見出し画像

事業の競争優位性の変化にあわせて、評価報酬制度も変える

これを書く理由

・人事の施策が働く社員のためになる、ということはわかる。つまり、労働市場からの評価。
・では、人事施策は財市場(=顧客からの評価)とどうつながっているのか?を自分なりに整理しておきたかった。
・今後は、バックオフィスの業務と顧客からの評価をどうつなげるのか、人事以外のことも整理していきたい

オムロン竹林さんの事業ステージ別に必要な人材

この辺が元ネタなので読んでください。

スクリーンショット 2020-05-26 16.31.27

フェーズごとに必要な人が違う
・0から1を産み出すアート思考の人
・1をn倍化するグランドデザインを描けるデザイン思考の人
・n倍化する過程でKPI設定してリスク管理できるサイエンス思考の人
・継続して改善し続けるエンジニアリング思考の人

これ以外の人も必要、でもキーマンになるひとがこういう人、という理解。

必要な人材にあわせて組織の背景にある考え方も異なる

スクリーンショット 2020-05-26 16.36.05

これも竹林さんのやつから。一部改変しているかも。

左側の人が重視するもの
社外人脈・・・これはわかる、探索的な行動になるから社内より社外なのだろう
コミュニティ理論・・・これは、上下関係とかではなく「互酬性」、「お互いさま」の精神で仕事でも短期的なメリットデメリットと関係なく動くとかそういう感じか
心理的安全性・・・私の好きな定義はこれ。メンバーの防衛的な考えを、建設的な考えに切り替えさせ、チーム学習の方向に持って行く社会心理学的メカニズム。
360度評価、究極の1軸による評価・・・実際には、評価項目等の設定が難しいのでトータルで考えるしかないという意味ぐらい。報酬制度との紐付けどうなってるのか。一定水準以上報酬は出すとしても、あとは探索的行動そのものが、本人にも非金銭的報酬になっていて、動いてそう。これで動く人は少数でよいということか?

右側の人が重視するもの
・社内人脈
・・・社内のチームとして動くことが増えそう
・カンパニー理論・・・コミュニティと対比しているとしたら、ヒエラルキーを前提としていると理解した
・効率化・・・これは実はすごくて、つまりなにが「成果」なのか決まっていて、少ない投入工数でおおきな成果を出すということ。左側のフェーズだと何が成果なのかすらわからない
・測定可能な評価項目・・・何が成果か、左側に比べるとわかりやすいから、評価もしやすい。これで動く人数も増えているだろうから、何をしたら褒められるのか、を明確にしようということ。

競争優位性を保つ理由が変わっていく

つづいて、「ストーリーとしての競争戦略」から考えを持ってきて接続する。

スクリーンショット 2020-05-26 19.29.28

左から右に行くに従って、事業規模が大きくなり、参入する競合相手も増えて、競争激しくなるというイメージ。実際にはこんなにきれいに分割はできないけど。

先行者としての優位性・・・最初にはじめたことが優位性。他に誰もやってない!という観点。お客さんが支持してる理由も「ほかにない」という観点がありそう。新しいモノ好きが支持しているとか。

ポジショニング、組織能力による優位性・・・顧客対象を絞って他を捨てるポジショニング、トレードオフ。もしくは、暗黙知ベースで真似しようと思っても、真似できないような能力を組織として持つ、という優位性で勝つ場合もある。どっちかの方法で、顧客に価値を提供するのだろう

意図的なわかりにくさ、戦略ストーリー・・・ポジショニングも暗黙知ベースの組織能力も時間がたてば真似される。そのときに優位性を保つためには、外から見て真似できない、真似しようと思ったら失敗するような因果関係を作る必要があるという話。渋谷と田舎のコギャルの話がわかりやすい。

競争優位性の変化を、顧客への支持理由の変化という観点から考える

スクリーンショット 2020-05-26 19.46.41

ここからはもう、私の解釈だ。

最初のうちは、先行者という優位性なので、「他にない、新しい!」というのが顧客の支持理由になっているはず。そして、似た商品が増えてくると、似た商品と比較して、自分にとってそれがよい良い(ポジショニング/組織能力)というのが支持理由になってくる。新しくはなく、最初に発見された「新しかった価値」はあたりまえのものとして存在して、その上で差別化なのか、「新しかった価値」の最大化なのか、わからないけど、比較されて選ばれるようになる。最終的にはなぜ選ばれるのかどうなってるのかすらわからない、ということなのかな、ここはわからない。

私も買っている、base foodで考える。完全栄養食的なものは、過去もいろいろあったけど、自分にとっては、base pastaとよばれるパスタは新しかった。だから買ってみた。最初の動機。みんな味がどうたらこうたら〜と言っているが、別に私には問題ない。

そのうち、日清が似たようなモノ「All in pasta」を出してきた。そのとき、一度乗り換えを検討した。というのも、base foodの定期便の設定ページがわかりにくくて、予定通り届かないことが何度か起きていたのだ。ただ、日清のものが売り切れだった。これだけ食べていればOKというコンセプトは同じなので、ぶっちゃけどっちでもいい。つまり、「完全栄養食」が新しいという理由では買わなくなっている。その間に、定期便等の使いやすさがよくなったり、base pastaのゆで時間が3分から1分になったりして、そのまま買い続けている。

base foodの定期便には、冊子がついている。1回読んだけど、それ以降よんでない。でも、base foodの社長のtwitterはフォローしている。知り合いがここに転職を検討していた、みたいな情報も入ってくる。すると、今後似たような商品が出てきても、乗り換えるよりは、よほどじゃない限りこの会社応援するか〜みたいなことになってくる。でも、紙の冊子はエコじゃないなーとかも思う。これが、一番右のフェーズなのかわからないけど、「支持理由も合わせ技?」ってことかもしれない。まあ実際にはまだフェーズⅡとⅢの間でしょうけど。

ここに人事としてどう介入するか?キーマンの交代とセットで制度を見直す。

事業フェーズにあわせて制度をかえる。それはそう。でも、もっと人事が苦手そうなことを書く。キーマンにフェードアウトしてもらうことだ。

例えば、組織がコミュニティ理論で動くか、カンパニー理論で動くかを決めているキーマンがいる。探索フェーズが終わったら、0→1のアート思考の人が過ごしやすい組織はじゃまになるかもしれない。だから、そのアート思考の影響力をもつキーマンにフェードアウトしてもらう必要があるかもしれない。そのときにやるのは、制度変更ではない。制度の決裁者がキーマンであり、自分の上司であることも多い。だとしたら、ここに書いてあるようなことをいっても意味がない場合もある。その人には次の新しい「探索行動」をしてもらうという形でフェードアウトしてもらうのがいいのか?新規事業が子会社なら親会社に働きかける必要があるのか?事業部なら、事業部を超えて上層部に話す必要があるか?創業者がそうだった場合は?どちらにせよ、人事としての範囲を超えているところからやったほうがよさそうだ。もちろん、採用で次のフェーズに適した人材を探してきて、補完関係になるチームをつくる、というのはあるけれども。そういう普通のことは書かなくてもわかるはず!

キーマンの交代とセットで採用や制度を見直す、というのはわかりやすい。ただ、人事も同一人物がそんなことできるのか、わからない。専門職としての人事は、右側のフェーズにいることが多いだろう。そもそも左側のフェーズには、人事という分業が存在しない組織であることが多い。右側の世界で生きてきた人には、左側の気持ちはわからないかもしれない。だんだんと拡大してきた組織で、右側の制度を整えようとしたら「大企業病だ」という話が出てきたりもする。一つの組織の中に、左側の価値観と右側の価値観が同居することはできるのだろうか?それもわからない。左側と右側が議論したら、右側が勝つのだ。説明可能だから。これもややこしい。

顧客の支持理由が変わる、競争優位性の種類が変わりそうなフェーズになったら、あらゆる手をつかってなんとかする!

というのがまとめだ。何も言ってねー。でもいまはこれしかわからない。あらゆる手を使うということです!



誰かが書いてたけど、サポートしてもらったらそのお金をだれか別の人のサポートに回すと書いていて、それいいなとおもったのでやります!