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『重要物語』観劇感想

『重要物語』(作・演出:ブルー&スカイ)
@赤坂RED/THEATER
2023.2.2 19:00開演

池谷のぶえさんが真の力を解放するのは、ブルースカイ作・演出の時だと信じて疑わない。もちろん他のお仕事でもその才能を遺憾なく発揮されているが(コケカキイキイを演じられる役者さんは世界に一人だと思う@『ゲゲゲの先生へ』)、やはりこの組み合わせは圧倒的なのだ。演技の引き出しを自在に開けながら、ごく自然に(時には不自然極まりなく)世界をナンセンスにスライドさせてゆく。無駄な動きは全くないし、ある意味無駄な動きしかしない。この池谷さんが観れるだけでもう大満足なんだけど、他の人たちもそれぞれ魅力的だった。

大堀こういちさんは分かりやすい笑いを振り撒きながらもブルー&スカイ世界を壊すことはなく、加藤啓さんは安定の表情演技を見せ、吉田亮さんは存在感が作品世界にピッタリで、レ・ロマネスクTOBIさんは動きの優雅さが可笑しく(2歩は動ける、のとこの優美さよ)、小林歌穂さん(私立恵比寿中学の人らしい)めちゃくちゃ上手にナンセンスを演じていた(特に四国を覚えられないところとか)。

昔より丁寧にツッコミが入ったり(椅子と柔道した後とか、二郎が脱獄した後とか)、投げっぱなしではなくオシャレなラストシーンがあったり、猫ニャー時代との違いも感じながら、でもやっぱり面白かった。
「黒ってお習字の『希望』の色でしょ」が好きでした。

平日だというのもあったかも。劇場の雰囲気がいい。平日の夜にわざわざナンセンス劇を観に来る客が揃ってるという状況が既に面白い気がする。
一人客が多いのか開演前も静かで、上演中は変に笑い声があり過ぎたりもせず、でも「わかる」というところで隣の女性は声を上げて笑い、終演後は大人しく一列になって帰っていく。満足感を表に出すでもなく、淡々と、殆どが物販を通りすぎて(笑)。さながら巡礼者の列のようだった。ナンセンス演劇に殉ずる者達の夕べ、堪能しました。


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