【臨床美術とマインドフルネスによるアート思考の実践】

瞑想というと以前は宗教色が強かったのですが脳科学的にみても集中力・記憶力の向上という効果が期待できることがわかり、創造性や生産性が高まるとビジネスシーンからもマインドフルネスとして注目を浴びる事になりました。その火付け役となったGoogleのマインドフルネスでは、宗教性を排除して、科学的な根拠を取り入れることで社員の10人に1人が自主的に瞑想を実践をしているそうです。

自分のセミナーで行っているワークショップも実は瞑想的な要素をほんの少し取り込んでいます。そうすることで、セミナー受講後、受講者すべての人が絵を描けるようになり、自己肯定感も高まっているのを実感できます。
瞑想的要素と臨床美術の手法を用いたワークショップでは絵を描くことを目的とせず、パステルから生み出される色や点や線に集中して「絵を描く」ことや「作品を作る」という目的を忘れ色や線が生まれる現象に意識を集中します。そのこと自体、全く難しいことではなく、ある方法によってほとんどの人が抵抗なく、むしろ自然に作業に入り込むことができます。道具(パステル)の色が紙に移るという現象に意識を集中する様にファシリテーションしていきます。この時点で、上手く描ける描けないからというバイアス(思考)からどんどん隔離します。不思議とこの状態がとても楽しく、心地良いと感じる人が多数いる理由として、日常の多くの行為は目的と結果、成果や意味を求められますが、そういった思考を停止して、ひたすらパステルから色が生み出されるという単純な現象(作業)に集中するうち瞑想に近い状態に脳が近づいていることが想定できます。
 そこに表現された無意味で無評価で無義務な、ただ描く事だけに集中した絵には無意識という心象が投影されていきます。最終的に、これを額に入れ我に帰ると自分の内面から表現した作品が目の前に現れます。結果として、ジャクソン ポロックや草間弥生の様な抽象画の現代アートが出来上がります。

毎年10月に開講している京都芸術大学(東京外苑キャンパス)『縄文からAIまでのアート思考』講義にも臨床美術の講義を設けています。


 臨床美術は、認知症患者の病気の進行を遅らせる事を目的に、脳を活性化させ、症状を改善するために開発されました。上記のワークショップは、この手法を取り入れたものです。
臨床美術の手法を取り入れることで、バイアスを外した自己の奥底にある本質的で無垢な直感の表現を引き出します。これがまさに芸術家の表現に極めて近いマインドセット、つまり、内発的な表現である(アート思考)であると言えると思います。芸術家の内面的を表現する力を疑似的に体感する事で表現する事に前向きになります。アート思考は、自分が生まれながらにして持っている表現力を取り戻し、自分の内面からの表現をしてみる事で自己肯定感を高め、新しい発想やひらめきを生み出すのに役に立ちます。

以下の対面型のセミナーで臨床美術を取り入れたワークショップを実践しています。


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