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Keiの姉です。 弟:Keiは自閉症で重度の知的障がい者です。 経験してきたこと、彼へ…

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Keiの姉です。 弟:Keiは自閉症で重度の知的障がい者です。 経験してきたこと、彼への想いなどを全力で綴っていきたい所存です。

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弟のことを書く【第5回】スノコにキノコが生えた事件

昭和の風呂事情 昭和の後半になっても、我が家の風呂は石炭風呂だった。 親に見せられないテストはこっそりと風呂釜で燃やす、そんな時代のことだ。 江戸時代の話ではない。 生れた頃から高校生くらいまで、我が家の浴槽は杉のような木で作られたものだった。 もちろん檜風呂なんて洒落たものではない。 洗い場はコンクリート打ちっぱなしのため、やはり木製のスノコを置き、その上に風呂マットを敷いて入浴していたのだ。 石炭で沸かす風呂はよく温まるし、子供心にも気持ちがよかった記憶はある。 さす

    • 弟のことを書く【第4回】天気予報を求める男

      Keiとテレビ番組 Keiが一番好きなテレビ番組、それは天気予報。 家族がみんなで同じテレビ番組を見ていた、そんな時代のことだ。 音楽は好きなKeiであるが、どういうわけかテレビの歌番組は見ない。 むしろ入っていると消されるくらいだ。 これは家族の間でも諸説あり、自分以外のことに集中されると居心地がよくないのではないか?というのが最も有力な説とされていた。(我が家調べ) では天気予報の一体何が、彼をそこまで惹きつけたのか。 関心を持ったのは、お天気お姉さんでもなく、今日の

      • 母が亡くなり、心が落ち着くまで記事の投稿はお休みしようと思っています。

        • 弟のことを書く【第3回】ラジカセを使いこなす男

          音楽との出会い CDが一般に普及してからも、我が家では長いことラジカセが現役であった。 聴きたい曲はカセットテープで買う、そんな時代のことだ。 Keiにも好きなアーティストがいるし、よく聴きたがる曲もある。 ラジカセの使い方を覚えると、自分でテープをセットして聴くことができるようになった。 もっと幼少の頃だと、中のテープをズルズルと引き出してしまい、母や私から叱られることも多かった。 自然と成長していたことに、当時は気付く余裕もない。 ――カセットテープは音楽を聴くために

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          弟のことを書く【第2回】目線で会話する男

          Keiの帰省Keiは市内の身障者施設に入居している。 父が他界する前は泊りで帰省させていたので、その頃のことだ。 家庭の事情もあり、Keiが我が家に帰省できるのは年に2~3回ほどだった。 必ずしも毎回、楽しげに帰って来るわけではない。 前回の帰省から間が長く空くと、機嫌が悪くなることが多い。 会っても目を合わせてくれない時間がしばらく続く。 走り出さないよう無理やり手をつなぐのだが、何とか振りほどこうとする。 食事をしたり、自転車に乗せたり、何かきっかけがあると、ようやく目

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          弟のことを書く【第1回】私は弟の研究者

          Keiは現在47歳。 私はKeiの姉50歳。 Keiは自閉症で重度の知的障がい者だ。 身障者施設に入居している。 そろそろ、Keiの記録を残しておかなければならない。 先ず、Keiは弟として可愛い。 それだけではなく、人間として非常に興味深い一面を持ち合わせており、生涯、私を飽きさせることがなかった。 Keiが持つ、賢く、尊敬すべき点を何としても残しておく必要がある。 Keiはいつでも、私の生きる支えだった。 私の人格形成に多大なる影響を与えた。 Keiがいたお蔭で、Keiの

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