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【10月23日~29日】今こそ麻雀がしたい

蟹座は、「同じことを二度と言いたくない」みたいな、そういう恐怖心を持っていることが多いです。「え、これについてさ、前にも私言ったじゃんコノヤロー」となりやすいのです。「あの手間はなんだったのだろうか」と途方に暮れやすい。

しいたけ占い WEEKLY

今週特にこうだった、というわけではないのだけど、あるあるすぎて笑ってしまった。親しい人には「いや、だから言うたやん」を繰り出しやすいですごめんなさい。
手間と時間をかけて話したことについて、全然聞いてませんでしたね? と思うようなことがのちにあったら、その相手にはもう話すことを諦めてしまうようなところがある。

そのくせ私も人の話をあんまり聞いてないんだけど。


厳密に言えば、興味のない話は聞いてるフリをして聞いていない。ごめんなさい。だいたいのことは聞いてる。たぶん。聞いてるよ。

さて。冒頭の写真の通り、今週は麻雀で遊んできた。

10月は羽を伸ばすと決めてはいたけど、この予定は最後の最後にひゅんっと入ってきて、「いや、さすがに今月遊びすぎ……?」とは思いながら、手元の仕事はきっちり進めていたし、この先しばらく気軽には遊べない気配だしで「行く~!」となった。
会いたい人に会いに行ったり、やりたいことをやるのは今。というような感じでフットワークの軽さだけは持ち合わせている。お誘いはいつでもうれしいものだ。

麻雀をしに東京へ行くというまさかの事態に笑いながら、神戸空港でさくっと朝ごはん


子どもの頃、たぶん私が中学に上がるくらいまでだったと記憶しているのだけど、私の家は家族で麻雀をすることがたまにあった。
父と、父の同僚でありご近所さんでもある、家族ぐるみでのお付き合いをしていたおじさんがいて、最初のうちは彼と父、母と兄の4人でやっていたところ、いつの間にか私も覚えて混ざっていた。

頑固でクセの強い父と違って、おじさんはいつも朗らかでやさしくて、私は彼のことが大好きだった。身内以外で、私が生まれてからずっと私のことを知ってくれている貴重な大人だ。
麻雀も、役がなくて本来なら上がれないところで私が「ロン!」と言って手元を見せても、「あー、なるほどなるほど、いいよいいよ」と笑って勝ちにしてくれるようなおおらかさ。
ドンジャラをすっ飛ばして麻雀から入った私は、そうやって『家族麻雀』ならではの恩恵を受け、最低限のルールを覚えた。

と言いながら、未だに「役ってなんぞや……」となるレベルなので、今回の同年代麻雀会では絶対に鳴かないことを自分に課した。
家族麻雀では許されても、正確に理解していないと不安に思うならばマナーとしてそうしておくのがよい、と思ったからだ。
最初はボロボロで持ち点が極貧になっていったけれど、最終的には追い上げて、それぞれに上がれてとても楽しい麻雀だった。
20年以上ブランクがあってもどうにかなるものだ。弱いけど。

だらだらと食べながら、ああだこうだと麻雀で遊び、休憩しながらおしゃべりする。
あの頃は、大人の会話をよくわからないまま聞き流していた。
けれど今は、自分が大人側の立場で遊んでいる。
父とおじさんは、こういう時間を過ごしたくて麻雀をしていたのかと。
私は今こそ、おじさんと一緒に麻雀がしたい。

5年ほど前、両親とおじさんが焼鳥を食べに行くと言うので、私も便乗したことがあった。
おじさんは海外赴任から戻ってきたところだったから、久々の再会だった。
「しーかは今どんな仕事をしてるの?」
「しーかはすごいな。頑張りや」
聞き上手なおじさんらしく、ふんふんと私のことを聞いてくれた。
私が初めて髪を染めたときも、何事も否定から入りがちなところがある父はブツクサ言っていたのに対して、「しーかは茶髪も似合うよ」とサラッと言ってくれたのがおじさんだった。

嫌な言葉を吐いているところを見たことがない。
目尻の笑い皺が深いおじさんだった。

彼が亡くなってから2年が経つ。
父もおじさんも定年退職して、自分の生活に新たなルーティンができて、さあそろそろまた飲もうか、あるいはまた麻雀でもしようかと、孫の話でもしながらどうだと、老後の友人同士としての時間がまさにこれから始まるところだった。
今なら私も、大人の輪に入れた。

一緒にやりたい相手が、今はもういない。
父は口には出さないけれど、その寂しさは察するに余りある。

いつも私の話を聞いてくれたのに、私は彼に聞いたことがなかった。
「体の調子はその後どう?」のひと言さえ。
聞いたところでニコニコして「大丈夫」としか言わなかったかもしれないけれど。

いつも肯定してくれたことで、私がどれほど救われたか。
そんな話をしながら、大人になった今こそ一緒に麻雀卓を囲んでみたかった。

麻雀はたぶんずっとヘタだけど、おじさんのように嫌な言葉を吐かない人には努力次第でなれるかもしれないから、自分の子どもや孫たちのことばかり見ていないで、たまに私のことも思い出して見張っていてほしい。
彼のことを思うにつけ、いい言葉を口にしたいと思う。
できるだけ「いや、だから言うたやん」も封印したいし、誰かの“好き”を「いいね」と笑って聞ける人でいたい。

麻雀に誘われて、「やるやるー!」と気軽に乗れる今を作ってくれたのは間違いなく彼だった。そんな時間に導いてくれていた。
私もまだ寂しさが抜けないけれど、伝えられなかったありがとうを込めて。


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