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【再掲】随筆18-凄まじく骨太なルポを読んだ。

本noteはアトリエスタッフ Mちゃんによる随筆の再掲です。

随筆18

Oct 9, 2021 by M
ネットサーフィンの最中、凄まじく骨太なルポを読んだ。
ゴミ屋敷清掃の現場の密着取材だ。
https://president.jp/articles/-/40222?page=1
※リンク先 汚物・虫注意

事故物件から住居者の居る空間まで、業者はあらゆるゴミ屋敷を清掃する。
想像を絶する過酷な現場に、画面越しに見守るだけの私すらも息を呑んだ。筆者の言葉を借りるならば、『なぜ彼らは“安らげない家“に住んでいるだろうか』(#2より引用)
自宅というのはプライベートな空間で、誰にとっても多かれ少なかれ心の休まる空間である、ことが一般的だと考える。

家庭環境によっては家が心を追い詰める場合があることも重々承知している。
私の母は、義母ーーー私から見た父方の祖母だーーーと同居し始めるようになってから、すっかり家の中での表情が暗くなった。故人の悪口は宜しくない主義なので詳細は割愛するが、母が暗くなったのは祖母が原因であることは、当時小学生だった私から見ても明らかだった。
義母と喧嘩別れをして一家でアパートに転居してからは、母は「ここが私たちの家だ」とばかりにリラックスした表情をするようになった。

「いじわるばあさん」のような義母……もとい祖母は数年前に他界したが、訃報が飛び込んできた際に母が葬式の準備を手伝っていたことに驚いた。
時間の経過や大人としての立場などの要因が母をそうさせたことは理解しているが、それでも複雑な思いを抱えていただろう事は想像に難くない。
家に帰れば安心できる状況は、この時の母を大いに救ったのではないかと思う。

さて、話を戻してゴミ屋敷ルポの感想を述べたい。
驚くべきことに、ゴミ屋敷の住人はゴミを処分されることを酷く拒むらしい。
コレクターズグッズや洋服のような宝物たりうるものだけでなく、チラシ1枚、尿の染みた毛布ですら「捨てられたくないもの」にカテゴライズされるらしい。
私には理解できないが、どんなに汚い空間でも、それが自分の落ち着く場所である人というのは居るらしい。

ルポによると、価値のない物も捨てることに著しい苦痛を感じてしまう「ためこみ症」という病気があるそうだ。
物を捨てたがらないことを一概に悪とは言えないが、住んでいて病気になったり、公害のような家になるような状況ならば、その住居は「安心できる家」としては欠陥があると言って差し支えないのではなかろうか。

幸いなことに私の家も実家もためこみ症の様子はないが、いつ誰がこれを発症するかはわかったものではない。
いつか身近にためこみ症で苦しむ人が現れたら、「捨てることが苦痛である」という感覚に寄り添いながら、健康に暮らせる空間作りに手を差し伸べられるようになりたい。
そして、私が死ぬまでに訪れるであろう両親の遺品整理の際も、両親を想いながら自分の手で遺品整理を行おう。

最後に余談だが、掃除漫画だと思って購入したら汚部屋を称賛する漫画だった話を少々。
やや辛口なコメントとなるため作品名は伏せるが、所謂汚部屋(汚部屋の場合は定義がやや広く、必ずしもゴミ部屋であるわけではない)を片付けず「ありのまま」の自分を受け入れよう、という斬新な人情物の作品だった。

漫画としては面白かったが、これは美談のようで美談でない。
多少散らかっていた方が暮らしやすいという感覚はまだしも、健康被害が考えられる空間は直ちに掃除を行うべきだ。
ゴミ部屋を愛でる価値観も多様性のあり方だとは思うが、片付けようという意志はためこみ症からの脱却として一番良いきっかけで、尊重されるべきものなのではないだろうか。
きっかけがどうあれ、変化のためにアクションを取った依頼者に現状維持を勧めるやり方は、私には受け入れづらかった。

「安らげる家」の定義が様々であることは冒頭のルポからも汲み取れるが、私は自分の死後に遺族を困らせるような家にはしたくない。
これからも、私はそこそこ綺麗な家で居心地良く暮らしていきたい。

……というわけで、居心地良い暮らしのおともに-Kaninchen-の生活雑貨はいかがでしょか。
はい、宣伝でございます。

ただいま日中につき、お祈りは追って行います。
それでは。

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