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4/2 「初稿完成したけど、まだ道半ば」

取り組んできた長編小説の初稿がやっと完成しました!(いえーい✌)
完成まで約二年。(いや、遅筆過ぎん?)

今日はそんなことをつらつらと書いていきたいと思います。
(前置きはいい。さっさと本題いけ。と思ったあなたは、PM5:00から読んでね)

PM 4:00

その日は曇天。
最近の気温は春なのかまだ冬なのかよくわかりません。どれくらいわからないかというと「私いくつに見える?」という問いかけに対する最適解と重要性くらいわかりません。(スギ花粉とこの問いかけはいい加減消滅してほしい。むしろ花粉の方が役立ってんぞ。おい)

とりあえず僕は、雉がでっかく描かれたお気に入りのリバースウィーブを着て、オーバーオールを履きました。
(この場合って「履いて」が正しいんだろうか。それとも「着て」の方が表現としてふさわしいんだろうか。これも最近の気温変動と同じくらいわかんねぇな。おい)

チャリンコを漕いで向かったのは行きつけの喫茶店。
ですが夕方のお茶時、分かってはいましたがやっぱ混んでるよねぇ~!
ということでおとなしく列の最後尾につきます。
僕は執筆道具だけじゃなく、読みかけの小説を持ってきた自分ナイスだなと思いながら、ページを捲りました。
やっと積み本が一つ終わり、今、僕が読んでいるのは、長谷敏司さんが書いた「プロトコル・オブ・ヒューマニティ」というSF小説です。

物語をざっくり説明すると、

バイク事故で右脚を失ったコンテンポラリーダンサー(護堂恒明)が友人の助けを借りてAIが搭載された義足を装着し、再び自身の身体表現を取り戻すべく、あるいは新たな自己を獲得するために藻掻いていく物語。

こんな感じです。

まだ、読み始めたばかりなので序盤も序盤ですが、さっそくイイね!って思った台詞があったので共有しておきます。

脳っていう内臓は、人を踊らせる働きも持っている。そんなおかしなものを、僕らは頭の中に抱えているんだ。だから、僕は片脚になって鍛え直している、護堂恒明ってダンサーに興味を持った。
護堂のダンスは、脳の中で一度壊れて、今、再構築してる最中なんだ。

いや、好よ。
特に最後の一言、好だね。好。

そんな感じで物語にのめり込んでいるとあっという間に順番が回ってきて入店しました。
端からひとつ手前の窓側の四人掛けに一人座り、僕は思わず「こんな場所でいいんですか」と尋ねましたが、問題ないようで、じゃあ遠慮なくと股を広げて座り、座ってない方には執筆用具を広げます。
(広げるといいつつも、電子メモ帳を置いただけなんですけどね。ちなみに僕が使っている電子メモ帳はカシオかなんかのpomeraです。同志いるかな?)

店内に入ったらまずは注文。
僕の「いつもの」はコーヒーではなく、ラムオーレです。ホットもアイスもあるので年がら年中コレになりがちです。
そこに合いそうなお菓子をつけます。今日頼んだのはカスタードプリン。
ここのお菓子は割と頻繁に変わるので季節のものを使ったお菓子に目を奪われがちで、つい、スタンダードなものを見落としてしまいます。

いざ、実食。
いや、定番メニューの安定感ね!

プリンはカスタードが濃く、それでいてくどくない。付け合わせの生クリームもわざと甘さ控えめにしてあり、塗りつけて食べても難なくプリンと調和し、口の中で踊ってくれます。
オリジナリティを追求するコンテンポラリーダンスもいいですが、やはりそういった身体表現の質を高めるのはいつでも基礎。ワルツやルンバといったボールルームダンスのステップの数々です。
基本なくして、応用は在り得ないんです。
流石の安定感です。
僕は心の中で10点のプラカードを掲げ、あっという間にプリンを平らげてしまいました。

お菓子を食べ終えると机の上が一気に閑散としてしまい、そうなるといよいよ執筆し始めないといけなくなっていきます。
(いや、やるよ。もう少しで完成だし。今日で完成させたいしね。でもさ、あるじゃん。自分で企画して、日取りも決めたのに、友人との旅行の出発日が迫ってくると怠くなる瞬間てさ。あれよ。あれなんよ。まぁ、でもやるから。あと一杯飲んだらやるからさ、)

ここまで読んでくれたおともだちへ、
長い前置きに付き合っていただき、誠にありがとうございます。
やっと本題です。

PM 5:00

書きだしたきっかけは何の気なしもなく、音楽をいつも通りシャッフル再生していた時に流れたBon Joviの「Livin' On a Prayer」でした。

この曲は労働者階級同士のカップル、トミーとジーナが貧しいながらも希望を祈って生きていくというストーリーの曲で、僕は和訳サイトで初めてそのことを知りました。

その時に見た意訳が僕の心に引っ掛かったんです。

We're haif way there. Livin' on a prayer
(俺たちはまだ、道半ばで、祈りながら生きているんだ)

曲サビのあまりにも有名なフレーズですね。
その中でも僕は「道半ば」という言葉が特に引っ掛かりました。
それはきっと、25歳を超えてあっという間に30が近づいていくと思い込んだ僕が「いつまでこうやって書いていられるのだろう」と不安で押し潰されそうになっていたからかもしれません。

「俺たちは、まだ道半ば」

当時の僕は、味のしなくなったガムを噛み続けるようにリピート再生をし、サビのフレーズが聴こえる度、この言葉に救われました。
それは、もう終着地点ギリギリに立っていると勝手に思い込んでいた僕にこの曲が「人生という道のりの長さ、或いは可能性の多さ」を提示してくれた気がしたからです。
だから僕は読んだ人に対して「焦んなよ。道半ばなんだからさ」と言ってあげられるような話を作ろうと思いました。

テーマが決まれば、今度はディティールです。

この話を書きたいと思った時がちょうど夏だったから、僕は夏の話を書こうと思いました。
その日から僕はどんな話にしようかなと考え始めました。

いきなりですが、僕はミステリー小説をほぼ読んだことがありません。あとファンタジー小説(ハリポタから所謂なろう系)もほとんど読みません。エンタメ小説に興味がないわけではないですが、手に取って「イイね!」と思うのは結局、そういった感じの地味な小説です。

それは多分、起承転結があまりにもはっきりしていると先が読めるので盛り上がりに欠けるからであり、事件のトリックを読んでもよく理解できないからなんだと思います。

だから、書くとしたら探偵でも、勇者でもなく、会社の重役ですらない、ありふれた人々を扱った作品になります。
でも、僕はそういった作品が大好きなんです。

そして僕が書きたい世界は、

「なるべく何も起こらない世界」なんです。

戦争も、ドラッグも、スペクタクルも、魔法も、巨乳のヒロインもいない世界。
近所の中華屋で中華そば食べておいしかった。それくらい何にも起こらない世界を目指して僕は書いています。

「退屈なのではなく、心地よくて、読みながらいつの間にか眠ってしまった」そんな作品を書き上げるのが僕の夢です。

「道半ば」と「ありふれていてなるべく何も起こらない話」
二つの要素をかけ合わせた時、頭の中でふとある景色が浮かびました。

それは、店先で眠たそうにしている犬の姿でした。

小さなクリーニング店の横には樹があって、木陰には犬小屋があって、リードに繋がれた少し気性の荒い犬が夏の日差しに目を細めながら今にも眠りに落ちそうな姿。
それは間違いなく、日常で、ありふれた光景で、僕の大好物でした。

思いついた日、さっそく僕はノートを買い、プロットを立てました。

そして、数日後に何となく形が出来上がり……

「気性の荒さのせいで周りから敬遠されている犬と、人間を信じられなくなった少年が友達になった物語」

を、書いていこうと思いました。

そして紆余曲折を経て、2023年、4月2日。
行きつけの喫茶店で(なぜかその日近くで火事があったらしく店のほぼ前に消防車がとまっていてサイレンの五月蠅さに気を取られながらも)僕はやっと、思い描いていた物語をとりあえず形にすることができました。

やったね、俺。
よくやった。よくここまで頑張った。
誰にも求められていないにもかかわらず、がんばった。
おめでとう。

セルフ賛辞はここまでにしておいて、ここからはセルフ𠮟咤の時間。
今日できたのは初稿。
つまり、何とか形を保っているだけで、つつけば簡単に崩れる砂上の城。
そしてこの作品は製本までもっていこうと思っているので、全体の進行度でいうとまだ50%未満。

え、まだ50%未満?
信じ難いというより、信じたくないですが、これが現実です。
つまり「まだまだ道半ば」というわけなんですな。

だから、ここまで付き合ってくれたそこのあなた、
そう。
そこの、スマホの液晶切ったら想像以上に自分が疲れた顔していて、そのことに対して疲弊しているそこのあなたです。

疲れているところ悪いんだけどさ、
頼みがあるんだわ。

僕はこの記事を投稿してすぐに取り組んできた小説「Stand ; By」の第一稿、所謂、ゲラを冒頭だけ公開しようと思っている。

だからさ、
だから、
あなたにはもう少しだけ付き合って欲しいんだよ。
まだ道半ばどころか、ひょっとしたらスタートラインに立っているかもしれない僕のモチベ維持に付き合ってはくれませんか。

退屈するんじゃないかと思って、執筆中にかけていた曲を集めたプレイリストも作ったんだ。

デモ版は30分後に公開するから、それまで音楽聴きながら待っててくれよな!







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