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白谷雲水峡再訪

屋久島に着いたことは着いたけれど、することを決めていなかった。

はいびすかすが入港するくらいまでにはいくらなんでも決めておこうよ、とあの声が言ったりもしたけれど、港に何かとっておきの情報があるかもしれないし、無計画な旅も悪くないんじゃないかと軽く言い返しておいた。

さて、どうしよう?



廃車寸前の愛車と私がまず訪れたのは、白谷雲水峡だった。

ここは、かつて一度行ったことがあったのだが、迷子になった思い出深い場所だ。宮之浦港からわりと近い(車ならば)し、まだ7時半になっていなかった。それにお天気も良かった。こんな時は、山だ。

いや、他にも選択肢はあったのかもしれないけれど、さしあたり、思いついたのがこれだった。あの時、迷子になっていなかったら、どうだったのだろう・・・? そうだ、ずっと心残りだったのだ。

前回は、ユースホステルで知り合った人たちと連れ立って行った。今回は、人間としては1人だった。

途中までは廃車寸前の愛車と一緒に進んだ。散策路の入り口までは道路があって、ずいぶん山の上の方まで行けるようになっている。しかも、マイカー規制は無い。まずは、くねくね道のドライブだ。

久しぶりの山道で、愛車は嬉しそうだった。ポンコツだけれど、一応、SUVなのだ。海がキラキラして、とても綺麗だった。
noteを始める前にInstagram病に罹っていた私は、そのキラキラの海をつい削除してしまった。だから、ほんの少しだけ憶えているけれど、ここには写真を載せられないし、うまく言葉で説明することもできない。残念だ。でも、とにかく綺麗だった。

駐車場でお別れ。その先は、1人で進んだ。とはいえ、他にもわりと人が居たので、迷いそうになかった。

それに、白谷雲水峡は、大変身していたのだ。以前と同じ場所に居るとは思えなかった。きっちり整備され、迷いようが無かった。

なんだか赤いのがあったので、撮ってみた。8時57分。

噂通りの苔の世界が広がっていた。
緑だ。緑。
私は緑が好きだ。

調子に乗って、太鼓岩まで行ってしまった。
当初は、そんなところまで行くつもりは無かったのだけれど。つい・・・。

はたして、あの木が居た。
望遠が苦手なカメラで、近づいてみた。10時半ごろ。

午前中には、もう、元来た道を引き返していた。
ただし、ゆっくりと。

うんとたくさん、写真を撮った。
苔が、緑が、とても綺麗だった。
なかなかうまく撮れなかった。
何度も撮り直した。
けれども、やっぱりうまく撮れなかった。

木々について、とてもオシャレだと私は思った。
白谷雲水峡が、私のバケットリストから消えた。

この日、この後、何をしたのか憶えていない。
とにかくこの日は、鹿鳴庵に泊まったような気がする。
(無計画とはいえ、毎日の宿の予約だけはしてあった。)

というのも、次の日、私はある写真を撮っているからだ。