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登録者数200万人超のホロライブメンバー紹介(1)正統派アイドルゲーマー・湊あくあ

5月9日に湊あくあがYouTubeチャンネル登録者数200万人を突破した。

これによってホロライブプロダクション所属タレントのうち、Youtubeチャンネル登録者数(以下、「登録者数」と略記)が200万人を超えるタレントは10名になった(以下、すべての数字は2024年7月7日時点のもの)。ホロライブを運営しているカバーの決算説明資料にちょうどその10名が載っているスライドがある。

カバー株式会社「2024年3月期 決算説明資料」18頁。左上からがうる・ぐら、宝鐘マリン、兎田ぺこら、森カリオペ、こぼ・かなえる、左下から白上フブキ、星街すいせい、戌神ころね、湊あくあ、さくらみこ

ホロライブがきわめて強力なブランドであるとはいえ、VTuberにとって登録者数200万人は相当に高いハードルである。1万人以上いると言われるVTuberの中で、ホロライブ以外でこのハードルを超えているのはわずか3名しかいない(国内ではキズナアイのみ)。なぜ彼女たちはこのハードルを超えられたのだろうか。偶然的な要素もかなりあるので、十分な答えを出せる者はいないだろう。
これからも登録者数200万人に達するタレントが出てくると予想される以上、ある時点で線を引くことに意味などない。また、登録者数というのはVTuberにとって絶対的な指標というわけではない(たとえばチャンネル総再生回数で見た場合、トップ10はこの10名ではなくなる)。
しかし10というのはキリのいい数字である。そして、いま登録者数200万人を超えている10名は個性が特に際立っており、活動スタイルも特徴的なので、VTuberのことは何となく知っているがホロライブをよく知らない人向けに紹介してみたい。今回は湊(みなと)あくあを取り上げる。


湊あくあ

Twitter:https://x.com/minatoaqua

タレント紹介ページ:https://hololive.hololivepro.com/talents/minato-aqua/登録者数:204万人
初配信日:2018年8月8日
愛称:あくたん

湊あくあには大まかにはアイドルという側面とゲーマーという側面があり、そのいずれにおいても高い能力を持っている。同時に自分は社会不適合者であるという自覚をたびたび語っており(歌詞にもなっている)、実際に仕事の連絡を見落としたり、出張の途中で具合が悪くなって帰ってしまったりしたことがあるため、ファンはいわば「ダメ人間の成長物語」を応援しているという面もある(もちろん企業VTuberとして長年活動できている時点でダメ人間ではまったくない――別にダメ人間だっていいと思うが)。個人チャンネルで最も多く再生されている「ダダダダ天使」のカバーはこうした像を見事に表している。

また、対人コミュニケーションがあまり得意ではないキャラとしても知られており、小さな身体、かわいらしい声と相まって小動物的な人気がある。


アイドルとしての湊あくあ

「銀河一最強アイドル」を夢としており、「アイドル」という言葉で多くの人が想像するような、オーソドックスな「かわいい女の子」を自覚的に追求している。オリジナル曲もそのようなアイドル像を表現したものが多く、ホロライブのアイドル事務所という方向性を初期から引っ張ってきたメンバーの一人だと言えるだろう。楽曲の人気も高く、特に「#あくあ色ぱれっと」はTikTokでバズったこともあってよく知られている。

Theアイドルという点で言えば、HoneyWorksの楽曲(「誇り高きアイドル」「可愛くてごめん」)をたびたびカバーしており、活動5周年を記念して発表されたオリジナル曲「君の最推しにしてよ!」はHoneyWorksが作詞作曲している。HoneyWorksのアルバムにゲストボーカルとして招かれたこともある。

ホロライブにおいて数少ないソロライブ経験者の一人であり、普段の配信においても歌枠(カラオケ配信)を行う頻度の高いメンバーでもある。

女の子が憧れるアイドル像を追求していることから、女性VTuberからの人気も高い。


ゲーマーとしての湊あくあ

他方でゲーマーとしては優れたセンスとスキル、そしてストイックに努力する姿勢をもっていることで知られており、FPSの人気タイトル『Apex Legends』で挫折と長い修行を経てシーズン11にソロマスターチャレンジ(ランクマッチに3人ではなく1人で参加し、上から2番目の「マスター」ランクに達すること)に成功した際には大きな話題を呼んだ。

2023年の誕生日にはFPSプレイヤーとしての自分を表現したオリジナル曲「エイムに愛されしガール」を発表している。

ソロマスター達成後、同じホロライブの常闇トワと星街すいせいとともに第4回『VTuber最協決定戦』に「最初で最後」として出場し、本番は振るわなかったものの練習試合で活躍し「狂犬」の異名を取った。

3人のチーム名「Startend」名義で大会前日に発表した「アスノヨゾラ哨戒班」のカバーは1000万再生を超える人気動画となり、翌年のホロライブ全体ライブ「hololive 4th fes. Our Bright Parade」では3人で歌う「空奏列車」が実質的なトリを飾った。現在の活動はあまりないものの、ホロライブで最も人気の高いユニットの一つである。

Apex以外のゲームでもゲーマーとしての能力を発揮する配信をよく行っており、マリオカート、スマッシュブラザーズなどで話題になった(雑談配信は相対的に少ない)。最近では『ストリートファイター6』でセンスを発揮し、格闘ゲーム界隈をややざわつかせた。


オタクとしての湊あくあ

ホロライブのタレントはほとんどがオタクなので独自の特徴というわけではないが、湊あくあもれっきとしたオタクである。特に『ソードアート・オンライン』の大ファンとして知られており、主人公キリトのセリフを頻繁に引用している。作品側からも認知されており、SAOのゲーム作品『ソードアート・オンライン ラストリコレクション』の応援隊長に任命された上、プレイアブルキャラクターとしても実装された。

アニメにも詳しく、同期の大空スバルにお勧めの作品をプレゼンした際は作品選び、知識量、説明の上手さ、熱量のすべてにおいてリスナーから絶賛された。

また、「美少女ゲームのヒロインになりたい」という想いが高じて本当にゲームの主演とプロデュースを務めたのが『あくありうむ。』である。

配信では人間らしい姿を見せることも多いが、『あくありうむ。』やオリジナル楽曲においてはキャラクターとしての「湊あくあ」を作品として昇華させることに真剣に取り組んでおり、配信者であると同時に表現者でもあるという意味で、正統派のVTuberだと言えるだろう。活動6周年を迎えようとしているベテランとしてリスナーとのやり取りにも安定感があり、彼女がスト6で使用しているケンのように初心者にもお勧めできるVTuberである。


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