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かっこいいひと

木曜日は友達と3人で大人計画を観てパンフレットとキーホルダーを買って、まだ15時過ぎだったので、近くのクラフトビール屋さんに流れた。以前やっぱり本多劇場で大人計画かヨーロッパ企画を観た後に寄ったことのある店だ。

笑って笑って、たまに『パラサイト』な舞台だった。わがままボディーも甲高い声も狂気も全てがボリューミーな皆川猿時さんが印象に残ります。

横長のビルの2階へ、いそいそと外階段を上っていると、友達が突如ささやき声で絶叫した(声をほぼ乗せずに息だけで内緒話するんだけどボリュームは決して小さくないアレのことを言っています)。よく聞くと、どうやらさっき舞台でわたしたちを楽しませてくれた役者さんが下(1階)で飲んでるよってことだった。

見間違いだと思った。だってわたしたちはパンフレットを買っただけでまっすぐこのビルを目がけて来たのであり、終演から10分ぐらいしか経ってない。どこの世界に終演10分で劇場を後にしているどころか既に飲み始めている役者がいるのだ。結構なメインキャストだぞ。付き合いもあるし着替えもあるだろう。

どっこい、いた。階段の隙間からでも見える。わざわざ店先にテーブルとイスを出して、顔も声もそのまんま惜しみなくさらけ出してめちゃくちゃリラックスしている。えー。早。

わたしたちは「えー」「うそー」「まじかー」みたいなことをささやき声で絶叫しつつ、2階のお店に逃げ込むようにして入り、「声かければよかったね、さっき観てましたって」「パンフにサインもらいたかった」「いやーそれは」とミーハー丸出しで大いに盛り上がった。「舞台袖ぐらいで衣装脱ぎ始めないと、今もう飲んでる状態にならなくない?」と推理を働かせ「(客席にいた俳優の)○○くんとかに挨拶はしないでよかったのかねえ」と大きなお世話も張り切って焼いた。

年甲斐もなくて恥ずかしいけど、そりゃ浮かれるってものでしょう。テンポのいいセリフ回しでドッカンドッカン笑いを取って、全身を使ったハイカロリーなお芝居をやってのけた俳優が、幕が下りた途端に陽光の下で気持ちよさそうに一杯やっているんだぜ。なんてかっこいいんだ。やっぱり大好き、仲野太賀さん。

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