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【Cryptovoxels(クリプトボクセルズ)の仮想ギャラリーとNFT】

Cryptovoxelsブロックチェーン上の仮想世界です。NFTのお店やギャラリーにも注力しているようです。新しい単語だらけなので、ちょっと説明が必要ですね。

Cryptovoxelsとは
百聞は一見にしかず、まずはグラフィティーアーティストshiroさんのギャラリーに入ってみましょう(下のリンクをクリックしてみてください)。スマホでもヴァーチャル空間で作品を簡単に見ることができます。

仮想空間に展示してある作品をクリックすると銀座の和田画廊のサイトに飛びます。現在、リアル世界の和田画廊にも展示して実物はギャラリーで見て購入することができます。

作家のshiroさん(https://twitter.com/shiro_one)は98年代からスプレー缶でグラフィティー作品を制作しHipHopカルチャーの本場ニューヨークに住み、長きに渡り作品を作ってきました。デジタルと言うよりむしろフィジカルな環境でアーティストを続けてきたshiroさんが180度違うバーチャル展示をしているところにバーチャルとリアルの境界が融合しているのを感じます。まさに、バーチャルとリアル、デジタルとフィジカルのハイブリットアーティストになってます。

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ブロックチェーンとは
ネットワークに接続した複数のコンピュータによりデータを共有することで、分散化されたネットワーク上で過去の取引データの集合体がチェーン上に記録されるため、偽造やデータの改ざんが難しく安全性が高いとされ、仮想通貨の基礎概念になっています。最近イーロンマスクが環境への悪影響を理由にテスラ購入にビットコインを使えなくしたことで、ビットコインが下落して話題になっていました。仮想通貨やブロックチェーンは思想的にはサイバースペースが中央集権的な国家から独立してテクノロジーが新しい民主主義を創る、、みたいな夢がありましたが、結局投資的要素が強く、さらにマイニングにイスラエルやバングラデシュなどの1国家の電力消費に相当する莫大な電力がかかり化石燃料を異様な勢いで消費していくというのは、ちょっと時代に逆行ぎみですね。とは言え、現在過渡期ではありますが、社会・経済は明らかに分散型に向かっているので数年後には社会実装も可能でしょう。

3D仮想世界
2003年にSecond lifeという仮想世界が話題になりました。コンビューター上の3次元空間にアバター(分身)となって入り込んでお店を出したりアバター同士会話ができます。当時、北米の日産が仮想空間で自動車の自販機をリリースし話題になりました。その件について、当時Second lifeで遊んでいた私にトヨタ自動車担当者から問い合わせがあり、トヨタ独自の仮想空間「メタポリス」の企画を提案しました。

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当時の仮想空間Second lifeは同一画面(同じSIM)の中に入れる人数が制限されており、一度にたくさんの人が同時に体験することができませんでした。そこで私はオンラインゲームのプラットフォームを活用して、同じ画面を体験しているように見えて負荷分散する方法で同時アクセス1万人までを実現しました。当時は仮想空間の中でモーターショーを開催して、展示車両もポリゴンデータで緻密に再現されバーチャル試乗もできました。今思えば本当に早すぎましたが、この「メタポリス」はトヨタ自動車の電気自動車やコネクテッド(モビリティー社会)の未来を先取りしていたとも言えます。
3D仮想空間は、その当時から比べると、通信速度もPCの処理能力も向上してCryptovoxelsではスマホでも楽しめるようになっています。

NFT
「Non-Fungible Token」の略。日本語では「非代替性トークン」単純に言えば作品自体を所有することなくデジタルで所有権を持つということです。この所有権をブロックチェーンで証明できるようになっています。つまり、NFTは今まで違法コピーなど無法地帯化していたデジタル作品について、それぞれが所有することができる=「デジタル所有権」を持つことができる技術です。NFTと紐づけることによってこれらの作品はコピーが不可能になり、唯一無二の作品であることが証明され、希少性を保証することが可能となりました。NFTの利点として仲介業者が入らないため、アーティストに直接収益が入ってきます。今までのようにオークションにかけられた時点でアーティストには一銭も入らないということはありません。このプラットフォーム内で使用される仮想通貨イーサがアート作品を含むデジタルデータの所有権を保証するというものです。英老舗オークションハウスのChristie’sではイーサでの支払いを受け入れる初のオークションで約75億円の入札となり話題となっています。
NFTには3つの側面が見えてきます。
1、投資
 今までクリスティーズやサザビーズといったオークションでアートの価値が決められていました。NFTはまさにこの構造を変えるモノです。仮想通貨含め、現段階のNFTによる購入は今後高い価値を可能性があり、投資の案件として捉えることができます。

2、アーティストの表現の場
 3Dの仮想空間に今多くの美術館が生まれています。仮想空間のギャラリーでの展示は権威的なリアルなアートシーンとは関係なく、現時点ではアイデアや新しい表現が高く評価されるため先行優位性も含めてこれから多くのアーティストが表現の場としていくでしょう。

3、社会思想
 アートはそれこそ縄文時代から始まっているとすれば10000年以上の歴史があります。元々は宗教絵画から始まり、ルネサンスで権力者の元で拡大し、その後、個人の内面の表現に移り変わっていきますが、いまだに権力やお金、権威の象徴としてのオークションが主流です。これはアートの世界だけではなく社会・経済のすべてにおいて中央集権の上に成り立っています。一方でブロックチェーンの思想は分散型の社会・経済です。
ブロックチェーンプラットフォーム「イーリアム」の開発者ヴィタリック・ブテリンはWIERDのインタビューでブロックチェーンについて、こう語っています。

人々のやりとりが透明化されて、攻撃されにくい、よりレジリエントなシステムが生まれる可能性がある。それらすべての特徴が、人々のためになると思う。
それぞれのデジタルアイデンティティはひとつの企業によってコントロールされている。
ブロックチェーンを基盤とした分散型のプラットフォームならばどうだろう。人々が、自分のデジタルアイデンティティを自分の管理下に置くことができるプラットフォームだ。ひとつの会社が全員のアイデンティティを管理する代わりに、そのアプリケーションにかかわる人々によって管理されることになる。より分散型のウェブ、と呼ぶことができる。  

From https://wired.jp/special/2017/vitalik-buterin/

既存の貨幣は国家権力の元でコントロールされている中央銀行が発行主体がであるのに対し、発行主体や管理者がいなくても機能するのがブロックチェーンの概念です。リアルな世界では政治や銀行などがお金や個人情報や信用を管理する権限を持っています。一方でGAFAが国会以上の個人の情報や価値の流通を行なっていて、見えない権力になりつつあると言っていいでしょう。これも実は中央集権的な情報と価値の集中になっています。
分散型であればユーザーの資産と情報は中央で集中管理されずにユーザーにその保管の権利と責任を持たせ、繋がった人々で管理されるるため、嘘をつくことも騙すこともできない構造になっています。
このように、リアルな権力が今となっては信頼できなくなり、ネットワークは巨大な企業数社の上に成り立つという世界から並列分散型で信頼の担保された社会・経済がNFTの背景となるブロックチェーンにはあるのです。

というわけで用語の説明ばかりですが、これでもわかりにくいかもしれませんが、ここからは未来妄想です。

精神と身体を超えた未来=ハイブリッド妄想
最初の仮想空間Second Lifeから約20年、PCのスペックも上がり、さらに通信速度は90年代OCNエコノミーの128bpsから、現在のOCN光は1Gbps、20年での約7000倍も早くなっています。さらに6Gまでなるとモバイルでも現状の20倍早くなります。そうするとと何が起きるでしょう。極端に言えば人間自体のトランスフォーメーション(HX)が起きるということです。バーチャルとリアル、デジタルとフィジカルの境界はなくなって自分というものがどちら(オンラインorオフライン )に存在しているのかが曖昧になるのです。居住空間がネットワーク上になることで身体というものから切り離されある意味で幽体離脱のような状況でネットワークとリアルを行き来します。今までのキーボードを使ったオペレーションはなくなり、高速な神経ネットワークと直結し、神経と同じ速度で身体とバーチャルな世界を結ぶようになるでしょう。つまり、キーボードはそろそろなくなって入力というオペレーション自体消失するでしょう。これがすでにバズワード化されたDXの本質的な未来、デジタルとアナログの境界が曖昧になる。つまり、あの世とこの世、精神と身体を超えたライフスタイルの実現です。

ちょっと想像がつかないかもしれませんが、20年前、ポケットにコンピュータ(スマホ)を持ち歩き、常にインターネットに接続している環境を誰が想像できたでしょう?同様にこの世界が加速度的に進むと機械と人間の境がなくなってくるといっても、今ピンとこなくても気がついたらそうなってます。

20年後、現実世界とネットワーク上の世界は統合され、現実世界では肉体だけがあり、仕事や余暇、実質的な経済活動の多くの時間をネットワーク上で過ごしている社会が当たり前になり、国家や政治という概念もネットワーク上に再構築される、もしくはそこに分断が起きデジタルな独立国家ができる、、、そんな社会になっているでしょう。


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