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GPTの活用アイデア:「IKEA効果」を突破するための、ダメ出し専用ツール

こんにちは。

ここ数日、GPT3.5/ChatGPT/Azure OpenAI Serviceの話題で持ち切りですね。

ただ、この技術たちは機械に例えると「エンジン」みたいなもので、シンプルに「これを学べば差がつく!儲かる!」というものでは決してないですね。これを使って何を為すか、今の仕事のどこに何を差し込めるか、を考え続けるのが大事だと思っています。

という御託はさておいて、今日も何かを作っていきます。

先週、shi3zさんのこのようなツイートを見かけてしまいました。

Google SpreadsheetにOpenAIのAPIを連携させれば、我々文系社畜が慣れ親しんだスプシ上でAPIを組み合わせてできるというものです。

なるほど!

これを使って、便利なものを作っていきたいと思います。


「IKEA効果」とは?

「IKEA効果」とは、認知バイアスのひとつです。

「自分が手をかけて作ったものは、本来以上に優れて見える」というバイアスです。IKEAの家具は自分で組み立てるため、その分愛着が湧くところからきているそうです。

ビジネスの場では、アイデア出しをする際に、自分で思いついたアイデアやコンセプトがほかの人から見える以上に素晴らしく見えてしまうことも、「IKEA効果」の一つです。

自分では完璧なアイデアに見えても、他人からするとそうでもなかったり、いざ実践してみると思うようにうまく行かなかったりしますよね。特に経営層がこれに陥ると大変ですね。

このIKEA効果を避けるために、他人にアドバイスをもらうとか、ワークショップの最後で投票するとか、多様性を取り入れるとか、一晩寝かせるとか、いろいろな手法がありますが、今回はGPTの力で、バイアスを突破しようと試みます。


設計する

自分で自分のアイデアの欠点に気づくためには、自分とは違った多様な視点で意見をもらうことが重要です。

そこで、一気にいろんな人にダメ出しをしてもらうことで、自らアイデアの欠点に気づき、バイアスを突破するツールをつくります。

作り方は以下を全面的に参考にしています。

APIは高性能なdavinciから安価なAdaまでありますが、ひとまずdavinciにしました。

今回ダメ出ししてくれる専門化は以下の5名です。

  • 敏腕コンサルタント

  • サステナビリティの専門家

  • テクノロジーの専門家

  • 文化・芸術の専門家

  • ギャル

入力したアイデアに対して、

「あなたは(専門家)です。"●●●" というアイデアやコンセプトに対して、否定的見解を示してください。」

というクエリで文章を生成するようにします。(細部は調整しています)

スプシ上でセルの入力項目を参照できるので、関数を組む感覚でフローを組み立てられます。これは非常にスムーズで、10分くらいで作業が終わりました。

とりあえずインターフェースは適当。

ちなみに「否定的見解」とあえて書かないと、だいたいベタ褒めしてきます。

褒めてもらうのは、それはそれで見過ごしていたアイデアに光があたる機会ではあるのですが、今回はコンセプトに沿って、あえて否定的意見に絞ります。

やってみる

さっそくやってみましょう。

まずは最悪なアイデアを入れてみます。

虚構新聞にありそうだ。

それぞれの個性が出ていますが、おおむね正しい突っ込みをしてくれているように感じます。


続いては社会的に大きなイシューを。

ベーシックインカムのアイデアを入れてみましたが、政治や経済の専門家がいないためか、ちょっと表層的でした。


では、良い(ということが歴史上で証明されている)アイデアを入れたらどうなるのでしょうか。試しにスマートフォンのコンセプトを入れてみます。

実際は当然世界を大きく変えるプロダクトになったわけですが、ここで提示されている懸念点の中には現時点でもクリアされているとは言い難いものもありますね。

「環境問題」「生活者の膨大な時間を奪う問題」「文化的な価値」のあたりは、ちゃんと反論を練っておいたほうがよいと思います。>ジョブズさん


次はSpotifyですが、

サステナビリティの専門家が言っている、市場総額が減るという考え方は(すでに議論されつくされていますが)重要な論点ですね。あとは音楽があまりにインスタントになりすぎることで、音楽を文化的価値として扱っていない、というのは、極端な意見ですが実際そういう雰囲気は感じます。

アイデアの良し悪し自体を検討するのではなく、アイデアに対する懸念点・論点の初期的な洗い出し、プレゼンの質疑応答の練習をするのにも使えるかもしれません。


直近で気になったアイデアを入れてみます。

健康面、快適性、自分の足で歩くことに持つ誇りなど、一通りの反論はあるのかなというところです。

ちなみにこれは「Moonwalkers」という製品のコンセプトで、実際に販売されているようです。驚きました。

こういうアーリーアダプター向けの製品は、「いらない理由」より「ほしい理由」があれば初期市場が成立するので、難しいところです。


続いては、先日賛否両論があったこちらのニュース

コスト面や、学べる技術の偏りなど納得度のある反論に加えて、サステナ氏が言う通り「ほかに学ぶべきことがある」というのも本当にそれですし、ギャルの見解が完全すぎてもう……という感じです。


あきらかに環境に良いアイデアを入れてみます。

これは今日のニュースでした(値段については記載がありませんが)。

サステナビリティの専門家は、普及の難しさや、導入時の環境負荷など現実的な問題に切り込んでくれていますね。

サステナビリティとは決して単発の取り組みで達成できるものはなく、字のごとく「持続可能な取り組み」であるべきだ、ということを再認識しました。


感想とまとめ

全体を通してみて、「予想外はあまりないが、まあまあ想定通りの反論は出てくるな」というところです。プロンプトを工夫すれば、もうひとひねりできるかもしれません。

この段階で当初想定したIKEA効果を突破できるかは正直微妙なところですが、デザイン系のワークショップでアイデアが出そろった後に一通り回してみると、新しい気づきがあるかもしれません。また、提案やプレゼンの際の反論をあらかじめ察知し、つぶしておく用途には使えるかもしれません。

次は実際に自分がアイデアを思い付いたときに試してみたいと思います。

スプレッドシートとOpenAIのAPIで、いろいろ遊べることがわかりました。ただ、やはりAPI利用料は高額で、1回の入力につきGPTを5回、回しています。Azureで実装するなら、Azure OpenAI Servicesの価格次第ですね。

今日はここまでです。

黙っててくれ!

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