見出し画像

母は強し

私の母は私がお腹にいたとき医師(内科医)をしていた。
私がお腹にいるとわかってからも野戦病院のような三次救急の病院にいたためかわらずフルタイムで働き、残業をし、当直をし、産まれる2週間前まで当直していたそうだ。


そのうえ医局にいわれた週1回の外勤は埼玉から木更津までの移動距離があり臨月のお腹で早朝5時に出かけては、夜に帰ってきたらしい。


当時の医者の労働環境はみんな過酷すぎて、そのなかにいる女性も守られることはなかった。
どれだけ医者がたりなかったんだろう?と思う。
今はましになってきたかもしれないけれど、今だって医者はかわらず労働基準法の適応外の存在だ。


年末年始GW盆休日昼夜関係なく働く上司、同期、後輩、知り合い、家族をみて医者って本当に大変だなと思ってきた。
パパなのに連日仕事で家に帰れず、親戚だと思われていたという先生もいた。
それだけ人の命や誰かの家族の命や健康を預かる仕事の責任は重い。
みんなにもそれぞれ家族がいるのに、家よりも病院ですごす時間のほうがずっとずっと長いのだ。


母は私が産まれてから仕事をやめた。
そこから弟が産まれて、また母は仕事に復帰した。
育児は幸せだったと母はいう。
私が知っている母はいつも働いていて授業参観にもきたことは一度もなかった。
それでもたくさんの愛情をそそいでくれたからぐれずにすんだ。


「優等生だった母、お人よしだった母はいつも自分のことはあとまわしで人のために働いていた」と知り合いから聞いたことがある。
私は運良く順調だったから今ここにいるがそんな母も、もし妊娠経過中になにかあったときはきっと仕事をためらいなく休んだだろう。
母になった友人たちも同じく自分の身体、家族を第一に考えている。

母は強い。
それは単なる自分勝手ではなくて、誰かを思う愛情からくる強さだ。
母になることはきっと、大切なものを守れる強さをもつことからはじまるのだと思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?