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「銀河フェニックス物語」初めて読む方におすすめ

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「銀河フェニックス物語」を初めて読む方にお勧めです。<出会い編>第一話から最新話までのまとめ読み版を連載順に集めました。舞台は宇宙。恋あり、笑いあり、アクションありのハードボイル… もっと読む
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銀河フェニックス物語 総目次

イラスト付き縦スク小説『銀河フェニックス物語』の内容が一目でわかる目次を作ってみました。 <出会い編>第一話 永世中立星の叛乱 記念すべき第一話。新入社員のティリーが「厄病神」のレイターの船で初めての出張に出かけますが、革命規模の大規模デモに巻き込まれて…… 第二話 緑の星の闇の向こうに第一話の一週間後のお話。同期の代わりに出張へ出かけたティリーは、今度は環境テロに巻き込まれます 第三話 レースを観るならココ!と言われて宇宙船レースを観るのが趣味のティリーが、研究所のジ

銀河フェニックス物語【出会い編】 第十四話 雨の後には虹が出る (一気読み版)

・第一話のスタート版 ・第一話から連載をまとめたマガジン  ・イラスト集のマガジン 「申し訳ありませんでした」  ティリーは頭を下げた。 「困るんだよね。納期はちゃんと守ってもらわないと」  取引先の主任さんが怖い顔をしてわたしをにらんだ。  年輩の男性主任。  先日、フレッド先輩から担当を引き継いだ時もこの人は一度も笑顔をみせなかった。 「来週、間違いなくお届けいたします。以後気をつけますので」   わたしのせいじゃない。 と、のどまで出かかる。  わたしはちゃ

銀河フェニックス物語【出会い編】 第十五話 虹の後にも雨は降る (一気読み版)

・第一話のスタート版 ・第一話から連載をまとめたマガジン  ・イラスト集のマガジン 「見積書を送付いたしました。ご確認の程、よろしくお願いします」  通信機の前でティリーは頭を下げた。 「はい、わかりました」 「いつ頃、結論出そうでしょうか?」 「二、三日待っててください。社内の承認手続きが終わり次第、こちらから連絡します」  取引先のスミスさんの回答を聞いて、わたしは胸を撫で下ろした。  ギリギリだけれど、この契約が今月中に決まれば営業企画課の目標達成だ。 * 「

銀河フェニックス物語【出会い編】 第十六話 永世中立星の誕生祭(1)~(9) まとめ読み版 ①

・第一話のスタート版 「それではこれでよろしくお願いします」  クロノス社のフレッド・バーガーは契約ボードを差し出した。  ガーディア社のガロン技師長が電子サインを記入する。  契約完了。  その様子をみながらティリーは感慨にひたっていた。思えばこの仕事は長かった。  わたしの初めての出張だった。  新型船の高重力実験の契約を交わそうと、ここラールシータを訪れたのが一年前。  ちょうどその時、独裁を続けてきた王室に対し革命とも呼べる大規模デモが勃発し、契約どころでは

銀河フェニックス物語【出会い編】 第十七話 懺悔と贖罪、そして寛容 (まとめ読み版)

 この物語は、宇宙船メーカーの営業 ティリー・マイルドと、そのボディガード レイター・フェニックスのお話です ・第一話のスタート版 ・第一話から連載をまとめたマガジン  ・第十六話「永世中立星の誕生祭」① ②   宇宙船のS1レースを、フェニックス号の4D画面で堪能した。  きょうもわたしの憧れ『無敗の貴公子』が優勝して気分がいい。散歩がてらレイターが家まで送ってくれるという。  大通りを歩いていたら、レイターが、ぐいっとわたしの腕を引っ張った。 「な、何するのよ」

銀河フェニックス物語【出会い編】  第十八話 オールスター狂騒曲 まとめ読み版①

 この物語は、宇宙船メーカーの営業 ティリー・マイルドと、そのボディガード レイター・フェニックスのお話です。 ・第一話のスタート版 ・第一話から連載をまとめたマガジン  「ねぇ、ティリー、バスケ部観に行こうよ。今、練習してるんだって」  お昼休み、隣の席のベルに誘われた。  背が高く運動神経抜群のベルは、学生時代バスケ部だった。 「いいわよ、サンドイッチでも買っていこっか」  うちの会社のバスケ部は、結構強い。今年も社会人リーグで準優勝したのだ。  本社の敷地内にある

銀河フェニックス物語【出会い編】 第十九話 恋と伝票の行方(まとめ読み版)

・第一話のスタート版 ・第十八話 まとめ読み版① ②  これは、第二話「緑の森の闇の向こうで」 から一年が経った物語です。  経理のジュディ先輩に休憩室へ呼び出された。  気が重い。  伝票が間違っていたのだろうか?  でも、それなら経理の部署に呼ばれるはずだし・・・。  ジュディ先輩は、わたしたちアンタレス人と同様に、数理能力の高いグルン星系の生まれで、二十代後半でうちの会社の経理を仕切っている。  仕事のできる人だ。小さなミスにすぐ気が付く。  ただ、少々

銀河フェニックス物語 【出会い編】 第二十話  バレンタインとフェアトレード(まとめ読み版)

・第一話のスタート版 ・第一話から連載をまとめたマガジン  ・第十九話「恋と伝票の行方」 「でも、それは違うんじゃないでしょうか? 販売店に悪いです」  みんなの視線がわたしに集まる。会議室が静まり返ってしまった。  頭の固い人間だと思われているのだろうな。  でも、やっぱり、おかしいことはおかしい、と言わないわけにはいかない。 「まあティリー君、このくらいのことは、ライバル会社もやってることなんだよ。君は、まだよくわからないだろうけれど」  フレッド先輩に優しく言わ

銀河フェニックス物語<少年編> 流通の星の空の下(1)

この物語は、レイターとアーサーが十二歳。出会って一か月後のお話です。 ・銀河フェニックス物語 総目次 ・【少年編】のマガジン ・第二十話「バレンタインとフェアトレード」  コンテナ牽引船の操縦席に座ったアーサーは、耳をふさいだ。 「なあ、ちょっとでいいから操縦させてくれよ、なあ、なぁ。あんたより俺のが絶対上手いぜ」  隣の助手席に座るレイターが、とにかくしつこくてうるさい。  その日、料理長のザブリートさんが、レイターを連れてデパ星系へ食料の買出しへ出かけることになり、僕

銀河フェニックス物語 【出会い編】 第二十一話  彷徨う落とし物 まとめ読み版

・第一話のスタート版 ・第一話から連載をまとめたマガジン  ・第二十話「バレンタインとフェアトレード」  日帰り出張の仕事が無事終わり、ティリーはほっとした。  『厄病神』のフェニックス号で来たから心配だったけれど、トラブルは起きなかった。  後はもう帰るだけ。  この時間なら、夕方には本社へ着く。  残業もしなくて済みそうだ。足取りも軽くなる。  ビルから出た路地に、レイターが運転するエアカーが迎えに来ていた。 「レイター、お待たせしたわね。本社へ帰ります」  エ

銀河フェニックス物語 【出会い編】 第二十二話 地球人のディナー(まとめ読み版)

・第一話のスタート版 ・第一話から連載をまとめたマガジン  ・第二十一話「彷徨う落とし物」 「ティリー!」  会社の廊下で突然、同期のカノオ君がわたしを呼び止めた。  面倒くさい、という気持ちが真っ先に来た。  おととい、出張先で契約ボードを無くしたカノオ君を手伝ったら「俺とつきあってくれ」と告白された。  それを断って以来、顔を合わせるのを避けていたのだけれど。 「ティリー、君は知らないかもしれないが、俺は地球人なんだ」  カノオ君は上機嫌で話しかけてきた。 「知

銀河フェニックス物語 【出会い編】 第二十三話  気まぐれな音楽の女神 (まとめ読み版)

・第一話のスタート版 ・第二十二話「地球人のディナー」  ティリーはフェニックス号の居間で、新刊の小説を読み終えた。  この船、将軍家のファミリー契約で、本が読み放題なのだ。  今回の出張、厄病神は出てこなかった。  問題なく仕事が終わり、会社への帰途についている。いつもこうだといいのに。  自動操縦の時、宇宙船お宅のレイターは格納庫で小型船をいじっていることが多い。  その様子を見るのは、勉強になるし面白い。  見に行こうとフェニックス号の後部へ歩いていくと、懐かし

銀河フェニックス物語 【出会い編】 第二十四話  展覧会へようこそ (まとめ読み版)

・第一話のスタート版 ・第一話から連載をまとめたマガジン  ・第二十三話「気まぐれな音楽の女神」  月の御屋敷でレイターはアーサーと向かい合っていた。 「今度の任務は美術展の警備だ」  アーサーの言葉に、俺は眉をひそめた。 「美術展?」 「絵画に全く興味のないお前でも知っているだろう。アレンカトゥーナ展覧会」 「『宇宙は一つ』って、あれだけ宣伝してりゃな」  このところ、どこでもかしこでもみかける。『宇宙は一つ・アレンカトゥーナ』の文字。  来週から一か月、ソラ系の美

銀河フェニックス物語 【出会い編】 第二十五話 正しい出張帰りの過ごし方(まとめ読み版)

・第一話のスタート版 ・第一話から連載をまとめたマガジン  ・第二十四話「ようこそ展覧会へ」  わたしが浅はかだったのは間違いない。  フェニックス号で二泊三日の出張が終わって、ソラ系へ戻ってきた。週末の明日は宇宙船レースの最高峰S1グランプリがある。  今晩は前夜祭だ。    どうせフェニックス号で見るのだから、と、深く考えもせずにレイターに提案した。 「もう一泊してもいい?」 「あんたがよけりゃ、構わねぇよ」  ということで、フェニックス号に延泊した。