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【「余白」と「問い」のアート思考】

説明的ではなく不明な余白がある事で「問い」が生まれ、そこに心が入り込む余地が生まれる。現代アートに触れる事は「正解がない」事に慣れる行為でもある。
モノの時代には、生産性、効率性を重視して、とにかく生産すれば必要なモノ、便利なモノは一方向的に売れる時代でありました。何故なら、それらのモノが普及していなかったからです。1980年代、三種の神器と言われた洗濯機、冷蔵庫、テレビは、ほぼ100%家庭に行き渡り、モノの時代は終わった。作れば売れる時代が終わります。

その次に、利潤を追求する為にはモノの差別化が必要になってきます。お部屋に合った小さくて赤い冷蔵庫、場所を取らない液晶テレビなどなど、既存のモノにユーザー個別のニーズが付加されます。消費者のニーズを最大限に反映させた商品やサービスを生み出す思考(デザイン思考)は多くの商品やサービス生みだしていきます。

モノを選べる時代になり、マーケティングによってそれぞれの人の趣向に合わせてモノにコト(人それぞれの好み)を加えることで個々のニーズに応えた利便性や趣向性に答えたデザインなど、商品の多様性が広がってきます。携帯電話に至ると、そのピークと言えるほどの多様性の頂点に達します。カラーバリエーションだけでなく操作方法、デザイン、機能、サービス、そして、何度聞いてもわからない料金体系など種類があり過ぎるて選ぶのが面倒だと思えるくらいだったと思います。

【udemyアート思考入門編2.1】

人々のニーズに合わせ多様な商品展開をするうちに物の飽和が起き始めます。差別化は多様性を生み物が飽和すると物の価値は低下していきます。

人間が作り出すモノは人間の身体をどんどん拡張拡張してきました。足は車輪となり、目は望遠鏡となり、腕はジョベルカーに拡張していきました。そして、パーソナルコンピュータは脳の機能を拡張し記憶はハードディスクやサーバの中に蓄積され、ついには人間の脳の代わりをするAIが登場してきます。AIは人間の様々な情報を餌に考えるモノとなり2029年頃には人間の知能を超えるとまで言われ、宇宙物理学のホーキング博士は「完全な人工知能の開発は、人類の終焉をもたらす可能性がある」と言います。こうして人間はモノと人間の「余白」を埋めることを人類の発展としてきました。

合理性、利便性、そして趣向性によって商品やサービスの「余白」が埋め尽くされる時代。ビジネスのフレームワークとして語られることが多いアート思考ですが、ビジネスシーンだけでなく人間の本質、本能や直感の欲求に対する「問い」が、アート思考の目的になって来るのではないかと思うのです。

アートには人の心の底にある恐れ、不安、安堵、悲しみ、喜び、愛、祈り、、数値化できない人間の本質の全てがある。

アートを人間だけが持つ根源的な欲求や感情、精神の表現であるとすれば哲学や社会学の文脈でももっとアート思考として語られるべきだと思います。同時に、アート思考は「先の見えない、正解のない時代」で人間の豊かさへの「問い」でもあるのだと思います。人間の本質を知ることは豊かさの本質を知ることでもあるのです。モノの飽和の先にある本質的な豊かさや幸せをアートの視点から考察することもアート思考の可能性だと思うのです。

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