ようやく「まともな」GPTコピーライターができたかもしれない
こんにちは。
今日は、GPTを使って、コピーライティングに挑戦します。
私は広告会社に勤めており、コピーライターになりたくて社内試験を受けたことも何度かあるのですが、すべて落ちて、今の仕事に就いています。
コピーライティングの定義
ChatGPTブームのただなか、「ChatGPT コピーライティング」と検索すれば使い方が無限に出てきます。あたかもすでにGPTがコピーライティング能力を持っているかのような書きっぷりです。
しかし、私が今回目指すのは、こういったコピーを書けるコピーライターです。
そうです。
エモいコピーなのです。
エモいコピーを書きたい! AIで書きたい!
しかしどうでしょう。ChatGPTは、普通にお願いしても、こんなコピーしか書いてくれません。
これはこれで、ダイレクトマーケティングや、店頭POPなどには使えるのかもしれませんが、残念ながら私が求めているものではありません。
工夫でどうにかしていきます。
最終的に生成できたコピー
結論からお見せします。
上のグレーの地の部分が私の入力項目。下のコピーが生成されたものです。
出力されたコピーは、一切触っていません。マヨネーズは何度かやりなおしましたが、それ以外は一発出力です。
いいですね。とてもいいです。
いいですよね!?
すべてが同じくらい良いわけではなく、陳腐なものや、途中で切れちゃっているのもありますが、普通にGPTに頼んだのでは出てこないような、意外性のある言葉も出てきていますね。
もちろん、深い戦略や洞察があって紡がれた言葉ではなくて、あたかも「それっぽく見えている」だけなので、実際にコピーライターが練りに練ったものとは天と地の差があるのは百も承知です。
でも、ChatGPTが出してくる素のものより、だいぶ良くないですか?
それでは裏側をお見せします。
※使用している技術は、前の記事と全く同じです。
絶対にやってはダメなこと
実際の仕組みをお見せする前に、トライアル&エラーを重ねる中で、いくつか「これをやった瞬間にダメになる」というのがわかってきました。
①キャッチフレーズを書かせる
これがまずダメです。
プロンプトに「キャッチフレーズ」「広告」などの言葉を入れると、その瞬間に陳腐なキャッチフレーズを生成します。これはどうプロンプトを調整してもダメでした。
お見せしたサンプルの中に、「雑魚」という行がありました。これは比較用として、単純に
「(商品名)という(商品カテゴリ)の特徴は、(連想語×3)です。(対象ユーザー)に向けたキャッチフレーズを書いてください」
というプロンプトで生成したものです。
コピーを書け、と言った瞬間に、いかに陳腐なものを書くか、おわかりいただけるかと思います。「!」を多用しすぎです。
一つの理由は、学習しているキャッチフレーズが、ブランド志向のものではなく、ダイレクト志向のものが多いためでしょう。
加えて、これ系のAIは「後に続くそれっぽい単語」を一語ずつ選んで順に生成していくというフローをとっています。したがって、一見関係ないように見えるアイデアの飛躍や、突拍子もない単語を生成することは極めて苦手です。
これも試したのですが、よく、冒頭に「あなたは〇〇です。/〇〇になりきって答えてください。」をつけるとよい、というハックも紹介されます。「コピーライターになりきって答えてください」なども試しましたが、これもダメでした。
そもそもキャッチフレーズというものの認識がずれているようです。
②商品名を教える
商品名を教えてはいけません。
なぜなら、商品名を教えた瞬間に、キャッチフレーズに商品名を盛り込んでくるからです。
冒頭に示した、人間が書いたいくつかのコピーは、いずれもコピー内に商品名が入っていません(もちろん商品名が入った名コピーもあります)。
商品名が入った瞬間に、一気に陳腐になり、エモさがなくなります。
したがって、あえて商品名を教えずに生成させるのがベストです。
実際の生成方法
お待たせしました。では、実際の生成フローをお見せします。
裏側はこのようになっています。
こんな感じで、行が隠れていたんですね。
ポイントは2つ。
①まずは商品に関する「ストーリー」を生成させる
商品に関することばから、短い物語を生成させます。
これは商品・ブランドの世界観を体現するストーリーや、シーンを切り取ったイメージになります。これにより、ブランドとは関係ない言葉を創出したり、想定ユーザーを主人公にすることでイメージが近い言葉を抽出する効果があります。
よく語られるように、ブランドとはストーリーを内包しています。いったんその空間を広げておくことで、そこからの連想をしやすくします。
実際にコピーライターが広告のキャッチフレーズを書く際にも、その利用イメージやユーザーの心の動きなど、ストーリーを思い浮かべながら書くことが多いのではないでしょうか。
私はコピーライター試験に落ちたので、実際のところは知りませんが。
②ストーリーから言葉を生成する
このストーリーをもとに、キャッチフレーズを生成するわけですが、先に書いた通り、直接キャッチフレーズを生成させてはいけません。
その代わりに、「ストーリーにつけるタイトル」や、「登場人物が発するセリフ」の形でコピーとなりえる言葉を生成しています。
実際、優れたキャッチフレーズは、「キャッチフレーズらしい形式」にとらわれていません。セリフっぽいもの、文学作品のタイトルっぽいもの、呼びかけっぽいもの、様々です。
同じストーリーをもとに、様々な角度で言葉を生成することで、一つのイメージから複数のタイプのアイデアを生成しています。
おわりに
これだけやって、ようやくエモいコピー(らしきもの)を生成することができました。ここに至るまで結構な期間、模索しました。まだまだ改善の余地はありますが、いったん満足です。
あとはOpenAIからの請求だけが怖いです。1回の生成で6回、davinciを回しているのでね……
今日はここまでです。
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