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午後のパンケーキ

日曜の午後である。

日曜の午前中は、すべての午前中のなかでも最も短い。そのため、ここ最近特に、日曜の午後は、「もう午後か」と思う人の人口が急増し、現代では社会問題として取り上げられているほどである。

例に漏れず、本日の私も、起床の段階で既に午前中は残り1時間を切っており、録画していたバラエティ番組などをぼんやりと視聴していたら、既に午後になっていた。

時間の経過が早すぎる休日の対策として、私はパンケーキを焼くことにしている。
え!?パンケーキをひとりで午後に焼いてもいいんですか!?と思った人もいるだろう。たしかに、パンケーキはふつう、朝に焼くものである。かろうじて午後に焼いて良いのは、一般的に、子供のいる家庭か、3人以上人が集まった状況だ、と思われている。しかし、知り合いの、法律に詳しい有識者によると、実はまだ、午後のパンケーキを取締まる法律はない、とのことなのだ。

そんなわけで、本日私はパンケーキを焼いた。午後にパンケーキを焼くことによって、脳が勝手に「今は朝だ」と錯覚し、その後の行動に余裕が出るのだ。
しかし、この方法をむやみに行う人たちが増えすぎると、「パンケーキは朝に焼くもの」という概念自体が崩壊する恐れがあるので、用法容量を守って正しいタイミングで実施することが重要である。


本日のパンケーキは、牛乳の代わりに豆乳を使用した。
フレーバー豆乳をもらったので、それで作ってみた。フルーツサンド味の豆乳だ。

少しだけ飲んだ

人間は、自分より力の弱い存在をいじめたり怒ったりすると、ドーパミン(幸せ物質のようなもの)が脳内に出るという。
本当に醜い生き物だな、と自分でも思ったが、気付けばホットケーキミックスの上に豆乳を躊躇なく注いでいた。フルーツサンドの気持ちになれば、「せっかく飲み物になったのに、なんでまた固形にしようとするんですか〜」と、泣いてしまうかもしれない。これは単なる意地悪で済まされる話じゃないかも、、と思いながらも、フライパンにタネをひろげる手は止められなかった。

ほんのり いちごクリーム味のホットケーキを食べ、ドーパミンのおかげか、なんとなく満たされた気持ちになって、一瞬だけベッドに横になった。


起き上がると、何故かもう日が傾いていた。
そんなはずはない。先ほどまで15時だったじゃないか。もしかしてパンケーキを焼いたのは、あれは、夢だったのだろうか。

焦って冷蔵庫を開けると、固形になったフルーツサンド豆乳が確かに存在していた。「もう〜勘弁してくださいよ〜」と言わんばかりにラップに包まれて並んでいる。


日曜はまだまだこんなもんじゃないぜ。

私はそれに満足して、ようやく外に出る準備を始める。



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