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好奇心を満たしたい僕は「マルチ・ポテンシャライト」という生き方を知り、救われた

子供の頃から「将来は何になりたい?」と大人に夢を聞かれる。

僕が卒業アルバムに書いていたものだと、小さいころから順に
「宇宙飛行士」「デザイナー」「通訳」となっていた。

みごとにバラバラだ。

今までずっと「何者になりたい」かを、明確に決めることができずにいた。

そんな中でも、高校生の頃くらいから進路を選んだり、就職をするにあたり、仕事を選ばなければならない。

当時の僕は「外国語を使って世界で働きたい」と思っていた。

「通訳」という夢のかわりに「ホテルマン」という道を選んだ。実際に海外や国内のホテルで、英語を使って働き、様々な貴重な経験もした。

7年間やってみて、仕事自体は好きだったけれど「この業界で一生を貫くということはおそらくないかもな」とある意味、踏ん切りがついたので離れていった。

当然ながら、親にはこってりと怒られた。

「あんたは、いつもフラフラして!」とか
「せっかく選んだ仕事辞めてどうするの?」
「中途半端だ!」とボロクソだった。

親としてはずっと、ホテルマンとして出世のキャリアを歩んでほしかったに違いない。そこを離れ、全く違う業界へ移るということがとんでもないリスクだと思ったのだろう。

でも、ホテルという職場で、僕は貴重な経験をした。
それは「自分は出世することに向いてない」「複数のスキルを持つことは変化に強い」という2つの事だった。

組織の中で上下関係でやりとりしたり、出世するという事が、僕には向いていないと思った。

出会った上司や同僚にはとても恵まれていたと思うが、ホテルというのは特に階級によって、上下関係が厳しく決められる特殊な場所だ。個人できる仕事を目指そうと思ったのは、ここでの体験があったからかもしれない。

また、ホテルには、宿泊、飲食、宴会、掃除など、様々なプロの仕事がある。いわば、「人の生活や暮らし」に密接に関わることだ。

7年間で、これらの仕事を網羅的に経験できた。
なので「今後多分、食えないという事はないよな」という
根拠のない自信だけは持っていた気がする。

次に選んだのは「デザイナー」だった。

「自分がなりたいと思っていたものはやってみよう!」という気持ちからだった。でも当時から、一生この仕事をしようと思ってはいなかった。

「デザイン」や「クリエイティブ」のスキルがあることは「将来自分で何かをするときに、絶対に役に立つだろう」という思いだけは持っていた気がする。

全くの未経験から、WEBデザインの世界に飛び込んだ。

色々ともまれながら、他にやってみたかったことである
「企画・マーケティング」「プログラミング」も仕事をしながら
並行して身につけていった。

同業者を見ていると、専門家として仕事をしている人が比較的多い。
デザインだけを突き詰める人、エンジニアとしてプログラミングだけをやる人、マーケティングだけを追い求める人など。

そう言う意味では、僕は異端児であり、中途半端な人に見られるかもという気持ちはあったが、どれか1つに限定されてしまう事の方が、むしろイヤだった。

また、デザインとプログラミングを両方身につけている事でワンストップで作業ができ、コミュニケーションやスケジュールの練り直しのコストや手間が大幅に減る。2つの視点が見えている事は意外と大きい。

なので、僕の思いを知ってか知らずかは不明だが、仕事を依頼してくれるクライアントの存在はとてもありがたい。

なんだかんだでもう15年以上が経ち、今もこの仕事は好きで続いているけれども、40代半ばを過ぎ、そろそろ人生の舵を違う方向に切りたいと思うようになってきていた。

でも、いまだにはっきりと決められない。

新しく去年から、オンライン講師という新たなステージで奮闘してはいるけれども、はっきりとした軸が決められない。

そんな時、今受けている講座で「吉田さんは、色々なスキルを自在にジャグリングしている人って感じかもね」と言ってくれた先生のさわらぎさんの言葉にハッとした。

「いろんな自分を認めて、それを活かすいいのかもしれない」と少しずつ思えるようになった時、この本と出会った。

「マルチ・ポテンシャライト」という「さまざまなことに興味を持ち、多くのことをクリエイティブに探求する人」のこと。

本を読んですぐに「ああ、俺のことだ」「こんな生き方をしてみたかったのかも」と思った。

詳しくは著者のエミリーさんが、 TEDで話してくれている。

「マルチ・ポテンシャライト」という生き方は複雑で
周囲に理解されづらく、苦しいものだと個人的には思う。

1つのことを極められず、器用貧乏とか中途半端というレッテルを貼られ、自分はどこかおかしいのでは?と人知れず悩んでいた人は、きっと僕だけではないはずだ。

専門家や職人の生き方も確かに素敵だ。でもそうじゃなくてもいい。

人生には限りがある。自分しかできないその時のステージを、好奇心のおもむくままに生きていくことを今後も大切にしたい。

マルチ・ポテンシャライトという生き方をしようと決めたことで、ずっと悩んでいたことが一つ僕の頭から消えていった。

僕のやっていることは雑多に見えるかもしれないが、核になっている思いは

「ありのままの自分を受けいれ、たった一度の人生を楽しむ」
「人の「らしさ」や「ちがい」に美しさを見出し、多様性を尊重し
いかしあうこと」だ。

これからも、くねくね道を進みながら、自分の心のままに正直に生きていけたらと思う。

「何者かにならなければいけない」と焦らず、自由自在に変化していく自分を生き方を楽しむ旅に出てみよう。

かつての僕と同じ気持ちや思いを持っている人に、少しでも気づきになることを願って。この本に巡り合えたことを感謝したい。


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