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毎日席がシャッフルされるオフィス。レイアウトと運用を変えてみたら、うれしい変化が起きた話

こちらはオープン社内報として作成された記事です。

お疲れさまです。猪飼です。

今回は、昨年末に実施した東京オフィスリニューアルの裏話をしようと思います。

ワークプレイスにまつわる事業を手掛けている僕たちにとって、オフィスリニューアルは自らの勉強もかねた恒例行事です。ただ、今年は例年以上に充実したものになったのではないかなと思います。
これまでとの大きな違いは、ざっくりいうとレイアウトだけでなく運用ルールも含めての変更だったという点です。

背景にあるのは、やはりコロナ禍という未曾有の環境に置かれたこと。もしかしたら多くの企業さんもオフィスの運用面で悩みを抱えているかもしれないと思い、プロジェクトを振り返ってキーボードをカタカタしています。

オフィスリニューアルのコンセプトと新しい運用ルール

今回のオフィスリニューアルにあたり、プロジェクトチームで取り決めたコンセプトと新しい運用ルールは以下の通りです。

▼コンセプト

「アジリティ」
集中スペース/作業スペース/リラックススペースなど、役割の違うエリアを設けることによって、全員がABW(仕事内容によって最適な場所を選ぶ働き方)を実践できるオフィスに

▼新たな運用ルール

オフィスを完全にフリーアドレス化するため、同じ席に2日連続で座ってはいけない
部署を越えたコミュニケーションを増やす狙い)

新オフィスのレイアウトはこちら👇

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▼新しく追加した設備の一例

・キャスター付デスク・ソファ(組み合わせ次第で自由なレイアウトをつくれる)
・吸音カーテン(会議室内の音の反響を軽減する)
・社内カメラ(HeimLink:オフィスの混雑具合をアプリで見れる)
・モバイルバッテリー(OmniCharge:電源がないエリアでも給電可能)

アジリティとは、「機敏さ」や「素早さ」という意味ですが、ことビジネス上では加えて「変化に対応する」という意味合いも含まれます。働きやすい環境というのは人それぞれなので、メンバー自身が最適と思える場所を選んで仕事ができるように、さまざまなタイプのエリアをつくりました。

新たな運用ルールについては、後ほど詳しく触れようと思います。

コロナで気付かされた、チャレンジすることの重要性

以前のオフィスリニューアルでは、運用ルール自体が変わることはほとんどなく、文字通り「レイアウト変更」のみにとどまっていたように思います。

今回はというと、緊急事態宣言が出たあとのリモート推奨期間にプロジェクトが始まったこともあり、「そもそも論」から議論をスタートすることができました。これが非常によかったです。

「そもそも論」というのは、「なぜこれまでリモートワークをしてこなかったのか?」という従来の働き方についての評価から始まり、47グループの企業理念(ワークプレイスで、ゆたかな未来を)に立ち返って議論ができた、ということです。

僕たちはこの企業理念の実現を目指して日々業務にあたり、お客さまへサービス提供しています。でも、そもそも僕たち自身が実践していない働き方や、使ったことのないワークプレイス、トライしたことのない運用方法がたくさんある、ということに気付かされました。これでは、多様なニーズを持つお客さま一人ひとりに、満足いただける提案をすることができないのではないか、と。

もちろん、従来の働き方やオフィスのあり方を否定するわけではありません。以前はたしかにそれが最適解だったのだと思います。でも、コロナを受けて働き方がガラッと変わり、環境の変化に柔軟に対応していくことが今一番求められているのではないか。そう痛感しました。

こうした話をプロジェクトチーム内でしていくなかで、「オフィスのあり方も、もっとチャレンジすべきなのではないか?」という考えが生まれました。これまでの働き方の延長線上にあるオフィスではなく、「こんな風に働けたらいいな」というオフィスを目指すことになりました。

コミュニケーション課題を解決する新ルール

オフィスリニューアルにあたって、もっとも重要視していたことがあります。それは、「コミュニケーションを生み出す」ことです。

在宅勤務を始めて数ヶ月経つと、徐々にリモートワークの課題が浮き彫りになってきました。メンバー同士が顔を合わせなくなったことで、気軽な会話がもたらす知識吸収の機会だったり、ストレス緩和(ケア)の時間が奪われている。社内でもこうした声が聞こえるようになり、コミュニケーションの大切さと、オフィスで集まる意味を改めて考えるようになったのです。

オフィス不要論が世で叫ばれ始めた頃、僕たちの中では「オフィスってやっぱり必要だよね」という結論が出ていました。

とはいえ、オフィスでのコミュニケーションを増やすためにはどうしたらいいのか。その答えは、レイアウトを変えるだけではなく新しい運用ルールをつくることにありました。

今回のリニューアルでは、コロナ対策として席数を減らすことが必須条件。となると、席が余ってしまわないように、固定席ではなくフリーアドレスにする必要があります。

ただし、フリーアドレスの難点は、どうしても毎回同じ席に座るメンバーが出てきてしまうこと。こうなると、「あの席は◯◯さんがいつも使っているから空けておこう…」といった遠慮が生まれたりして、結局すべての席をフル活用できなくなってしまうのです。

この課題をどうにか解決できないかとプロジェクトチーム内で話し合った結果、思い切って「同じ席に2日連続で座ってはいけない」という運用ルールをつくりました。

もちろん、不満に思うメンバーもいるだろうとは予想していました。同じ部署の人が近くにいないと業務効率が落ちる、とか、新入社員やアルバイトメンバーが戸惑ってしまうのではないか、とか。色々な声が上がることは織り込み済みでした。

それでもこの運用ルールを導入しようと決めたのは、「チャレンジが重要だ」と思っていたから。そしてなにより、席が毎日シャッフルされることによって、部署を越えたメンバー同士のコミュニケーションを生み出したい、という思いがあったからでした。

実際に運用してみて、社内からの反応は?

オフィスリニューアルを実施後、社内のメンバーを対象にアンケートを実施しました。

まずは、フリーアドレスについて。
「同じ席に2日連続で座ってはいけない」という縛りがどう影響するのか若干不安でしたが、概ねいい反応でした。

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周りの雰囲気を感じつつ業務に取り組めるのは、新たな発見もありよかったと思います。(さまざまな部署の方々の仕事内容や会話など)
不特定の人と話すことが増え、色々と知ることができて毎日新鮮です。リモートが普及して、話す機会の無かった人とも話すことができるので、関係構築できているなと感じます!
軽い雑談をする事でコミュニケーションが新たに生まれたり、他のメンバーのことを知れる機会に繋がっていると思う。

実は、これまでも一部の席はフリーアドレスでしたが、どうしても部署ごとに固まって座ることが多く、話す相手も限定されてしまっていました。コロナでコミュニケーションの重要性が浮き彫りになったのは紛れもない事実ですが、全員がオフィスに出社していたコロナ前から、潜在的に課題を抱えていたんだと思います。

あえて毎日違う席に座るというルールをつくることによって、まるでルーレットのようにお隣さんやお向かいさんが変わり、普段話さない人との会話がしやすくなったのは、とてもいい変化でした。

ちなみに、「誰がどこに座っているのか分かりづらい」といった声もありましたが、電話の取り次ぎルールを見直すなどして解消しました。

続いて、オフィス内のレイアウト変更について。

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ゾーニングがいい感じにされていると思いました。目的に応じて働く場所、打ち合わせる場所を選択できるところが、ABWを実現できているなと思います。
動く什器の柔軟性に初めて気づきました。固定でもよいと考えているタイプだったのですが、自由に移動できたり、その場ですぐ打ち合わせもしやすい環境はよいかと。

集中スペース/作業スペース/リラックススペースなど、役割の違うエリアを設けたことで、自分の作業内容にあわせて席を選ぶ人が格段に増えました。固定席からフリーアドレスに変えたことも、後押しになっていると言えるでしょう。

また、キャスター付きの家具を多く取り入れたことで、レイアウトを自由に組み変えられるようになりました。空きスペースに机とイスを移動して作業場をつくったり、いくつか並べて打ち合わせエリアをつくったり。新オフィスのコンセプトである「アジリティ」を、社内のメンバーもしっかりと理解した上で過ごしてくれているようです。

なんとなく出社して、毎日同じ席に座って、いつも通りの働き方をしていたら、新しい発見は生まれません。従業員一人ひとりが頭を使って考えて、「今どこでどういう働き方をするのが最適か」を見つめ直し、実践することから、本当の働き方改革が始まるのではないかと思います。

さいごに

リモートワークが広がったことで、オフィスに行かなくても仕事ができるようになりました。ではオフィスはどういう役割を担えばいいかというと、社員みんなが「行きたい時に行ける場所」であることだと思っています。コミュニケーションに重点を置くのも、リモート勤務だけでは補完できない業務上の“隙間”を埋められるからです。

理想とするのは、オフィス/自宅/コワーキングスペースなど特定の場所のみに縛られず、自分がその時々でベストな働く場所を選択できるようになっていること。そしてそれを会社が提供できるようになっていることです。

そして、自由度の高い働き方ができるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)のために、オフィス内でも業務内容に応じてエリアを選べる「アジリティ」が大きな意味をもつと考えています。

今回のオフィスリニューアルをきっかけに、ただハード面を変えるだけでなく、運用ルールをしっかり考えることがいかに重要か気付かされました。オフィス環境の改善に終わりはないと思っているので、今後も定期的に社内ヒアリングをして、改善を続けていきます。

オフィスリニューアルのプロジェクトチームメンバーだけでなく、社員みんなが今よりもっとオフィスを気に入ってくれて、その結果、会社のことをもっと好きになってくれたら嬉しいです。

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