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高卒で就職するか進学するか ー 令和の進路面談


▼はじめに

「これからの時代は日々学び続けることが大事だと思う。だからこそ、目的がないまま大学に進学するよりは一度就職をして、社会経験をしてお金を貯めたい。そのうえで学びたいことが決まったら進学も考えたい。」

私は普段、高校生に対してもキャリアアドバイスを行っていますが、最近の面談で上記の内容を生徒さんからよく聞くようになりました。
そして、その多くに共通の続きがあります。

「でも、親からまずは大学には進むべきだと強く言われている。大学に行った方が可能性が広がるのだろうけれど、学びたいこともないまま大学に行くのは違うと思っている。」

大学に行くべきかどうかについての論点はいったん置いて、
このように将来に対する子の考えと親の考えが相違する件で相談を受けることはよくあります。

ちょっと語弊がある言い方かもしれませんが、
大いに衝突すべきだと感じています。

子の考え、親の思いそれぞれをぶつけあい、双方の考えがお互い理解できた状態で、進路決定していけると良いですよね。

もちろん、「理解はするが納得はできない」なんてことにもなるかもしれませんが、最後は子の人生なので、子の選択をまずは尊重することを目標にしつつ、視点の少なさや思考の浅さを大人が補える存在でありたいものです。(自戒を含めて)

この記事では、
親の思いや期待と子の考えや希望の衝突時に意識したいこと
・大学に進学すべきか
・高卒で就職するべきか進学するべきか

についての私見を述べたいと思います。

少しでも興味を持ってくださった方は、稚拙な文章ですが最後までおつきあいくだされば幸甚です。

▼親の思いや期待と子の考えや希望の衝突時に意識したいこと

まず大前提として重要なのは、令和では、親が考える常識と子が巣立つ社会の常識が異なる点も意識しながら、子への助言をすることが求められる時代であるという点です。

というのも、年功序列・終身雇用を軸とする日本型雇用慣行は崩れ始め、一つの会社に骨を埋めるつもりで入社するということは、したくてもできなくなっています。

最近では、「リスキリング(※)」という言葉が少しずつメジャーになってきています。
(※リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流―経済産業省)

予測不能な事態に見舞われることに備え、
特にIT分野に関する日々の自己研鑽を怠らず、状況変化に応じて柔軟に対応する力を培うことが求められ、社会人になっても大学やビジネススクールに通い直したり、オンデマンドサービスの動画コンテンツを購入し自宅で勉強することが必須の時代を迎えようとしています。

就職したら終わり・・・ではなく、親(大人)も子も常に時代の変化に合わせて”アップデート”し続けなくてはならない時代となりました。

だからこそ、意識したいことは、親(大人)と子のどちらが正しいかではなく、互いの考えが衝突したときこそ、将来についての考えを深めるチャンスに変えるという姿勢です。

また、子が自分で考える、自分の意志を大切にできる場の提供予測不能な時代を生き抜く力の育成にもつながるのではないでしょうか。

どうしてほしいかを伝えるのではなく、どうしていくかを一緒に考える

これまでの時代がどうであったかよりも、これからの時代をどう生きるかを一緒に考えていく姿勢がいっそう大事になってきた、と感じます。

▼大学に進学すべきかについて

そもそも大学進学を選択しない生徒は、学力的な課題、家庭的・経済的な事情や地域的な事情もあるため背景は様々です。

しかし、往々にして決定打となるのは、学びたいことがない、特に目標や目的がないという理由です。

「目的の有無」ベースで進路を捉え、目的がないから大学に行かないというのなら、目的がなく就職はしていいいのか?という点も考えさせなければなりません。

そもそも目的がないからこそ、目的探しのための進学があってもいいと思います。

いろいろな人と出会い、様々な理論や価値観に触れることで自分の視野が広がることもあります。その点で、大学に進むこともあきらめないでほしいと個人的には思っています。

また、本当に学びたいことや興味関心事がないのかという点もしっかりと向き合いたい部分です。

というのも、ちゃんと話を聞いていくと、実は興味関心のあることが存在するケースがほとんどです。

食に興味がある、ゲーム制作に興味がある、イラストに興味がある、のように自分が好きだったものやことが些細なことでも一つは存在しています。

しかし、途中でなんらかの理由であきらめてしまったり、遠ざかってしまったりして心の奥深くにしまっているケースがほとんどです。

もしも高卒で就職をする場合、そういった自分の興味関心に関わる仕事に就けることは稀です。(高卒での就職方法については別記事に譲ろうと思います)

せっかく興味関心のあるものやことがあるのなら、それをもっと追求していほしいと思いますし、仮に何も興味関心がなかったとしても、大学に進むことで、教養を身につける、人脈を築くという点で可能性は広がります。
「▼はじめに」の事例にある親側の想いは、この点あると思っています。

▼高卒で就職するか進学するか

以上述べてきたことを踏まえて、高校卒業後の進路を捉えなおしてみると、

「Doing(何をやりたいか、どんなことをしたいか)」よりも、
「Being(どんな人生でありたいか、どんな人間でありたいか)」

を重点に置いた進路選択がこれからは重要に思えます。

なぜならば、「Doing(何をするか)」は、そのことを時代が必要としていなければ意味がないからです。また、「Doing」を重視しすぎると意味や目的に縛られた考え方になってしまいます。

夢や目標から逆算して進路を検討するアプローチは時代錯誤となりました。さらに、大げさな言い方かもしれませんが、今の学生たちに「ロールモデル」はいないと思っています。(公務員や医者などを除く)

自分のやりたいこと、好きなことだって途中で変わるかもしれませんし、そもそも、時代に必要なことも目まぐるしく変化し続けているのが現在です。今活躍している人も今だから活躍しているだけかもしれません。(これはいつの時代だって言えることですが)

その上で、私は以下の点が社会に出たときに重要だと思っています。

・時代の急激な変化に対応できる柔軟な思考力の取得
・どんなに周りが変化してもブレることのない自分の価値観の探求
・AIに対抗するための、協調性やコミュニケーション力の養成

これらの礎を築くチャンスが一番あるのは「進学」だと思っています。
一方、就職して社会に出ることで学べることもたくさんあります。

目的ややりたいことが明確で、それが就職により実現できるのなら進学することがすべてはありません。大学に行くこと・卒業することがゴールの進学をするぐらいなら社会に出た方が得られるものは多い場合もあります。

最近では、自分の制作物(アプリやイラスト)で収益を得ている中高生もいる時代です。その経験を積み重ね、本気でフリーランスで活躍することを目指すのならそれはそれで素晴らしいことだと思います。

大事なのは、
・親も子も慣習や前例に囚われすぎないこと
・夢や目標、やりたいことがないからと進学をあきらめないこと

だと思います。

「幸せでいつづけたい」「お金持ちでいたい」でもいいので、まずは漠然とした自分の在り方(Being)を想像して、学生には焦らず自分の進路をじっくりと考えてほしいものです。

最後までお読みくださりありがとうございました!


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