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カメラを持ち歩くことの最大にして唯一の価値

2022年は本当にいろいろなことがありました。詳しくは日記のブログに書いていますが、ここ数か月で、妻がパン屋に転身し、犬が来て、父が逝き、私の職場が変わろうとしています。

その裏で2022年は、ひっそりと写真を撮り続けた年になりました。3月6日にミラーレスカメラを買って以来、出かけるときはしばしば持ち歩き、気になった風景を撮影しています。

写真を撮り始める前は、なぜ人は(しばしば大金をはたいて)カメラを買うのだろう、と訝しんでいたのですが、カメラを買ってすぐに気がついた唯一にして最大の「良さ」があるので残しておきますね。

みんなにカメラを買えとは言いませんが、「カメラのある生活」は個人的に2022年を象徴するかなり感動的な体験だったので、もしカメラを買うかどうか迷っている人がいたら、何かの参考にしてほしいです。

カメラを持ち歩くことの最大にして唯一の価値

カメラを持ち歩くことの価値は、人によっていろいろあると思います。気に入る写真が撮れたときの充実感かもしれません。写真を通してつながる人とのふれあい。新たな趣味を始め、知識がひろがる瞬間のわくわく感。当然、千差万別であっていいです。

ただ私の場合、カメラを持ち歩くことの価値はきわめて明快で、

世界の美しさに気づけるようになること

です。

カメラを持って歩くと、世界のすべてが輝いて見える。これは決して言い過ぎではないと感じます。カメラは私にとって、何の変哲もない世界の美しさに気づける、第三の目となっているのです。

ただの窓なんですけどね。
ただの公園の隅っこ
ただの蜘蛛の巣

陳腐な言い方ですが、カメラを携えて歩くだけで、世界のすべては被写体となる。道端の草は陽光をちりばめる水晶となり、何の飾りもない住宅地は人々の生活を積み重ねた地層となり、小さな廃工場は時の象徴となり、古いショーウィンドウは三つの世界を重ねる窓となる……。

というのは言い過ぎですが、被写体候補としてモノを見るとその瞬間から世界が結構違って見えてきて、「ほほう、これが……カメラというものか……」となりました。

道端の古い店
コーヒー屋の気配

色彩、かたち、陰影。

その根底にある、人間生活、社会、時間。

何も考えずに歩いていると気づけなかった美しさを感じられる、気がします。あたらしい感覚器と言ってもいい。

ただの階段
木の枝の間から公園の照明をみる
古い機械ってかっこいいよなぁ、とか。

この、「感覚の拡張」こそが私にとって唯一にして最大の、カメラの価値。

実際、多少気乗りのしない半端な場所への外出でも、「なんか面白い景色があるかもな」と思うだけで、面倒な気持ちがだいぶ減るのを感じるんですよね。

父の見舞いで実家に帰るのも少しだけ楽しみに

そう考えると、SNSでリアクションがたくさんつく必要はないんですよね。もちろんSNSに投稿する必要もない。何なら人に見せる必要もない。あとからふりかえって見る必要もない。写真が下手でも、「撮ったら面白いだろうな」と思いながら、ときどきファインダーを覗きながら、歩くだけでもう世界が楽しいんです。

写真の出来なんて、それっぽければOKってことにしてます。細かいテクニックを知り始めると、そっちに足をすくわれてしまいそうで。

そう考えると、カメラの価値を享受するのに、知識も、経験も、高いカメラも、向上心もいらない。実はぜんぜん身構えなくてもよかったんですよね、カメラって。知りませんでした。

ぜんぜん身構える必要はなかった。
写真の出来なんて、それっぽければOK。これ、とても重要です。

ただ、ここに至るには、自分にとって使いやすいなと思える機材があったほうがいいので、機材について少しだけ書いておきます。

でも、スマホのカメラを構えていて、「世界が美しい……!」とビンビンくれば、それで十分と思いますよ。

使っているカメラ

FujifilmのX-E4です。

2021年初に発売になったのですが、発売当初から売れすぎて長い予約待ちの列になり、昨年春に一瞬店頭にならんだあと再び品切れになり、そのまま昨年秋に終売になってしまいました。その、一瞬店頭に並んだ時に、運よく買えたんです。

ソリッドな外見とコンパクトさ、フィルムシミュレーションにより現像要らず、そして何よりファインダーがあるのが気に入っています。

スマホでも、コンデジでもいいんですが、やっぱりファインダーを通して世界を見るという点が体験上とても重要な気がしているんです。

ファインダーによって世界を四角く抽出する
美しさの対象を意識できるのがいい
たまたま訪れた駅のありきたりな夕方

レンズはいくつか使ってみて、結局これもまたFujifilmユーザーにはおなじみの、XF35㎜F1.4Rに落ち着きました。近年のスマホ慣れした我々にはずいぶん狭く感じられますが、その分「何を撮るか」が決めやすくて迷いなくシャッターを押せる気がします。

広角(XF18mmF2.0R)も試したんですが、どうにも余計なものが映ってしまうので、気が向いたときだけ付け替えています。あとは子供の運動会とかではズームレンズを使ってます。それ以外はずーっと、35㎜。

狭めの画角は「何を撮るか」を意識しやすい気がする
このレンズは「とろけるボケが至高~」とか言われたりしますが、割とどうでもいい
披露宴の料理とか一応撮りますが、こういうのはあんまり好きじゃない
ちょっとレンズが大きいけど、どうにかわしづかみにできるサイズ

まとめ

  • カメラを持って歩くと世界が違って見えて楽しい

    • コミュニティとか承認欲求の充足とかじゃない価値がある

  • 上記を享受するためには高いカメラやテクニックとかはさほど必要ない

    • でも自分に合った機材があるといい

    • 個人的にはファインダーは体験上重要

  • だからカメラ始めようか迷っている人がいたら買ってみるといいよ

2023年もぼちぼち持ち歩いていこうと思います。


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