見出し画像

障害のある子が成人するまでに考えておいた方がよいこと3選

障害のある子を持つ親にとって、子の成人は楽しみなこと、というよりは、ちょっと怖いことだと思う。
え?私だけ?

たぶん、私だけではない、と思うので。今日は少し、子どもの成人までに親が考えておいた方がよいことを書き出してみようと思います。

というのも、成人年齢の引き下げがありました(結構前のことなのにホットな話題みたいに書いてすみません)。
怠惰な親代表である私は、「成人年齢引き下げ」は、考えねばならぬ色々な問題が前倒しになっちゃうから「やめてくれよー」と思っていた。でも下がってしまったから仕方ない。考えねば。

ダウン症のある長男は小6になりました。私は行政書士事務所を細々と開業し2年、細々と活動しております。立場的にも誰より考えねばならんでしょう。
というわけで今日は大きく3つ、考えてみようと思います。

①任意後見制度を使うか使わないか


至極あたりまえのことなんだけれど、あたり前すぎて子どもが小さいうちは気づかない、それが「親権」の存在で。
成人になるまで親は子にまつわる色々なことを「親権」に基づいて決定する権利がある。
子が成人してしまうと「親権」はなくなるので、それができなくなる、というわけで。
これは大きい。

この問題を解決できるという触れ込みで登場したのが近年「親心後見」という名前で注目が集まっている親権を利用した任意後見契約であろう。
「親権」を使った仕組みなので、親に「親権」がある間、つまり子が成人前にしか使えない。
どんなものもそうだけど、これも完璧な仕組み、というわけではないので要検討事案である。

②お金の残し方を考える

親が死んだ後のこと、あるいは親が認知症になったあとのこと、お金の管理を誰に任せるか、親が死んで遺産ドーン(一括渡し)で大丈夫か問題。うちの子は、、、全然大丈夫じゃないY!というわけで、分割してお金が入ってくる仕組みを作っておく必要がある。

家族信託を設計して兄弟に託す
税金関係など、利用にまつわる色々な判例も出そろってない状況で素人が利用するのはなかなか難しいのが難点

生命保険信託の利用を検討する
親が加入者、子が受益者という形で、親(加入者)が亡くなったあと月々決めた額が子に支払われる生命保険を使った信託。保険なので、加入したらばすぐに親なきあとの資金が確保できるのが魅力的。生命保険なので親の年齢が若いほど保険料が安くなるし、健康じゃなくなったら入れないので利用するならば早い方が良い。それはわかっちゃいるけど決められない決断力のなさよ。

障害者扶養共済(県民共済)
一口2万円で障害のある子の親が亡くなった後、或いは重度障害者になった場合に毎月2万円(上限2口加入で4万円)子に支給されるというもの。こちらは子の成人というより親の年齢制限(65歳まで)がある。公的制度という安心感

iDECO
税制での優遇もあり魅力的。ただ、ダウン症者の平均寿命を考えると受給開始年齢60歳というのがひっかかる


お金関係、今のところ有力なのはこの4点でしょうか。

③遺言書

相続の話です。

たとえば、子と両親の三人の家族で、父が亡くなった場合。
残された母と子で父の遺産を相続するわけですが、障害があろうがなかろうが、子が未成年の場合で遺産分割協議が必要なケースでは母が子に代理して母と子で遺産分割するのは利益相反にあたるので、特別代理人の選任が必要になる。

同じケースで、成人している子に障害がある場合、遺産分割協議をするのに「特別代理人」ではなく「後見人」をつけるよう求められるケースがある、らしい。
スポット利用の特別代理人に対して、後見制度は現行では一度始めると死ぬまで続くので「もう必要ないから外れてください」ができない。
後見人が付くのは悪いことではないけれども、いかんせん毎月の費用がかかる。一月2万円として年間24万円×死ぬまで、と考えると、まだ後見人が必要でない段階で遺産分割のためにつけざるを得ない、というのはなんともうまくない、わけです。

これを回避するために、「遺言書」を書こうよ!という、ね。
そもそも遺言書があれば遺産分割協議が必要ないのだから!
どんな内容にする?何を誰に?と、いろいろなパターンや将来の可能性等々考え出すとラビリンスから出られなくなるので、まずは夫婦お互いがお互いに一切の財産を相続させる、という内容で一筆書いておくことをオススメします。※夫婦でそれぞれ1通ずつ作ってくださいね!1枚の紙でお互いに~とか書いた遺言書は無効なので気をつけて、、

公正証書だと完璧ですが、公正証書と聞くだけでやる気がしぼんでしまう私は、自筆証書遺言から始めようと思っています。
自筆証書遺言は、全文自筆で、日付、署名、押印(実印じゃなくてOK。でも実印があるなら実印押しておくと安心)があれば大丈夫。封をして、お互いが死んだら開ける引き出しに入れておきましょう。死んだら開ける引き出し、ありますか?うちはないです。
そんな引き出しないし、いざという時に見つけられない自信がある。そんな方には自筆証書遺言保管制度の活用をオススメします。3900円で必要な時にポッと出してくれるならコスパはいいような気がします。ただ、ちょっとだけ多めに様式の決まりがあります。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

障害のある子が18歳になるまでに親が考えておいたほうが良いこと、ざっと3つ挙げてみました。
ここまで書くだけ書いて満足してしまったので、我が家はもう少しこの問題を寝かせることになりそうです。
そのうち、夫が暇そうだが機嫌のよいタイミング(そんな日来るのか、、)を狙って遺言書は書いてもらおうかな、と思案中です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?