いつか娘と

あれは僕が小学生の頃。
40年くらい前かな？
父と車に乗っていた時の事。
信号待ちで止まっていると、隣にバイクが止まった。
そのバイクはオフロード車で、後ろの席に女の子が乗っていた。女の子は年長さんくらいだろうか。

運転していたのはお父さんだろう。
娘さんと思われる女の子を後ろに乗せて、紐のようなもので落ちないようにお父さんと娘さんは繋がっていた。
その光景を今でも覚えていて忘れられない。

まだ小学生だった僕は、その光景が凄く羨ましくて、いつか大人になって僕にも子供が出来たら後ろに乗せてみたいと思った。
そう思ったのは、その時ではなく大人になってからだったかもしれない。

僕には一人娘が居る。遅くに結婚したのでまだ小学2年生だ。
まだまだ手が掛かるので、正直あまり自分の時間というのは少ないけど、今しか出来ないこともあるから嫌ではない。

いつか見た光景。
僕も娘を乗せて走ってみたい。
幸い、妻はバイクの危険性は認識しているけど、反対はしていない。
娘を乗せることも僕より積極的だ。

ただ、免許を取得して1年間は2人乗り出来ないし、何より自分の運転技術が向上しないうちは乗せないつもり。
でも運転技術が向上したら、交通量の少ない安全な道路を少しでもいいから娘を乗せて走ってみたい。
世間的にあまり良く思われないかもしれない。
だから少しでいい。1回だけでも。
運転技術を磨いてから。