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『ハズレのカセット』からの、「帰りたい故郷」

小学校の頃、廊下を挟んだ兄の部屋から漏れてくる音楽に「うるさいなぁ」と感じていた思い出があります。

ボーイ、聖飢魔II、X……

その反動もあってか、初めて意識的に手にとって聞いたのは、海外の人の音楽でした。

リッチー・コッツェン、マーティー・フリードマン、イングヴェイ・マルムスティーンら、ギタリストのカセット。

情報の乏しいマレーシアにいたので、日本の雑誌などはそう簡単に入りません。自分のお小遣いで、新しくてカッコいい音楽をもっと聴いてみたいと思って、居住地のすぐ近くにあるショッピングモールの1階にある、10畳ほどのCDショップに行きました。

アーティスト名もまったく分かりませんでしたから、とりあえず「NEW!」と平積みされていたCrowded Houseの次のカセットを買ってみたんです。

ガイコツを模したウッド・フェイス。これは激しいヤツだと。きっとそうだと。帰って聞いてガックシ。

でもいつしか、このカセットを受け入れてました。耳心地が良いなぁと。スクールバスでたくさん聞きました。ウォークマンだったなぁ。懐かしい。

それから社会人になるまでは、ひたすら激しい音楽に傾倒します。

Youtubeでいろいろな映像を見られるような時代になって、忘れていたCrowded Houseの曲を聴く機会がありました。その曲がこちら;

みんなカッコいいおじさんになりました。

最初に聞いたときはとても(いい歌だな)としか感じませんでした。ふだん歌詞カード見ないからかも。

さらりとYoutubeを流していると、Natalie Imbrugliaもそうだし、いろいろなアーティストがこの曲をカバーしていました。気になって歌詞を調べてみることに。

Don't Dream It's Over -Crowded House-

There is freedom within,
自由は、一緒にいてもそうだし
There is freedom without,
離れていたてもそう、自由
Try to catch the deluge in a paper cup
溢れ出てるから、カップで拾ってみなよ

There's a battle ahead,
辛い事って続いて行くし
Many battles are lost,
挫折するのもそう、少なくない
But you'll never see the end of the road
でもそれは永遠じゃないんだ
while you're travelling with me
誰かと繋がっている限りはね

Hey now, hey now
さぁさぁ
Don't dream it's over
もう終わりだ』なんて夢にも思うなよ
Hey now, hey now
ほら、今からだ
When the world comes in
世界が始まろうとしているんだ

They come, they come
ヤツらがやって来るよ
To build a wall between us
俺たちの間に壁を作ろうとね
We know they won't win
知ってるさ、彼らには無理なことを

Now I'm towing my car,
there's a hole in the roof
俺は行動したいんだ
神様は見ていてくれるから

My possessions are causing me suspicion but there's no proof
決断が正しいかどうかなんて
自信はない
In the paper today tales of war and of waste
新聞で戦争や殺人の記事があったけど
But you turn right over to the T.V. page
君はすぐテレビ欄を探すんだよな

Hey now, hey now
今だ、今だよ
Don't dream it's over
もう過去の話だ』なんて、夢にも思わないで
Hey now, hey now
そっちじゃない、目を覚まそう
When the world comes in
もう始まってるんだ

They come, they come
周りを見てごらんよ
To build a wall between us
どうしてこう、壁を作りたがるんだ?
We know they won't win
ヤツらの思い通りにはならないって
分かってるけどね

Now I'm walking again to the beat of a drum
俺は自分の意志でまた歩き始めた
And I'm counting the steps to the door of your heart
君の心へ届けるために一歩一歩
Only the shadows ahead barely clearing the roof
不安や恐怖は拭えないけど
その時まで待っていて欲しい

Get to know the feeling of liberation and release
自由に解き放たれたような、そんな気分なんだ

Hey now, hey now
おいおい、目を覚ましておくれよ
Don't dream it's over
『もういいから』
なんて無関心になってないかい?
Hey now, hey now
今だよ、今しかないんだ
When the world comes in
俺たちは変わらなきゃいけないんだ

They come, they come
奴らはとめどなくやってくる
To build a wall between us
何かを分断しようとね
Don't ever let them win.
俺たちのつながりは
一層強くなるだけなのにさ

彼が彼女に『真実を見ようよ』と語りけるメッセージが、サビの部分をリフレインしながら、メッセージ性を深めていきます。

そのメッセージ、直訳するとまったく理解できませんが、これは聖書の一節や英語の慣用表現を散りばめているからです。西洋の歌詞はだいたいそうかも?

あったかいメロディーのなかで、「自由」と「繋がり」を際立たせた強いメッセージ。その2つのキーワードを最後に回収する巧みな歌詞。

さらに素敵な間奏を目をつぶって聴いてみると、目頭が熱くなります。反骨、希望。そのアプローチの仕方に。

そのような背景があって。
ウクライナが侵略され始めた時に、この歌を思い出しました。

to build a wall between us
俺達を分断しようとしている

良く言えばニュートラル、悪く言えば鈍感な私には、壁を作る(分断する)ことは理解できないし、思いやりのない行為や考え方を残念に感じます。

私が暮らしていたマレーシアは、発展途上国で多民族国家で貧富の差もあったけれど、どこに行っても笑顔で迎えてくれたし、それぞれの宗教・文化・習慣を大事にされていました。

イスラムのイベントがあれば、正月には華僑が爆竹でお祝いするし、ヒンドゥーのお祭りだって堂々と行われて。

お互いの思想を認め合う文化って、あぁ素敵だなと、子供ながら精神的な豊かさに共鳴していたと思います。

そういう南国の素地が、今の私を作ってくれたのかな。時折、故郷のように懐かしんでいます。

故郷や居住地を追われ心を痛めている人に、安息が早く訪れるように願います。

そんなことを想うクリスマス近くの年末の夜。

故郷といえば、2011年、東日本大震災。被害に遭われた沿岸の大槌ご出身の、臼澤みさきさん。この曲は心を鼓舞してくれました。

一度引退されましたが、今も表現者としてご活躍されています。

ふるさと、といえばブルーヘアーズさんのこの曲も染みます。花巻で撮影されたPV。林檎の花、マルカンのソフト、良いですね。

また花巻来てくれないかな。ライブでの歌唱力、すごかったな。


タイトルの写真は、2月の種山ヶ原。里山歩き。

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