叔母夫婦に預けられています。
かつ子はお母さんにがんもどきの潰れたような顔と言われたのは近所中が知っている。

そして毎日かつ子はマスクを作る内職をやって家の生計を立てています。叔父は働いていない。

リカーショップオカベ(酒店なのでよくかつ子の家に叔父の呑む酒を届けていた)のオカベがこのかつ子の薄幸そうな?雰囲気が好きで…
お店のチョコやらお菓子をこっそりあげたりして好きアピールをしている…

「僕はかつ子の気持ちが表情で分かる」
とオカべは日頃言っていたが、トップ画をご覧頂きたい。
好きだからという理由で
いきなりかつ子をスマホで撮って喜んでいる。
考えると…オカべも叔父さんと近いような気がしますよ。

叔父さんは、殆ど自分の世界に閉じこもっているかつ子を手籠めにします。
「目を閉じて!」
と言ったので多少は悪い事をしていると思っているのだろう。

それは叔母さんが入院している隙だった。

そしてしばらくして叔母さんがかつ子の妊娠に気が付く。


かるーい漫画だったら
「この、小娘が!」
と言うところだが、妊娠の計算をしてすぐに
自分が病院にいる時だと気づく。

かつ子は人と話せない。
トラウマがあり、何も言えない娘になっている。
なので

「この、泥棒猫!色仕掛かい!?」
なーんて事を妻である叔母は当然の如く言わず、姪を責めずに「あのクソじじいが!」とブツブツひとりでつぶやく。


しかし家に帰ると叔母さんはカッとなり責めないで
「かつ子が妊娠したわよ。どうする?」
と夫に聞く。

それだけで夫は本が読めなくなり、焦って小難しそうな言い回しを使いながら
「あばずれだよね。俺じゃないよ!産ませちゃいけないよ」
と言う。
叔母さんは何も言わないのに
である。
言うことが、態度がおかしすぎる。

それでも責めない妻。
長年の夫婦というのは、わかっていてもガンガン言えないのかもしれないな…と思った。

おばさんはかつ子に羊羹を一本買わせた。
✳ネギも一本だけ買わせていますが
そっちが本当の買い物?

おそらく内職で生活をしている家なので
羊羹を一本買うというのは
かなりな贅沢なのだと思います。

そしてかつ子はいつもに増しておかしいのだが

オカべはかつ子に気に入られたくて歌を練習。服も買ってやっていたのでかつ子の誕生日にそれをあげて歌もかつ子のために歌おうとしていた。
だが…かつ子は…

《衝撃的な部分はここで書きません》
追記∶但し、オカベと同じくらいわからない人が多そうなので付け足したくなりましたが
かつ子はタヒぬしか無い程追い詰められていた。
好きでも無い叔父に犯されて妊娠したのだ。
叔母さんとも居づらい。
暮らしもギリギリ。叔父との間の子供なんておぞましくオカベに言え無いし、付き合うことも今後無いと考える。
将来の希望が全く無い。
ちなみに叔母さん達はおろす話しをしていたが、
おろすお金も無い。
そんな追い詰められてギリギリの人間なのです。
ほんの軽い気持ちで、人間を狂わせたのは叔父だ。
追記の追記∶オカベとは肉体関係が1度も無い

そしてオカべは、良い人そうにみえます…が、
結局叔父さんに近く
かつ子が何を言いたいのかわかっていなかった
「タヒのうと思ったけど…
あなたに忘れられたくなくて」
それがどういう意味すらちっともわかっていないとは

かつ子にとってオカべは特別な存在だったのに。
そりゃ、だからどうして?とは思うかもしれないけれどその言葉を聞けば少しはわかるだろうが


オカべはかつ子からの愛の告白が全然分からないらしい。
オカべが歌っているのでかつ子も初めてのハモリを入れたら
「勝手にハモらないでくれる?」と言うオカべ。
そして、かつ子にチョコをあげたら
かつ子が拒否をした。
「ニキビが出来るから」
「それ早く言ってよ!」

ってオカべ、君はかつ子の微妙な態度でわかるんじゃなかったのか?
わかってないよね…何も
だからかつ子はひとりで立ち去ったのだ。


もう一方、主人公と元カノの話も似ていた。
元カノとは話が合っていた。
そこが良くて付き合っていた仲なのだが

ある日半助が本心を言った時
彼女は去った。
別に悪い事を言った訳では無い。
「この人とは価値観が違うわ」
と思ったからだ。

どっちも悪い訳では無い。

叔父叔母の話に戻るが
オカべがそれをやられた事や何も訴えないと知って叔父が
「やっぱり!訴えないのはおかしい!小僧(オカダ)がかつ子をはらませたんだろ!(やましいから)だから◯された(だから俺じゃないんだよぉ!!)」
と言う。

だがそんな嘘を言っても
「かつ子が警察で言ったらしいんです。あなたが逮捕されます」
と言うと一転
「かつ子がデタラメを言っている!かつ子のデタラメ!」
と夫は言い
マスクを入れた袋を全部持っていきなり逃走。

逃走する姿を認識しながら高値のものであろう羊羹を切らずにそのままむさぼり食べる妻!
「あなた、どこに行くの?」
とも聞かずに!
この修羅場こそがあり得るかもなと思いました。


そして仲野太賀くんです。

普段付き合いがかなり良い人間のはずなのに何もかも断り
家族のために帰るだの
大変だの笑いながら言う。
ほとんどいつものタツヤと変わらない。

仲野大賀君の場合は嘘をついているようには見えない。
なので友人達は普通に聞いている。

普通に嘘をつき、
家に帰ると、ぼーっとして何も無くなった
誰もいなくなった家にたたずんでいる。

嘘がバレて慌てるかつ子の叔父とは対照的で
嘘を笑いながら言い、誤魔化す態度に
またもや仲野太賀の演技は凄いと思った。

監督横浜聡子さんの
やり方なのだろうが…

岩松了のコミカルな演技も良かったんですけれどね。

しかしそれぞれのカップルのズレた感じもよくて
脚本が素晴らしいんだろうなぁと思った。

そしてそれらのかなりな深刻な出来事は見て見ぬふりをする近所のおばさん達の態度も…凄いなと思った。

近所のおばさん、かつ子に優しくしてくれてありがとう…

✳加筆修正致しました











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