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GDPの計測方法が管理部門の成果の定義やKPIのヒントになる

柴田(@4bata)です。「無形資産が経済を支配する」を読んでる途中に思いついたことをメモします。

前提1:管理部門が費用削減ばかり注目される理由は、大多数の社員が「売上-費用=利益」をベースに仕事をしているから

・会社の中のほとんどの社員は「売上-費用=利益」をベースに仕事をする
・「売上」がない管理部門は「費用」を削減して、利益を出せといわれがち
・それ以外の「成果を定義するコンセプト」が必要

前提2:管理部門の成果を定義するコンセプト:社内に「見えない資産」をつくる

・ここでいう「会社の資産」は、バランスシートと呼ばれる会社の財務諸表に掲載される「資産」より、もっと幅広く捉えたほうがよさそう
・会社に将来入ってくるお金の量をプラスにする「(広義の)会社の資産」のうち、財務諸表にのせられるものは一部であることは、直感的にも理解できるだろう
・「社内に見えない資産をつくる」を管理部門の成果のコンセプトにするのはどうか

ここから本題。「見えない資産」を「無形資産」と読み替える。すると、経済学者や統計学者がGDP計測をするために無形資産を測定する方法を知ることで、管理本部の成果の定義やKPIを設定するヒントとして使える。

「みえない資産」を直接測定するのではなく、管理部門の支出のうち「資産をつくりだすための支出額(=投資額)」を分類するのが第一歩

あたりまえのようだけど、私はきちんと理解していなかった。

・1940年代、投資として認められる「支出」は物理的なもの(機械等)をつくる場合のみに厳しく制限されていた
・銀行がソフトウェアのコード開発に支出していることに統計学者が気がついた。そして、そのコードは何年も使うことができるので、どうやら「資産」のようだと判断した。
・1999年にアメリカ合衆国商務省経済分析局は、GDPの計算時にソフトウェアも投資として認めた

1999年までは、ソフトウェアは単なる「費用」として扱われていた。それが「資産」に変わったことで、会計報告上の扱いも変わったわけだ。ここから着想があった。いま管理部門でつかっている「支出」のうち、いったいどれが「無形資産をつくりだすための支出(=投資)」なのかを分類するのが、成果の定義の第一歩ということになる。

「自社が長期にわたって恩恵を受けるような価値を、長期にわたって提供してくれるもの」をつくるための支出が投資。分類してみると意外とそこに支出が使えてないことがわかる。

素朴な疑問:「人への投資」として、教育研修費はわかる。人件費も投資扱いなのか?

いきなり細かい話になる。「人への投資」として、人件費を使うことにずっと違和感があった。

エーザイは、営業利益に人件費と研究開発費を加えた金額を、ESGを踏まえた利益「ESG EBIT」と名付けて開示した。通常、損益計算書では、人件費と研究開発費は利益から差し引く。ところがESG EBITでは、これらを将来利益と見なして足し戻す。(引用元)

ここでも、人件費も将来への投資と見なしている。研究開発費は直感としてわかるけど。理由は、(極論ではあるが)人件費には「投資要素」と「費用要素」がある気がしていて、人件費をまるっと投資扱いにしてしまうと微妙なのでは、というものだった。これも以下の理解で納得した。(書籍に書いてあったことの自分なりの解釈)

1000名の社員がいる。2:6:2の法則で、2割が大きな成果を出し、6割が普通の成果、2割が小さな成果を出すとする。誰が大きな成果を出せるかは事前にはわからない。ただ、ある程度の人数がいれば平均化され、毎年の「1000名全員で出す成果の合計」は一定に落ち着くことが予想される。であれば、毎年1000名の人件費を「資産をつくるための投資」と扱い、1000名をひとつの「資産」として扱って、毎年一定の成果を生み出すものと考えてもよい

これも書いてみると当たり前なのだが、私はわかってなかった。成果をださない人材の人件費も投資でいいのか?という疑問だったのだが、細かい話だった。

無形資産の特徴も、管理部門がつくれる資産(=成果の定義)のヒントになる

GDPの話からはずれるが、書籍に書いてあった無形資産の特徴からもいろいろ考えられるので書いておく。

特徴1:有形資産は転売しやすい。無形資産は転売しにくい。企業固有の文脈があるから。

社外からみて「これに価値を生み出す力がある」とわからないものも多いということだろう。これが逆に企業の優位性をつくるケースもあると思うので、いいことだと感じた。自分たちで何が資産を考えるというのが面白い。

特徴2:投資をしなくても他の企業から多少の知識はもらってくることもできる

工場と、そこでつくる商品の設計図を考える。工場は鍵を閉めてしまえば他社は使えない。設計図は、販売された商品を買ってきてリバースエンジニアリングすれば他社も手に入れられる。特許をとっても迂回発明という対策がある。工場に泥棒を侵入させて勝手に使うよりはハードルが低い。有形資産のような「防御」は使いにくいということだろう。特徴1とあわせると面白い。他社が資産と思えないようなものを「資産」にできれば強いということだろう。

競争優位性の違いから、管理部門がつくれる資産の種類(=成果の種類)を3つに分けて考える

前に競争優位性の違いと人事施策の変化のことを書いた。

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左から右に行くに従って、事業規模が大きくなり、参入する競合相手も増えて、競争激しくなるというイメージ。実際にはこんなにきれいに分割はできないけど。

先行者としての優位性・・・最初にはじめたことが優位性。他に誰もやってない!という観点。お客さんが支持してる理由も「ほかにない」という観点がありそう。新しいモノ好きが支持しているとか。

ポジショニング、組織能力による優位性・・・顧客対象を絞って他を捨てるポジショニング、トレードオフ。もしくは、暗黙知ベースで真似しようと思っても、真似できないような能力を組織として持つ、という優位性で勝つ場合もある。どっちかの方法で、顧客に価値を提供するのだろう

意図的なわかりにくさ、戦略ストーリー・・・ポジショニングも暗黙知ベースの組織能力も時間がたてば真似される。そのときに優位性を保つためには、外から見て真似できない、真似しようと思ったら失敗するような因果関係を作る必要があるという話。渋谷と田舎のコギャルの話がわかりやすい。

これを応用して「管理部門がつくる資産」を3つに分けて考えてみる。

管理部門がつくれる資産の種類①:先行者としての価値がある「新しさがウリ」の資産

最初にはじめたことが優位性。他に誰もやってない!という観点。でも新しさだけがウリなら真似される。特に無形資産はリバースエンジニアリングしたり、盗みやすい。

管理部門がつくれる資産の種類②:真似しようと思っても、真似できないような能力

真似したいけど、簡単に真似できないなーという組織能力。これは企業固有の文脈とつながってて、真似できないっていう要素がある資産だろう。

管理部門がつくれる資産の種類③:外から見て真似したいとも思わない、真似しようと思ったら失敗するような資産

無形資産の特徴を考えると、社外から「これ意味あるの?」と思われるようなものをつくるというのは、最大の防御。


えーと、よくわからなくなってきたのでこれで終わり。

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柴田史郎
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