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ようやく「まともな」GPTコピーライターができたかもしれない

こんにちは。

今日は、GPTを使って、コピーライティングに挑戦します。

私は広告会社に勤めており、コピーライターになりたくて社内試験を受けたことも何度かあるのですが、すべて落ちて、今の仕事に就いています。

コピーライティングの定義

ChatGPTブームのただなか、「ChatGPT コピーライティング」と検索すれば使い方が無限に出てきます。あたかもすでにGPTがコピーライティング能力を持っているかのような書きっぷりです。

しかし、私が今回目指すのは、こういったコピーを書けるコピーライターです。

羽なんか、いらないよ。

大塚製薬 ポカリスエット


人生には、飲食店がいる。

サントリー 企業広告


ハーブ そしてサラダは、旅に出る。

キユーピー マヨネーズ

そうです。

エモいコピーなのです。

エモいコピーを書きたい! AIで書きたい!

しかしどうでしょう。ChatGPTは、普通にお願いしても、こんなコピーしか書いてくれません。

エモさゼロ

これはこれで、ダイレクトマーケティングや、店頭POPなどには使えるのかもしれませんが、残念ながら私が求めているものではありません。

工夫でどうにかしていきます。


最終的に生成できたコピー

結論からお見せします。

上のグレーの地の部分が私の入力項目。下のコピーが生成されたものです。

出力されたコピーは、一切触っていません。マヨネーズは何度かやりなおしましたが、それ以外は一発出力です。

それがあたなの幸せなんだよ。

キリン 一番搾り


街の瞬間を捉え、記憶を彩る。

Fujifilm X-E4


「朝日のオムレツ」

キユーピー マヨネーズ


涼しい、風のおかげで。

大塚製薬、ポカリスエット

いいですね。とてもいいです。

いいですよね!?

すべてが同じくらい良いわけではなく、陳腐なものや、途中で切れちゃっているのもありますが、普通にGPTに頼んだのでは出てこないような、意外性のある言葉も出てきていますね。

もちろん、深い戦略や洞察があって紡がれた言葉ではなくて、あたかも「それっぽく見えている」だけなので、実際にコピーライターが練りに練ったものとは天と地の差があるのは百も承知です。

でも、ChatGPTが出してくる素のものより、だいぶ良くないですか?

それでは裏側をお見せします。

※使用している技術は、前の記事と全く同じです。


絶対にやってはダメなこと

実際の仕組みをお見せする前に、トライアル&エラーを重ねる中で、いくつか「これをやった瞬間にダメになる」というのがわかってきました。


①キャッチフレーズを書かせる

これがまずダメです。

プロンプトに「キャッチフレーズ」「広告」などの言葉を入れると、その瞬間に陳腐なキャッチフレーズを生成します。これはどうプロンプトを調整してもダメでした。

お見せしたサンプルの中に、「雑魚」という行がありました。これは比較用として、単純に

「(商品名)という(商品カテゴリ)の特徴は、(連想語×3)です。(対象ユーザー)に向けたキャッチフレーズを書いてください」

というプロンプトで生成したものです。

伝統の苦みを楽しむ! キリン一番搾り

新鮮な野菜と卵で、毎日をおいしく! キユーピーマヨネーズ

コピーを書け、と言った瞬間に、いかに陳腐なものを書くか、おわかりいただけるかと思います。「!」を多用しすぎです。

一つの理由は、学習しているキャッチフレーズが、ブランド志向のものではなく、ダイレクト志向のものが多いためでしょう。

加えて、これ系のAIは「後に続くそれっぽい単語」を一語ずつ選んで順に生成していくというフローをとっています。したがって、一見関係ないように見えるアイデアの飛躍や、突拍子もない単語を生成することは極めて苦手です。

これも試したのですが、よく、冒頭に「あなたは〇〇です。/〇〇になりきって答えてください。」をつけるとよい、というハックも紹介されます。「コピーライターになりきって答えてください」なども試しましたが、これもダメでした。

そもそもキャッチフレーズというものの認識がずれているようです。


②商品名を教える

商品名を教えてはいけません。

なぜなら、商品名を教えた瞬間に、キャッチフレーズに商品名を盛り込んでくるからです。

冒頭に示した、人間が書いたいくつかのコピーは、いずれもコピー内に商品名が入っていません(もちろん商品名が入った名コピーもあります)。

商品名が入った瞬間に、一気に陳腐になり、エモさがなくなります。

したがって、あえて商品名を教えずに生成させるのがベストです。


実際の生成方法

お待たせしました。では、実際の生成フローをお見せします。

実際のプロンプトはもっと複雑です

裏側はこのようになっています。

こんな感じで、行が隠れていたんですね。

ポイントは2つ。

①まずは商品に関する「ストーリー」を生成させる

商品に関することばから、短い物語を生成させます。

これは商品・ブランドの世界観を体現するストーリーや、シーンを切り取ったイメージになります。これにより、ブランドとは関係ない言葉を創出したり、想定ユーザーを主人公にすることでイメージが近い言葉を抽出する効果があります。

よく語られるように、ブランドとはストーリーを内包しています。いったんその空間を広げておくことで、そこからの連想をしやすくします。

実際にコピーライターが広告のキャッチフレーズを書く際にも、その利用イメージやユーザーの心の動きなど、ストーリーを思い浮かべながら書くことが多いのではないでしょうか。

私はコピーライター試験に落ちたので、実際のところは知りませんが。


②ストーリーから言葉を生成する

このストーリーをもとに、キャッチフレーズを生成するわけですが、先に書いた通り、直接キャッチフレーズを生成させてはいけません。

その代わりに、「ストーリーにつけるタイトル」や、「登場人物が発するセリフ」の形でコピーとなりえる言葉を生成しています。

実際、優れたキャッチフレーズは、「キャッチフレーズらしい形式」にとらわれていません。セリフっぽいもの、文学作品のタイトルっぽいもの、呼びかけっぽいもの、様々です。

同じストーリーをもとに、様々な角度で言葉を生成することで、一つのイメージから複数のタイプのアイデアを生成しています。


おわりに

これだけやって、ようやくエモいコピー(らしきもの)を生成することができました。ここに至るまで結構な期間、模索しました。まだまだ改善の余地はありますが、いったん満足です。

あとはOpenAIからの請求だけが怖いです。1回の生成で6回、davinciを回しているのでね……

今日はここまでです。

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