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【アート思考とマネジメント⑵アート思考のカリスマ経営は現実的なのか?】

1、カリスマアート思考組織
ビジネスにおけるアート思考のイノベーターといえば誰を思い浮かべますか?わかりやすい例で言えば、スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、、あたりでしょうか。私もジョブズの言葉をセミナーでよく引用します。ちなみに、これは山口周さんがよくセミナーで使っているGAFAとこの数字ですが、何を意味するかわかりますか?

Google      25
Amazon       31
Facebook    19
Apple      21

この数字は彼らが創業した時の年齢です。大学卒業して社会人になりたての若造によるスタートアップから生み出された組織が世界を動かすGAFAです。そんな、カリスマアート思考のイノベーターとはどんな人達でしょう。

2、スティーブ・ジョブズ
ニール・ヒンディーは著書「世界のビジネスリーダーがいまアートから学んでいること」でアップルの製品はニューヨーク近代美術館の収蔵品にもなるくらいアート・テクノロー・デザインを自然な形で融合させた商品であると評価しています。マックのデザインが決まった時、ジョブズは開発チームを集め「本物のアーティストは作品にサインをする」といって全員にサインを求めました。

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このサインは製品化された筐体のケースを開けると筐体の裏側に見る事ができます。アーティストは自分の名前で作品を創ります。同様に、ジョブズが最初のMacの筐体に開発者47人のサインを刻印したのは単なる製品ではなく芸術家の作品であるという責任と自信を現したのでしょう。そして、自社商品を自分ごと化したのです。MacはAppleの商品であり、従業員一人一人の作品でもあるということの表れとも感じます。テクノロジーと創造性を結びつけたマックはジョブズにとって芸術品でもあったのです。また、社内研修プログラム「アップル大学」ではピカソの作品や言葉をヒントにした芸術的アプローチを社内に浸透させました。

一方でジョブズは性格的に難ありでフォーチューン誌が選ぶ「米国で最も苛酷な上司」のリストに名を連ね、裸足で歩き回る、風呂に入らない等、奇行の数々や人間には「天才」か「クソ野郎」しかいないと言い放ち、ノイローゼに陥るまでに従業員を罵倒し、何人もの社員が退職に追い込こまれるパワハラだけでなく、「LSDの摂取は、人生で行ったことの中で最も重要な経験のひとつだ。私はドラッグなしでは成功できなかっただろう」仕事の重要な部分はLSDなどの違法薬物のおかげだとまで言っています。創業当時、チームは胸に「週80時間労働、大好き」とプリントされたTシャツを着て休日0で1日11時間の労働をApple社に捧げたそうです。経営者としてどうですか?(笑)日本の一流企業ではあり得ませんよね。

3、イーロン・マスクとジェフ・ベゾス
米電気自動車(EV)メーカーテスラのCEO、宇宙開発企業スペースXの創設者でもあるイーロン・マスクはマイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏を抜いて世界2位の資産家となっています。彼は自らのNFT作品をオークションに出し入札額は100億ドル(約1億円)を超えています。NFTの新規生や作品自体の良し悪し、さらにはこのBGMの良し悪しについてはさておき、一応アーティストとして高価な根がつく作品も発表しています。

彼は自らアスペルガー症候群だと公言していますが、やはりかなりの強者です。ドライブモード共同創業者として、イーロンマスクの元で働いた経験のある上田北斗氏はForbesJAPANインタビューで「すぐクビにするという意味では、すごく怖い人ですね。週一でミーティングをしていましたが、そのあと人が消えるということもしょっちゅうでした」「イーロンは社内ではほとんど誰とも仲良くしていません」といっています。

Amazon創業者であるジェフ・ベゾスは徹底した顧客最優先でたった20年で世界最大の通販サイトとなり、Amazonプライム会員は1億5000万人を達成。2000年に宇宙開発企業ブルー・オリジンを創業するなど、顧客中心、発明を続ける、長期的な視野で考えるの3つの三つの原動力で世界最先端の戦略を推進してきました。アマゾンの創業から数年間の採用面接でベゾスは「あなたが発明したものについて教えてください」と質問した点が注目です。採用の時点から「世界を変える」くらいの創造性の高い人才しか採用しないということです。ちなみに、彼の憧れの人はエジソンとディズニーだったそうです。一方で見込みのない人間はさっさとクビにし、「常に嫌ならやめていい」というもはや恐怖政治の様な職場環境なのだそうです。

お分かりの様に、基本的にアート思考のカリスマが生んだ組織はトップダウン型のワンマン経営です。

彼らのビジョナリーな部分や創造性(アート思考)は賞賛できても性格やマネジメントは真似しない方が良さそうです。圧倒的な未来へのビジョンと妥協のない創造性があるからこそ従業員はその過酷な職場環境に耐える事ができたのでしょう。ライフワークバランスとか言ってる人はまずこんなブラック企業には入らないでしょう。

よし!Appleみたいな会社作ろう!と思ってもそう簡単にできるわけではないし、仮にジョブズの様なアート思考のカリスマを経営トップに据えたとしても異常に自己中心的で気難しく、要求が厳しい暴君にガシガシ改革されてはついていけません。そもそも、LSD体験があると公言する様なトップは日本には不向きでしょう。スタートアップでなら可能でも、既存の会社に、カリスマアート思考を実装することは現実的ではありません。なので自社の事業を考えた時に正直、ジョブズの自叙伝を読むくらいなら、もっと実践的な本があるでしょう。

さて、イノベーションといえば思いつくカリスマイノベーターが現実的でないとすれば、日本でイノベーティブな組織を作るにはどうしたら良いでしょうか。。。。

つづく




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