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既に持ってる武器だけで勝負しがち

柴田(@4bata)です。「老害」に関して自分なりの答えが見えたので書きます!

きっかけ:松本人志と宮本茂の会話「期待に応えたい、一緒じゃ嫌だ」

松本「自分がやってたコントをもう一度やってくれ。キャラはそのままでセリフさえ変えてくれたらいいから、と好きな人は言ってくれるんです。でも僕はそれはやりたくなくて、プラス何かがないとやる意味がないと僕は思うんです。そんなこと言ってるくせに、ゲームのことに関しては、ピクミンに関しては、宮本さんに対して同じでいいからステージだけ変えてやってくれ、と思っているというこの矛盾。」
宮本「いや仕事の悩みってそれですよ、ほとんど。期待に応えたいけど、一緒じゃ嫌だ。」

自分でつくるものは、何か新しい要素をいれたい。自分が楽しむものは「ほとんどそのままでいいよ」と思ってしまう。これは何かある。

なぜ説明書を読まずにいきなり家電をいじるのか

書籍「ヒューマンエラー」で知った概念。人間が行動するときの「頭や体の使い方」を分類する考え方

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「説明書を読まずにいきなり家電を操作する」を例にあげる。「だいたい同じだろ」と過去の家電とおなじパターンだなと認識して、体が勝手に動き家電をいじる。

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これで無理ならどうするか。別の「家電をいじるパターン」を探索し、またいじり回す。

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それでも動かし方がわからないときに、はじめて説明書を読む。

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人間の脳は、最大限「既存パターンの使い回し」をしがち

脳はパターン認識が得意。本当に慣れていることは、無意識に行動して終わる。朝起きてトイレにいくとか、運転に慣れている人は運転中の行動とか。

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無意識の行動で無理だったら、既に知ってるパターンの中からの使い回しを検討する。この「パターン認識」が脳の得意なところ。

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パターンを適用しても無理だった場合、新しいパターンを作るために学ぶ。

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本人は新しいチャレンジや試行錯誤をしているつもり。実際には知ってるパターンの使い回しで仕事をしてしまっている。

周囲からは「成功体験」という脳内パターンを使い回してるだけ。本人は新しいチャレンジをしているつもりになっていることがありそう。

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これはヒューマンエラーの種類のうち「強力だが的外れなルールの適用」というものらしい。

新しい知識を学んでいるようで、既存のパターンに当てはめてしまう。「つまり、あれと同じだよね」

何か新しい情報を知ったとき「つまり、あれと同じか」と自分の頭の中に既に存在する引き出しに入れてしまう。これは学んだことになってない。ただ既存の脳内パターンを強化しただけ。これもかなり起きている気がする・・・。

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宮本「いや仕事の悩みってそれですよ、ほとんど。期待に応えたいけど、一緒じゃ嫌だ。」

期待に応えたい→「他人の脳内にあるパターン」が期待する通りにやりたい。

一緒じゃ嫌だ。→「自分の中にない新しいパターン」をつくらないと先がない。

という解釈。

どうやって新しいパターンをつくるのか?「説明書をみて、説明書の通りに家電をいじってみる」

新しい知識を知ったときに、「既存のパターンに当てはめて勝手に体が動いてしまうような行動を避けて、ぎこちなく自分で手を動かしてみる」のがよいらしい。つまり、説明書をみて、説明書の通りに家電をいじってみる。そこから新しいパターンをつくる。

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確かに、知識だけだと既存パターンに当てはめてしまいそうだ。手を動かしてみたら「あーそういうことか」と新しいパターンが頭の中に生まれるのは、実感としてもわかる。

最近の柴田がやってみた例

個人情報保護に関して、プライバシーマークの審査を全部自分で対応してみた。自分の役職は「執行役員管理本部長」だから、「既存の脳内パターン」にあてはめると、別の担当をアサインしてやってもらったり、外注するという手段になる。ただ、直観的にやってみたら新しい経験になりそうだと考えてやってみた。

最初にこの本を買った。これはプライバシーマークの審査員の人も持ってくる「教科書」だ。

全ページをめくってみたけど、まったく分からない。正直かなりきつかった。何をすればいいのか、全体像がつかめないのだ。やろうと思えば個人情報保護はどこまでもやれる。どこで線をひくのか?最初のうちは「OKライン」の答えがどこかにあるのかと思っていたが、実際には「OKラインを自分たちで設定する」のも仕事だということに気がついた。OKラインをひくために、一般的なセオリーを知り、自社は「ここまでやる」と決めるということだったのだ。それぐらい試行錯誤した上で、外部の詳しい人を探し、その人に相談しながら個人情報保護体制を再構築してみた。

やってみた感想。いままでの自分が考える「高品質の業務」とは定義が根本的に思想が異なることがわかった。「ぼくの考えた最強のISO9001」という記事にまとめた。

今までの私が考える「高い品質の業務」とは、全部ゼロから考えて臨機応変にやることだった。プライバシーマークの思想を知り「あらかじめ設定されたプロセスを、その通り実行する」という「質」もあることを知った。無駄な業務に見える場合は、プロセス設計が間違えているだけであり、臨機応変に対応出来るプロセスを事前に設計できてないだけ。まあこっちのほうが、再現性高くていいよね、という感想を持った。

本当に新しい「学び」は、最初何をしていいかもわからない

「本当に何してよいか全く分からない」ぐらいのことをやらないと、脳内パターンは増えない。それぐらい「既存パターンに当てはめてしまう行動」は強力らしい。

部下も予算もたくさんある「えらい人」ほど、やったほうがいい

部下も予算もたくさんある「えらい人」は、新しい分野に関してもその分野の詳しい人を採用したり、担当者をアサインしたりしてなんとかなると思いがちだ。でも、自分が全体像を設計する役ならば、自分の知らない新しい分野について「既存のパターンに当てはめない形で」学ぶことが必要だと思う。それをやらないと、老害になってしまう。つまりこの図だ。自分が知らない分野についても、自分が知ってるパターンで理解できるなんて、よく考えたら傲慢にもほどがある。でも脳の構造からして「無理にでも当てはめてしまい、理解したつもりになってしまう」のだ。

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この図は本当に恐ろしい。自分は試行錯誤してるつもりなのに、周囲から見てると「ずれてんなー」と思われてるわけだ。しかも、本人にそのことは伝えずに、自分たちだけでその見解を共有しているのだ。

相手を動揺させ得る情報を持っている場合、人は最も負担の少ない道を選ぶ傾向にあること、つまり単に何も言わないという選択をする傾向がある(書籍「insight」P250)
参加者たちは、たとえばジーナは傲慢だといった意見を、他人には(嫌いな人にさえ)気兼ねなく語っているが、本人にはほとんど言ったことがないと回答した。(書籍「insight」P251)

詳しくは以下に書いた。

まとめ:手を動かして、学ぶしかない!

でもめんどくさいから、ずっとこれをやるのは大変だなーという感想。どこかでやめたいけど、どうすればいいのか!

twitterの反応によって視点を追加する

カードゲームを買ったときに「説明書を読んで満足するタイプ」と「カードゲームを遊んで満足するタイプ」がいると聞いたことがある。

逆だ!つまり、脳内パターンを増やすことをずっとやっている。

これは特に学びとかじゃないけどこんなことを言われたら嬉しかった。

時間があるときに、やっぱり説明書を読むタイプの人ってのはいるのか。カレーのルーも「火を止めてから入れる」を守るとずっと美味しくなると聞いたことがある。実際に説明にはそう書いてある。でも、火を止めないで入れていた。

そうか、言われてみれば当たり前だけど、対象分野の知識が少なければ少ないほど、パターンにあてはめてしまうから、より「理解しない」とも言える。なるほど。

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柴田史郎
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