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「折り紙目玉おやじ」の真意

宿の象徴として、現在はすべてのSNSのプロフィール写真にも使っている「折り紙目玉おやじ」。
純然たるボランティアで、ご宿泊いただいた人と「町を楽しんでいる“想い”が伝わってくる人とお会いした際」に提供しています。

境港はアクセス的にどの地からも訪ねやすい場所ではないですが、「心から町を楽しみたい」と思ったひとなら、一度は来てくださるものです。
しかし、それを「定期的」にするのは、多難です。でもそれが、「町」としての意義であり、うちの宿の主幹ですので、非常に効率は悪いけれど、確実にコンセプトを伝えることはできる「繋ぎ役」として、丹精込めてつくっています。

自分で言うのもですが「手間」はかけています。
基本的に拘り派の「芸術肌」なので、細かいところまで几帳面に仕上げているつもりです。

5年ほど前、「自分にできることを」と考え、手先の器用さを活かして試作。「つくり方を教えます」という感じで始め、その後は伊勢から訪ねるたびに100体前後を準備し、被り物をお借りした際に楽しんでいただいた人にプレゼントしてきました。宿の開業後は、5月連休とお盆期間を除いて「毎週32体」を目安に制作(16体で1セット)し、週末を中心に提供。一年以上たつと「昨年もらいました」「ホームページで見ました」と話してくださる人もいて、だいぶ広まってきた感じです。

宿泊状況によって変わるものの週に16~48体は作り、1か月平均すると130~140体に上るので、開業後だけでも1500体以上、通算では4千~5千体くらいになるはずです。
コスト的には「1体5円かからない程度」ですが、「塵も積もれば・・・」で、それなりに費やしています(折り紙と糊の代金で月400~500円)。
1体あたりにかかる時間は約20分。パーツごとに分けて、数日かけて少しずつ作っています。

「折る」作業は、片手間でもできます。面倒なのは「切り分け」と「仕上げの貼り合わせ」。
パーツごとにサイズが異なるので、例えば「お茶碗」は15㎝×15㎝の折り紙をそのまま使いますが、「目玉の黒い部分」は「64分の1」まで切らなければなりません。この切り分けが雑だと折りにくくなり、特に「胴体」は4分の1サイズに切る際の歪みを最小限にとどめなければなりません。貼り合わせも手間がかかります。
その手間は割とご理解いただけているので、うれしいです。

現在は、ご提供した人が「もらいました」と申告して現物か写真を見せてくだされば、宿泊料金を「300円割引」(大人料金のみ・1回目のみ)。来年以降に向けてのつもりで最近始めたのですが、それで100人に1人でも来てくだされば、地道な“想い”を込めた甲斐があるというものです(僅かですが、この提供をきっかけに再会した人、ご宿泊いただいた人もいます)。
そして、宿としての結果を求めたくて行っているわけではありません。旅人さんや子どもたちに喜んでいただければ満足です。「町を楽しんでいただいたお礼」と「工事でご不便をかけている中での、想い出の一つ」です。自分自身も、旅人さんとの会話を楽しませていただいているわけですから。

現状では「自分にできることを、独自でやる」しかありません。
町全体で、一体感をもって楽しんでいけるのが理想ですが、いろいろ難しい面があります。自分としては、余計なことに踏み入らず、あくまでも「観光客の立場と気持ち」で、“気持ち”を交わしていきます。


――旅を愛し、旅を知り、旅を学び、旅を語り合う空間――
「鳥取境港”縁”」
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