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【対談】~噛み合わないふたり~④〈コラボを振り返っての感想戦編〉

introduction…

こちらの記事は「着れる小説」の企画を立ち上げるにあたって声をかけさせていただいた、漫画家兼、イラストレーターであるスガノヨシカ(以下、スガノとする)さんにメールで質疑応答を行い、もらった返事を元に僕がまとめた対談記事もどきです。

着れる小説についてはこちらから
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読んでいただけましたかね?
それでは、はりきってどうぞ!




Q4;
今回のコラボを通しての
全体的な感想をお願いします。


>野凪爽
正直に言います。
ずっと僕は「この人噛み合わないなぁ」と思っていました。

当初、僕は誰かと共同制作をすることに対して、今思えば安直に考えていた節があり、このコラボイラストも自分の意見を隅々まで反映させたものができ上がるだろうと思っていました。つまり僕はスガノヨシカさんを願望器のように捉えていたのかもしれません。

ですが、ボクがそうであるように、スガノヨシカさんも表現者です。
お互いに自分の世界を持っていて、譲れないものがある。
そんな当たり前なことを僕は失念していました。

故に、今回のコラボ制作は常に「自分のエゴ」と「ヨシカさんの要望」が綱引きをしているような印象があり、メールのお返事を出す度に緊張し、受け取った返事に対して苛立つこともありました。

ですが、そんな過程を経て、互いの領分を尊重し合い、出来上がった制作物は申し分のない出来になったと感じています。それは、きっとボクのエゴだけでなく、「ヨシカさんのアイデアと創造力」が混ざり合ったからなんです。

改めて、この度はコラボイラストのお誘いを受けてくださりありがとうございます。

📨送信中…
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>スガノ
確かに初めは、クライアントとしての野凪さんの要望を実現するのが私の仕事だと持っていました。

オーダー通りに穏便に、否定はせずにただ業務をこなせばいい。その方が精神コストも作業コストも少なく済むし、頑張りによって対価が変わるわけでもないから。

ただ、そう思いながらお打ち合わせを始めたとき、目の前の相手がただのお客様ではないことに気がついたんです。目の前にいる相手はクライアントである以前に、クリエイターであり、人間であって、それまでの私はその事を蔑ろにしようとしていました。

仕事における誠意とは、お客様の要望にただ応えて期待通りのものを納品することではなく、互いの意見を交わし合って期待以上の合作を一緒に作り上げていくことだと気づかせてくれたのは野凪さんでした。

互いに剥き出しの言葉で答えを追求したからこそ、互いにとって良いものができたのではないかと思います!改めて今回はありがとうございました!

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>野凪爽
今回は本当にお疲れ様でした。お互いに笑

長らく色々と宣いましたが、やはり根底にあるのは感謝です。ヨシカさんがいなければこの企画がここまでのクオリティに跳ね上がらなかったと思います。

また、ヨシカさんのおかげで、僕は「誰かと創る喜び」の裏にある葛藤を学ぶことができ、それを含めての共同制作を楽しめた気がします。今回は、本当に実になる経験を積ませていただきました。

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>スガノ
今更ですが、今回の対談のタイトルが「噛み合わない二人」とのことですが、実は私、あまりピンと来ていなくて笑。

メールの気軽さが好きという話(対談③「メールでの対談はどうでしたか?」より)でも触れたんですが、コミュニケーションはそもそも他人と他人で行われるもので、異なる意見を交換する事を「噛み合わない」とは捉えていないので…

でもメールで野凪さんから「噛み合わない」と言われてしまったとき、異文化交流をそう捉える人もいるんだな、と新たに発見がありました!

📨送信中…
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>野凪爽
ならきっと、これからも僕は「噛み合わない」瞬間にいくつも衝突するんだと思います。そしてその度にこの制作期間のことを思い出すのかもしれません。そういった意味でも今後の役に立つ貴重な経験となりました。

今度は作品の垣根を越えたお話ができれば幸いです。
例えば西荻窪のタイ料理屋さんとかで!

⏏︎THE END.



ちなみに・・・4

この作品、実はとあるヒップホップグループのリリックや、曲名をオマージュしている描写が含まれています。

今回、ストリートで生きる少年少女を描くにあたって、例えばペニーを乗りまわす兄弟を出したり、実際にバーへ行き取材交渉をして写真を撮ってそこから拾った景色を作中に組み込んだり、明け方の渋谷でいい感じに渋そうな歩道橋を探してロケハンしたりとリアリティの追求のために色々としています。

そんな中でも、文章と親和性が高く、かつストリートカルチャーの代表的な要素な何かと考えたとき、思い浮かんだのがヒップホップでした。
そしてどうせならロケ地にもなった渋谷発のヒップホップグループがいいなと思い、選んだのが「BUDDA BRAND」です。

(公式の通販サイトからいくつか抜粋しながら書いていきます。)

1980年代末、D.L(デヴラージ)、CQ、 NIPPSという三人のラッパーと 後にグループの中でDJをすることとなるMASTERKEY、彼らはニューヨークで出会い、そこで「うわさのチャンネル」というグループを結成します。
それからアメリカで力をつけ、1995年に「Buddha Brand(ブッダ・ブランド)」として日本に帰国。 そして翌1996年、彼らの最高傑作と称する人も多いシングル「人間発電所」でメジャーデビューします。

そんな彼らに影響を受けながら僕はこの作品を作り上げました。
僕の作品読めばわかると思うんですけど、所々で韻を踏んでます。それくらい僕自体、ヒップホップが好きで、物語を描きはじめた当初は「人間発電所」しか知らなかったんですけど、オマージュ元にしようと決めたことをきっかけにBUDDA BRANDの他のアルバムも聴くようになり、いつしか彼らのリリックが、スタイルが物語の屋台骨になっていきました。

ヒップホップにはサンプリングといって、既存のレコードに録音された音を分解し、収録し、自分のトラックの中で再利用する手法があります。それを作中でできたら、新しいし、面白いなと思ったので主にリコちsideの物語「まだ見えぬ花」には随所にそういった描写が隠れています。

よかったら探してみてください。



credit



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